【IPO】オウチーノ、賃貸サイト刷新で攻勢、国交省政策も追い風

住宅・不動産専門サイト「O-uccino」を展開するオウチーノ <6084> が2013年12月11日、東証マザーズに新規上場した。公募価格3500円(単元:100株)に対して、11日午前中は買い注文が殺到して値が付かず、14時13分に8050円で初値を付けた。その後、9550円まで買い進められたものの、終値は6600円だった。
■沿革
オウチーノは、「週刊賃貸」の編集長を務めていた井端純一氏が、2003年に創業した。住宅情報に関する紙媒体(雑誌)に対して限界を感じていた井端氏が、「インターネットのスピード、情報のボリューム・品質において、既存の住宅サイトを凌駕するサービスを提供する」ことを目的に住宅専門サイトを立ち上げた。
設立当初は、新築物件の購入紹介で頭角をあらわした。「家を買う、をギャンブルにしない」をテーマに、7ページにわたる詳細な物件情報を紹介。事前に物件を比較検討できるような詳細な住宅情報サービスを実施して人気を得た。当時は、物件の概要のみを1ページで紹介し、詳しくはモデルルームで説明するということが一般的だった住宅情報サイトとは大きく違う特徴が消費者に支持された。
その後、中古物件情報、リフォーム業者紹介、そして、2010年には賃貸事業をスタートした。現在の主要事業は、「新築物件」「中古物件」「賃貸」の物件情報、および、「リフォーム」「建築家」の紹介、そして、子会社デュアルブレインにおけるインターネット広告事業。現在の売上の80%程度は、新築物件情報からの収入になっているが、井端氏は「今後の中古物件、また、2014年5月にサイトを全面リニューアルする賃貸情報の成長に期待している」という。
■業績
2012年12月期実績は、売上高13億99百万円(前期比17%増)、経常利益2億25百万円(同3.8倍)。2013年12月期予想は、売上高16億24百万円(同16%増)、経常利益2億46百万円(同9%増)と増収増益を見通す。
1株あたり当期純利益額は、2009年12月期のマイナス28.18円が、2010年12月期に27.49円、2011年12月期に25.88円となり、2012年12月期には108.31円に拡大。2013年12月期には135.62円にまで伸びる見通し。(※2012年10月5日付で実施した1株につき400株の株式分割を、2009年1月に実施したと仮定しての推移。2013年12月期の見込みは、公募予定株式数=13万株を含めた予定期中平均発行済株式数で算出)
■展望
井端氏は、今後を展望し、「中古住宅市場の拡大に大きなビジネスチャンスを感じる」とする。国土交通省の「中古住宅・リフォームトータルプラン」(2012年3月発表)によれば、中古住宅流通およびリフォーム市場の市場規模を、現状の10兆円規模から2020年3月までに20兆円市場に倍増させる計画。井端氏は、「中古住宅市場は、日本の成長エンジンのひとつとして期待され、新築偏重の現在の持家市場が、2015年-16年に中古市場の拡大によってパラダイムシフトといってよいほどに、大きく変貌する」と見通す。
1978年に空家が268万戸だったものが、2008年には765万戸に拡大、その後も年間10万戸程度で増え続け、2050年には1550万戸の空家が出現すると見込まれている。国交省がめざす「リフォームによる住宅ストックの品質・性能を高め、中古住宅流通により循環利用されるストック型の住宅市場に転換する」という目標は、同社が進める充実した中古住宅情報サイトのニーズを高めるという。
「中古O-uccino」は、物件が立地する近隣の物件売買情報に基づいて、物件の「想定賃料」「想定利回り」「PER(収益力=物件価格/物件の年間想定家賃)」を表示していることが特徴。物件の価値を客観的に判断する材料を提供することで、納得の物件取得につなげている。また、首都圏や主要都市に立地する物件については、中古物件の情報が集中する三井不動産、住友不動産、野村不動産、東急不動産などの大手不動産各社の情報を集約し、高い品質の物件を8万5000件以上そろえている。
このような中古物件市場が成長することによって、優良リフォーム業者を紹介する「リフォームO-uccino」や、建築家を紹介する「建築家O-uccino」など、関連事業の成長にもつながる。
一方、賃貸情報を提供する「Cariruno(キャリルーノ)」に関しては、14年5月のサイトリニューアルを経て、「3年後には賃貸分野で年商20億円をめざす」と意欲的に取り組む。井端氏は、「もともと賃貸情報を専門にしていた。これまで培ったノウハウをつぎ込んで、業界に一石を投じる考え。5月に改めて会社を立ち上げる覚悟で臨む」と意気込んでいる。(編集担当:徳永浩)
住宅・不動産専門サイト「O-uccino」を展開するオウチーノ が2013年12月11日、東証マザーズに新規上場した。公募価格3500円(単元:100株)に対して、11日午前中は買い注文が殺到して値が付かず、14時13分に8050円で初値を付けた。
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2013-12-11 18:30