米金利引上げは6月以降か・・・? 外為オンライン佐藤正和氏

米国の金利引上げシナリオが、ここに来て再び注目されたものの、相変わらず米ドルの買い圧力は弱いままだ。米地区連銀総裁による「タカ派的な発言」でも市場はあまり動いていない。そんな中で、4月1日に発表された米雇用統計は、わずかではあるが好転したものの為替市場はほとんど動かなかった。その一方で、日銀短観の数字が悪化した日本の株式市場は大きく売られた。4月の米金利引上げの可能性は薄いのか。日銀のマイナス金利拡大はあるのか。外為オンラインアナリストの佐藤正和さん(写真)に不透明感が拡大する4月相場の行方を聞いた。 ――イエレンFRB議長の発言で米利上げの可能性が出てきましたが?  3月のFOMC(連邦公開市場委員会)後に行われた記者会見で、イエレン米FRB議長は年内利上げの可能性を示唆しました。加えて、FRB関係者からも早期利上げに積極的な発言が相次ぎ、為替市場は一気にドル買いのトレンドにいくのではないかと思われました。とりわけ、セントルイス連銀のプラード総裁は「4月のFOMCで利上げを検討すべきだ」と発言するなど、タカ派の動きが目立っていました。 ところが、イエレンFRB議長が3月29日の講演で、再び利上げに消極的なハト派的な発言に終始したために、市場の早期利上げ観測は一気に後退。さらに、4月1日発表された米国雇用統計でも、非農業部門雇用者数がプラス20万5000人の市場予想に対して、プラス21万5000人と数字的には微増。結局、マーケットもほとんど反応しませんでした。 4月は、26日、27日にFOMCがありますが、金利引上げの可能性はほとんどなくなったと言って良いのではないでしょうか。5月はFOMCがありませんから、利上げは早くても6月以降ということになります。利上げ観測が後退していることで、為替市場の膠着感はますます強まったといえるでしょう。 ――4月1日発表の日銀短観は想定を超える数字が出ました。4月の日銀の動きは? 一方の日本ですが、「日銀短観」が市場予想を大きく下回る結果が出て、日経平均株価が600円前後も下げました。とりわけ、注目されたのが大企業製造業の業況判断DIで、前回の昨年12月と比べて6ポイントも下落。加えて、大企業・製造業の想定為替レートが15年度の1ドル=119円80銭から、16年度は117円46銭と円高方向に切ったことも、為替市場に不安感を与えたと言って良いでしょう。 もっとも、日銀短観の悪い数字が出たことで、市場には日銀の追加緩和やマイナス金利拡大があるのではないかという観測が拡大。さらに、安倍政権の消費税率上昇の再延期が現実味を帯びて来たとも言われています。7月の参院選のことを考えると、早く手を打つ必要があるのも事実です。 とは言え、マイナス金利の拡大などはもう少し市場の動向をウォッチして、その効果や成果を見極めたいというのが日銀の本音ではないでしょうか。いずれにしても「消費税率引上げ延期」「財政出動」「マイナス金利拡大」の3点セットが揃わないと、なかなか為替、とりわけドル円相場は動かないかもしれません。 ―-4月のドル円相場の見通しを教えてください。  そういう意味では、4月の「ドル円」の予想レンジは1ドル=110円-115円のボックス相場と見ています。1ドル=110円を切る場面もひょっとしたらあるかもしれませんが、そうなるともっと大きなボラティリティ(変動幅)が出るかもしれません。  いずれにしても、4月26日、27日のFOMC、27日-28日の日銀の金融政策決定会合でどんなコメントが出て来るのか注目したいところです。特に、4月の金融政策決定会合では経済・物価情勢の展望レポートが同時に発表されます。その内容にも注目したいところです。 ――ベルギーのテロ事件で地政学リスクに揺れるEUですが、4月のユーロやポンドの動きはどうでしょうか?  4月10日に、ECB(欧州中央銀行)理事会が開催されますが、ベルギーのテロ事件をはじめとしてギリシャの財政危機、原油価格の不安定さ、ロシア情勢など複合的なリスクを抱えて、ECBもなかなか動けないでいる、というのが現実ではないでしょうか。  加えて、6月23日に予定されている英国のEU離脱を問う国民投票を控えて、ユーロ市場は動きにくいのかもしれません。おそらく、10日の理事会までは売られて、その後は買い戻し、という具合にボックス相場が続くと考えられます。個人投資家にとっては、分かりやすい相場と言えるかもしれません。  英国ポンドも、国民投票の結果が分かるまでは不安定な動きをすることが予想されます。4月のレンジとしては、「ユーロ円」は1ユーロ=123円-129円、「ユーロドル」では1ユーロ=1.10ドル-1.14ドル。英国ポンドは「ポンド円」で1ポンド=158円-164円というところでしょうか。 ――豪ドルは、中国の全人代も終わって落ち着いていますが?  「豪ドル円」に関しては、4月は1豪ドル=83円-87円と予想しています。利下げの可能性も少なくなりましたし、原油などの資源価格も一時期の底値ゾーンを抜けて、やや回復しつつあります。とは言え、最大の懸念材料である中国経済の行方にはまだ不安が残ります。  全人代は無事終わったものの、相変わらず人民元安が続いており、GDPに対する民間債務の比率は200%を超えるなど、リーマンショック時の160%を大きく超えています。もうしばらくは中国の動静に目を離せないかもしれません。 ――4月相場で注意すべきポイントは?  4月は、継続して原油価格、株価、そして中国情勢に注目すべきでしょう。とりわけ、4月末には日本がゴールデンウィークに入るため市場参加者が少なくなり、流動性が乏しくなる可能性があります。  毎年のことですが、ゴールデンウィーク前後は大きなボラティリティ(変動幅)に注意して、ポジションを控え目にすることが大切。さらに、常に円安方向にかけるのではなく、市場の動向に合わせて柔軟に動くことも求められます。(文責:モーニングスター)。
4月の米金利引上げの可能性は薄いのか。日銀のマイナス金利拡大はあるのか。外為オンラインアナリストの佐藤正和さん(写真)に不透明感が拡大する4月相場の行方を聞いた。
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2016-04-05 11:15