習政権初の自前5カ年計画スタートで、実行力が問われる=大和総研
第12期全国人民代表大会(全人代)が終了し、2016年を起点とする第13次5カ年計画がスタートした。大和総研経済調査部主席研究員の齋藤尚登氏は3月28日にレポート「あとは着実な実行を」(全1ページ)を発表し、「習近平政権にとって初の自前5カ年計画となり、これを着実に実行していくことに政権の手腕が問われる」と論評した。レポートの要旨は以下の通り。
3月5日から16日に第12期全国人民代表大会(全人代)第4回会議が開催された。李克強首相の政府活動報告では、「国民経済・社会発展第13次5カ年計画要綱」の柱は、(1)年平均6.5%以上の成長維持、(2)イノベーション、(3)協調(調和)、(4)グリーン(エコ)、(5)開放、(6)共享(共に享受する)の6つであると説明された。(1)では、小康(衣食住が足りた上でややゆとりのある)社会の全面的完成という目標を達成し、2020年までにGDPと国民一人当たりの所得を2010年比で倍増させるには、今後5年間は年平均6.5%以上の実質成長率を維持しなければならない、とした。(2)~(6)は昨年10月の「中国共産党中央の国民経済・社会発展第13次5カ年計画に関する建議」で提示された「5つの発展理念」が踏襲されている。
中国の実質成長率は2010年の前年比10.6%を直近のピークに5年にわたり減速傾向が続き、2015年は同6.9%だった。2012年には生産年齢人口が減少に転じ、同年に第三次産業のウエイトが第二次産業を逆転し、2015年は第三次産業が50.5%、第二次産業は40.5%へと差が拡大した。需要項目別には投資、産業別には製造業が牽引役であった高度成長期は既に終わりを告げ、消費とサービス業が牽引役となる「中高速」成長が到来したというのが中国政府の認識である。
「イノベーション」が5つの発展理念の筆頭に掲げられたのには、理由がある。2006年以降の最低賃金大幅引き上げを機に拍車がかかった労働コストの急上昇や、長期にわたった持続的元高などにより、中国の労働集約的な産業・製品の価格競争力は大きく低下した。一帯一路(海と陸のシルクロード)構想には、競争力を失った同産業の海外移転を促進する側面がある。自国に残った産業をアップグレードしなければ、空洞化は避けられず、成長率が急低下するリスクが高まることになる。これが、中国がイノベーションを最重視する、切実な背景となっているのである。
「調和(協調)」で重視されている戸籍ベースでの都市化率引き上げは、賃貸・分譲住宅の実需を増やし、インフラ需要や消費需要を刺激する。「グリーン(エコ)」では、大気・水質・土壌汚染の改善が喫緊の課題であることは、人々の健康や食の安全の観点からも言を俟たない。「開放」では一帯一路構想を強力に推し進め、アジアインフラ投資銀行(AIIB)がこれを資金面でバックアップする。「共享」では改革・開放政策の恩恵を享受できていない7000万人もの貧困層の貧困からの脱却が一大テーマとなる。
2012年11月の党大会で誕生した習近平政権にとって、第13次5カ年計画は初めて自前で手掛けた5カ年計画となる。如何にしてこれを着実に実行していくか、現政権の手腕が改めて問われよう。(情報提供:大和総研、編集担当:徳永浩)
大和総研経済調査部主席研究員の齋藤尚登氏は3月28日にレポート「あとは着実な実行を」(全1ページ)を発表し、「習近平政権にとって初の自前5カ年計画となり、これを着実に実行していくことに政権の手腕が問われる」と論評した。
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2016-03-28 13:45