みずほ銀行「SMART FOLIO」、テクノロジー駆使したポートフォリオ提案で資産運用時代を切り拓くツールに

みずほ銀行が2015年10月に公開した資産運用サポートツール「SMART FOLIO(スマートフォリオ)」は、メガバンクによるフィンテック(FinTech)サービスの先駆けとしても注目された。「SMART FOLIO」の開発の狙いと展望について、同ツールの開発を支援したモーニングスター代表取締役社長の朝倉智也氏(写真:右)が、みずほ銀行コンサルティング営業開発部部長の山田喜嗣氏(写真:左)に聞いた。
――「SMART FOLIO」は、資産運用ロボが運用ポートフォリオを提案する「ロボ・アドバイザー」として注目されました。開発の意図は?
インターネットを使った非対面での投信販売を一段と拡大したいと考えたのがきっかけです。インターネットでの販売増強のため、ブラックロック社と共同開発した「ⅰ-mizuhoインデックスシリーズ」などのネット専用商品の導入、積立投信の最低投資金額の引下げなど、ラインアップの拡大や利便性の向上に努めてきました。
また、公的年金の所得代替率低下などを背景とし、若年層における自助努力の必要性が高まっていますが、若い方々は資産運用に興味があっても、「お金がない」、「機会がない」、「わからない」などを理由に、投信の利用が進んでいません。そこで、「わからない」という疑問にお答えするアドバイスツールの開発を考えました。
さらに、「SMART FOLIO」には、利用を当行のお客さまに限定せず、どなたにも無料で提供することによって、個人のお客さまの金融リテラシー向上・資産形成層の裾野拡大に貢献し、社会全体の「貯蓄から投資へ」の流れの一助になりたいという思いが込められています。
「ⅰ-mizuho」シリーズ21本のパッシブファンドを用意していたことがベースになり、これらの組み合わせをご提案するアドバイス機能として「SMART FOLIO」を開発する流れができました。2013年9月に「ⅰ-mizuho」シリーズを提供開始したことが、「SMART FOLIO」開発のステップになっているともいえます。
――「SMART FOLIO」を利用したユーザーからの評価は?
2015年10月30日にサービスを開始したのですが、過去に行った投信キャンペーンなどと比較すると、10倍以上のアクセスです。
実際に、みずほダイレクトのお客さまで、投信を買ったことがない方が、「SMART FOLIO」をきっかけに投信を購入するという動きが出始めています。特に、「SMART FOLIO」のポートフォリオ提案に基づいた積立投信のご利用が増え、これには手応えを感じています。
また、利用者アンケートなどを通じて「SMART FOLIO」について率直なご意見をいただいています。総じて好意的なご意見を多くいただいています。7つの質問に答えるだけで、診断時間2分以下という短い時間で回答が得られるシンプルさ、わかりやすさは高く評価していただいています。
ただ、投資をしたことがない方にも分かりやすく作ったつもりだったのですが、7つの質問の内容がむずかしいなどご意見もありますので、この点はご意見をふまえて改良を進めます。投資関連ツールは、作り込めば作り込むほど良いモノにできると思うのですが、あまり作り込み過ぎることなく、意見をいただきながら改良を重ねた方が、より良いモノができると考えています。現在のカタチをスタート台として、より進化させていく方針です。
――欧米では、人に代わって、システムが投資アドバイスを提供する「ロボ・アドバイザー」が注目され、一定の手数料を得てサービスを提供しています。「SMART FOLIO」の今後を、どのように展望なさっていますか?
みずほダイレクトの会員のみなさま向けに、資金使途と将来キャッシュフローをふまえたポートフォリオを提案するゴールアプローチ機能を提供したいと考えています。たとえば、「子どもが18歳の大学入学時に400万円の学資を用意しておきたい」など、お客さまが設定した目的に合わせてキャッシュフローを算出し、各将来時点において、どのようなポートフォリオを保有することが望ましいかを提案するような機能をイメージしています。
また、提案するポートフォリオに、保険商品など投信以外の金融商品を追加することも検討しています。総合提案の要素を入れていきたいと考えています。
アメリカで主流の「ロボ・アドバイザー」の収益モデルは、投資一任サービスにつなげてアドバイザリーフィー(手数料)を得るものですが、当行では、日本ならでは、みずほならではのサービスを実現したいと考えています。対面相談との連携や、コールセンター等の有人リソースを活用したアフターフォローなど、総合的な投資アドバイスのサービスにつなげていくことを考えていきます。
「SMART FOLIO」は、平日に銀行に来店することが難しい資産形成層や、コスト意識の高い投資家層にご利用いただくツールですが、この利用をきっかけとして対面での相談(コンサルティング)への橋渡しもできると思います。
――資産形成をサポートしていくためには、投資を実施した後のモニターやフォローが大切になると思いますが、その取り組みは?
店頭であれば、マーケットの変動に合わせてご連絡をし、提案したポートフォリオの見直し、また、追加購入などのご相談に対応しています。ネットでも、これは可能だと考えています。たとえば、お客さまが設定したゴールに向け、現状がどうなっているのか、情報提供を行う予定です。日常的に使っていただいている画面の中に、運用状況に関する情報も提供していきます。
――御行では、いち早くタブレット端末を全行員に配布して営業現場で活用を始め、また、コールセンターではAIを使ったサービス開発を進めるなど、先進的な取り組みをしています。御行の販売チャネル戦略として、今後、強化・拡充なさるポイントは?
行員全員へ配布しているiPadに、今年1月から「SMART FOLIO」のアプリを導入し、店頭での運用を開始しました。店頭や渉外の担当者にはwebサービス以上に付加価値のあるコンサルティング力が求められていると思います。アプリでは店頭で販売しているファンドを活用したポートフォリオの提案ができます。「SMART FOLIO」の提案をベースに、担当者がお客さまのご希望やマーケット情報を補うことで、より最適なポートフォリオ提案が可能になります。
このようなアプリにより、担当者の経験・知識レベルの差に影響を受けない中立的な提案を目指しています。iPadを全員で持てたということがステップアップのきっかけになっています。今後も「SMART FOLIO」のような機能を追加し、持っているものをより活用できる状態にもっていきたいと考えています。
また、いち早くタブレット端末を全行員に配置、「SMART FOLIO」の提供したことなどの先行者メリットは形にしていきたいと思っています。ネット・サービスは、利用者の行動、足どりが分かりますので、アクセスした人が途中で離脱した情報や、どのような経過で購入したなどといった情報が蓄積できるメリットがあります。このようなデータを蓄積し、分析することによって、よりお客さまニーズに適ったサービスの開発につなげていきたいと思っています。
――まさに、ビッグデータの活用ですね。オンライン取引での強化ポイントは?
将来的には、人工知能等の最新テクノロジーを活用し、提案を高度化することも検討しています。また、お客さまの多様な資産運用ニーズに応じた教育コンテンツやセミナーなど、インターネット上のコンテンツを拡充し、お客さまの金融・投資リテラシー向上に役立つサービスを充実させていきます。
このようなオンラインサービスの拡充は、オンラインだけで完結するものではありません。オンラインサービスの拡充に合わせ、営業職員の教育プログラムも強化し、お客さまの投資ゴールの実現に向けた最高水準のコンサルティングサービスを提供できるよう、組織的な人材育成の高度化に努めます。システムがいくら進化しても、人が直接応対することは決してなくなりません。
運用の世界を取り巻く環境は、激しく変化しています。マイナス金利という想定されなかった事態が現実になったように、さまざまな角度で変化があります。このような変化に即座に対応し、お客さまと向き合う相談相手として信頼を得ていくには、サービスの付加価値を継続的に向上させていくことが必要です。「SMART FOLIO」は、より多くの方々にご利用いただきたい、率直なご要望をいただきたいと思っています。そのご要望にお応えし、サービスのレベルアップにつなげていきます。(編集担当:徳永浩)
みずほ銀行の「SMART FOLIO」の開発の狙いと展望について、同ツールの開発を支援したモーニングスター代表取締役社長の朝倉智也氏(写真:右)が、みずほ銀行コンサルティング営業開発部部長の山田喜嗣氏(写真:左)に聞いた。
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2016-03-07 09:30