JPX日経400、ノーロード型のインデックスファンド=DIAM

DIAMアセットマネジメントは、2014年1月6日に新株価指数「JPX日経インデックス400(JPX日経400)」が算出開始されると同時に、「JPX日経400ノーロードオープン」を設定し、運用を開始した。当初募集期間もなく、自己設定で新ファンドを立ち上げた意図と「JPX日経400」への期待について、同社商品企画部長の浜田好浩氏(写真)に聞いた。
――「JPX日経400」の公表開始当日に新ファンドを設定した狙いは?
「JPX日経400」については、2013年8月頃に新株価指数開発についてのニュースリリースが発表され、その当時から強い関心を持ちました。11月に指数の概要が公表され、商品組成を進める上での障害がないということが確認できたので、「JPX日経400」が公表開始されるタイミングに合わせて、指数に連動するインデックスファンドを立ち上げることを決定しました。
当初募集期間を設けず、自己設定でファンドを立ち上げたのは、公表開始日から基準価額を出すことによって、「JPX日経400」のインデックスファンドの運用記録を残すことによって、「JPX日経400」が一日も早く普及、定着してほしいと考えたためです。
――それほど熱心に、「JPX日経400」について評価された理由は?
まず、「JPX日経400」は、従来の「TOPIX(東証株価指数)」や「日経平均株価」とは異なる特徴を持っているという点がひとつです。たとえば、「日経平均株価」は、株価単純平均指数なるがゆえに値嵩株の影響が大きくなります。「TOPIX」については、時価総額加重平均株価なので、時価総額が大きな銘柄の影響を受けやすく、また東証1部上場銘柄のみが対象ですので、新興市場などの成長銘柄の動きを反映できません。「TOPIX」は機関投資家の多くが日本株運用のベンチマークとして実際に採用していますが、これら運用のプロの間の議論においても、より効率的な市場ポートフォリオ、いわゆるスマートベータの議論が盛んになりつつあります。
「JPX日経400」は、ROE(株主資本利益率)や営業利益などの業績指標や企業統治(コーポレートガバナンス)への取り組み等の基準で構成銘柄を選定する株価指数です。換言すれば“企業の投資魅力度”に着目して銘柄を選択するものであり、従来の伝統的株価指数に対する新たな市場インデックス、いわゆるスマートベータとして大変注目されつつある指数ということができるでしょう。
外国人投資家から日本企業のROEが低いことは、常に指摘されてきました。株式市場において、外国人投資家の売買シェアは高く、外国人投資家の視点に立てば、欧米の企業と比較して投資する価値が低いまま放置されれば、日本企業の株式を買う理由がないとみなされ、見放された市場になってしまう危険もあります。日本企業にROEを意識した経営を促すという意義は、株式市場の発展にも寄与すると思います。
――過去の動きを検証すると、「TOPIX」とほとんど変わらず、積極的に「JPX日経400」を使うメリットがないようにも言われますが、「JPX日経400」に連動するインデックスファンドの具体的な使い方のイメージは?
過去の値動きは、あまり意識しなくても良いと思います。今回、「JPX日経400」という指数が登場したことによって、これからROEやガバナンスについて企業を評価する目が厳しくなり、企業側もROEなどを意識した経営にシフトしていくのだと思います。その意味で、これからの株価指数としてのパフォーマンスに大変注目しております。
さきほど申しあげましたとおり、「日経平均株価」は値段の高い株式の影響を受けやすい、「TOPIX」は時価総額が大きな株式の影響を受けやすい、というそれぞれの特徴がありますが、これに対して、「JPX日経400」は、いってみれば投資魅力度の高い、「元気のよい企業」で構成された指数であり、現時点ではその値動きの特徴はなかなか予想がつきません。
実際、「日経平均株価」と「TOPIX」の値動きを比較しても、2013年においては、「日経平均株価」の方が「TOPIX」を上回る成績でしたが、2014年になってからは、「TOPIX」の方のパフォーマンスが高くなっています。このようにどの株価指数がより高いパフォーマンスになるのかということは、誰にも予測できないのです。
ですから「JPX日経400」についても、日本株投資における分散投資の手段の一つとして利用するというのが、一つのアイデアになると思います。「JPX日経400」、「TOPIX」、「日経平均株価」にそれぞれ等金額で投資するということもできます。実際に、機関投資家の間における「スマートベータ」の議論においても、「TOPIX」の分散投資対象になるベンチマークを見つけようという意見が出されているようです。
――「JPX日経400ノーロードオープン」の特徴は?
第一に、運用の質的な面を大変重要視しています。つまりインデックスファンドである以上、トラッキングエラー(株価指数と基準価額の値動きのかい離)をできるだけ小さくする努力を行なっているということです。当社は、年金資金等の運用を多く受託している関係から、インデックスに連動するパッシブ運用については、独立したクオンツ(高度な数学的手法や数理モデルなどを使って運用にあたる専門家)運用チームを組織し、専門的に対応しています。当ファンドも、プロの投資家からも高い評価をいただいているこのクオンツ運用部で運用されています。
第二に、ファンド名にあるとおり「ノーロード」(販売時や換金時の手数料がゼロ)投信であることが特徴です。当社の「日経225ノーロードオープン」は、1998年8月に設定し、すでに純資産残高が1370億円の規模になっています。銀行約40行、証券会社約30社で幅広く取り扱っていただいている当社を代表するファンドの一つですが、今回の「JPX日経400ノーロードオープン」は、姉妹ファンドとして広く販売会社に提案しています。信託報酬も年0.77%(税抜)に抑え、投資コストを小さくして中長期的に投資したいとお考えのお客さまに、是非、ご利用いただきたいと思います。同時に株価の動向を見ながら、その動きに即応しつつ資産運用したいとお考えのお客様にとってもこのノーロード性は十分アピールできるものと考えております。
――「JPX日経400」が普及するためのポイントは?
株価指数に対する様々な議論があるとはいえ、やはり日本の代表的な指数は、「日経平均株価」であり「TOPIX」であるのが現状です。これら伝統的株価指数と同じくらい「JPX日経400」が投資家間に浸透していくためには相当な時間を要し、一朝一夕にはできないものと考えます。まずは新聞・雑誌・テレビなどのメディアを通じて「JPX日経400」が一般に認知されていけばいいと思います。その意味でこの指数を共同開発されたJPXグループと日経新聞社の活動には期待しています。毎日の新聞など「JPX日経400」の動きが大きく取り上げられ続けるようになれば普及も一層推進されることでしょう。
次になんといってもパフォーマンスです。「JPX日経400」の上昇率が「TOPIX」や「日経平均株価」を上回るような実績が実際に目に見える形で示されれば、投資家の注目度は一気に高まると思います。
さらに、当ファンドのようなインデックスファンドやETFといった「JPX日経400」関連の金融商品が多く投資家に提供されるようになることが普及の後押しになると考えます。またこれも関連商品の1つともいえますが、すでに投資している方々のリスクヘッジ手段の提供という点でも先物市場が創設されることが望ましいと思います。(編集担当:徳永浩)
DIAMアセットマネジメントは、2014年1月6日に新株価指数「JPX日経400」が算出開始されると同時に、「JPX日経400ノーロードオープン」を設定し、運用を開始した。(写真は、DIAMアセットマネジメントの浜田好浩氏。サーチナ撮影)
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2014-01-31 14:45