【忠田公夫の経済&マーケット展望】米・雇用統計は予想下回ったが景気回復の基調は不変、日本株の強さも変わらず
昨年12月の米・雇用統計は事前予想を下回る内容だった。非農業部門の雇用者数は前月に比べ7万4000人の増加にとどまり、予想の20万人増を大幅に下回った。内訳を見ると、建設業の雇用者数がマイナスに転じるなど、総じてサービス業の悪化が目を引いた。
雇用者数は昨年夏以降、月間10万人台の後半から20万人を越える規模で順調に増加し、実際、このほど明らかにされた昨年11月の改定値も24万1000人増(速報値は20万3000人増)に上方修正された。FRBはこのような状況を捉え、昨年12月にFOMCで量的金融緩和の証券購入ペースを今年1月から100億ドル減らし月額750億ドルとすることを決定した。
今回の落ち込みは寒波の影響と見る向きも多く、他のマクロ経済統計では個人消費、消費者信頼感、住宅市場など米国景気は着実な改善を示している。イエレン次期FRB議長は議会での正式承認を受けた後、「今年の米国経済の成長率は昨年の2%台から3%台に高まる」と予測しており、今回の雇用統計の結果だけでトレンドを見誤らないようにしたいものである。
10日午前の為替市場では103円80銭台と、ドルを売って円を買い戻す動きが出ているが、わが国の貿易収支の赤字傾向の定着に対し、米国でのシェール革命による貿易収支の改善傾向が顕著なほか、日米の金融政策の方向性の違い(米国は金融緩和は縮小の方向にあるのに対し日銀は消費増税後の4~5月に景況感が悪化した場合、追加緩和に動く可能性が大きい)などから見て、短期的にドル安円高に振れる場面はむしろドルの買い場と考えたい。
テクニカル分析では103円を大幅に下回らなければ円安トレンドは変わらず、年央にかけてドルは再び上昇すると見ている。同様に日本株も押し目買いで対処したい。(忠田公夫=経済・株式評論家・アナリスト。ナショナル証券投資調査部長、SMBCフレンド調査センター常務を経て現職。96年に日本経済新聞社・日本経済研究センター主催の関西経済人・エコノミスト会議において優秀エコノミスト賞受賞)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
昨年12月の米・雇用統計は事前予想を下回る内容だった。非農業部門の雇用者数は前月に比べ7万4000人の増加にとどまり、予想の20万人増を大幅に下回った。
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2014-01-14 12:45