【為替本日の注目点】NY株急落で円高進行、日米株価も売り圧力でドル円底値を試すか

 NY市場  先週末の雇用統計の影響からドル円は下げ足を早め、一時102円85銭まで下落。雇用の伸びの鈍化から「緩和縮小」を見直すのではないかとの見方から円が買われた。    ユーロドルは上値が伸びず、1.36台半ばを中心にもみ合い。ユーロ円が売られたことでドル安が進んだ割には、対ドルでユーロは伸び悩む。   株式市場は大幅に下落。先週末の雇用統計を受け、雇用者数の伸びが予想外に鈍化したことに反応し、ダウは179ドル安。昨年9月以来の下落率を記録。   株価が急落し、リスクオフが強まったことで債券相場は続伸。10年債利回りは1ヵ月振りの低水準となる2.82%台まで低下。   金は続伸。原油は反落し再び91ドル台に。   ドル/円 102.85 ~103.55  ユーロ/ドル 1.3637 ~ 1.3676  ユーロ/円 140.49 ~ 141.51  NYダウ -179.11 → 16,257.94ドル  GOLD +4.20 → 1,251.10ドル  WTI -0.92 → 91.80ドル  米10年国債 -0.033 → 2.827%  本日の注目イベント  日   12月国際収支   日   12月景気ウォッチャー調査   欧   ユーロ圏11月鉱工業生産   米   12月小売売上高   米   フィッシャー・ダラス連銀総裁講演   米   プロッサー・フィラデルフィア連銀総裁講演   米   世銀、世界成長見通しを発表   米   決算発表 → JPモルガン・チェース、ウェルズ・ファーゴ   海外市場では「円高ドル安」が進み、昨日のNY市場では一時102円85銭まで急速にドルが売られました。きっかけは先週末に発表された12月の雇用統計です。失業率は6.7%に低下したものの、非農業部門雇用者数は7万4000人と、市場予想のの19.7万人からは大きく減少していました。この結果を受け、発表直前には105円台半ばまで買われていたドル円が一気に103円台後半まで売られ、昨日のアジア市場では103円台前半、さらにNYでは102円台と、いつものようにドルの下落ピードの速さには驚かされます。  問題は12月の予想外の雇用者数の伸びの鈍化が、一時的なものなのかどうかという点です。市場では10月、11月と連続で20万人を上回り、12月についても20万人前後ではないかとの「楽観論」が支配的だっただけに、発表された内容には驚きでした。ただ、その原因については記録的な寒波が米中部や東部を襲ったことによる影響を指摘する声も多く、個人的にも米雇用の拡大傾向は緩やかながら拡大していくと考えております。  今後の焦点は今月28-29日に開催されるFOMCで「緩和縮小」が停止され、再びもとの「毎月850億ドル」の債券購入に戻るのかどうかです。この点に関しても、FOMCでは「フォワードガイダンス」を強めることで対処する可能性が高く、「量的緩和縮小」を直ちに停止するものではないと予想しています。恐らく、今回の雇用の減少傾向が数カ月続くようなら、再び「量的緩和の拡大」も考えられますが、少なくとも今回の発表では判断できません。  実際、12月分の非農業部門雇用者数は予想を大きく下回りましたが、11月分は20.3万人から24.1万人に大幅に上方修正されています。その結果、10月から12月までの3ヵ月平均で見た場合、17万人を超える内容になっています。まだ、FRBが政策変更に踏み切る状況ではないと思われます。  ただ、昨日のNY市場では株価が急落しています。NYダウは179ドル安で、今年1月2日の135ドル安を上回る下落幅を記録しました。このままNY株式市場がズルズルと下落を続け、「本格的な調整局面」に入るようだと、ドル円も100円方向を目指す可能性はありますが、米企業の決算発表が今週から本番を迎えるため、その内容にも注意が必要です。好調な企業決算が株価をサポートすることも考えられます。  ドル円は「8時間足」の120日線を下回り、102円85銭まで下落しましたが、この先意識されるのは「日足」の52日線のある102円29銭前後です。この水準は昨年11月以来割り込んでいません。11月8日に発表された10月の雇用統計が大きく伸びたことで、98円台からドル円が上昇した場面でした。上記水準を割り込むようだと、「日足」でも遅行スパンが「逆転」を見せることになります。結局、何度か指摘した「フィボナッチ・リトリースメント」の61.8%戻しにあたる、105円49銭は抜けることなく反落しました。105円台半ばは4度試したことになりますが、いずれも押し戻されており、今後もこの水準が意識されることになりそうです。  本日はドル円の底値を試す展開が予想されます。シカゴの日経平均先物は400円を超える下落を見せたことから、本日の株価も相当な売り圧力を受けそうです。下落幅が小幅にとどまれば103円台での推移が予想されますが、拡大するようだと102円台半ばを試す展開も。予想されます。予想レンジは102円50銭~103円80銭程度と見ています。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)
先週末の雇用統計の影響からドル円は下げ足を早め、一時102円85銭まで下落。雇用の伸びの鈍化から「緩和縮小」を見直すのではないかとの見方から円が買われた。
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2014-01-14 09:45