米国の住宅は再び回復-米経済の正常化が2014年の世界経済を牽引-=村上尚己

  秋口以降発表される米国の経済指標は総じて改善し、米経済の底堅さは増している。それは雇用や消費だけに止まらず、住宅市場でも顕著になっている。2013年央に米長期金利の上昇で、夏場から住宅市場の回復が一服していた。ただ停滞が一時的に止まり、再び住宅市場が改善に転じる兆候が増えている。   11月27日レポートで紹介したが、新築住宅着工許可件数が9,10月と2か月連続で伸びた。住宅ローンの金利上昇を乗り越えて、住宅需要が再び回復し始めている可能性を示した。一方、許可件数の動きは住宅需要回復を示しているが、フレが大きい集合住宅(コンドミニアム)の大幅増加で牽引されている面もあり、その持続性に若干不安があった。   ただ、その不安を打消す格好で、米国の住宅市場が再び回復し始めていることを示す指標が、昨日(12月17日)発表された。住宅建設業界の景況指数である全米ホームビルダー協会による住宅市場指数(12月分)が58と前月から大きく改善し、8月の水準まで再び戻った(グラフ参照)。同サーベイは、集合住宅だけでなく、住宅市場全体が再び回復に転じつつあることを示している。   住宅価格上昇と家計の過剰債務返済(バランスシート調整)の和らぎで、住宅購入意欲が高まり、夏場の住宅ローン金利上昇によるネガティブインパクトがほぼ吸収されたということだろう。   2000年代の歴史的なバブル崩壊後の住宅部門の復調は、足元で米国経済の正常化が進んでいることを示している。これまで米経済の足枷となっていた要因(政府の緊縮財政・家計の過剰債務)が和らぎ、米経済の正常化が一段と進むとみられる。力強い米経済が牽引する格好で、2014年の世界経済に明るさが広がるだろう。(執筆者:村上尚己 マネックス証券チーフ・エコノミスト 編集担当:サーチナ・メディア事業部)
秋口以降発表される米国の経済指標は総じて改善し、米経済の底堅さは増している。それは雇用や消費だけに止まらず、住宅市場でも顕著になっている。2013年央に米長期金利の上昇で、夏場から住宅市場の回復が一服していた。ただ停滞が一時的に止まり、再び住宅市場が改善に転じる兆候が増えている。
economic,fxExchange
2013-12-18 17:30