【為替本日の注目点】ルー米財務長官再び円安をけん制

 ドル円は米経済指標が良好だったことから109円台半ばまで買われたが、ルー財務長官の発言をきっかけに円が買われた。一時は108円58銭までドル安円高が進み、日米高官の発言にも注目が集まる。  ユーロドルはじり安となり、1.1283まで売られる。約2週間ぶりの安値をつけ、トレンドラインの下限を試す。  株式市場は反落。小売決算が冴えなかったことが市場全体の重石となる。ダウは185ドル売られ、ナスダックは3日続落。  債券は反発。株価が大きく下落したことで買い優勢に。長期金利は1.7%台まで低下。  金は小幅に反発し、原油価格は反落。   4月小売売上高               → +1.3% 4月生産者物価指数             → +0.2% 5月ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値) → 95.8   ドル/円108.58 ~ 109.57 ユーロ/ドル1.1283 ~ 1.1356 ユーロ/円122.65 ~ 123.82 NYダウ  -185.18 → 17,535.32ドル GOLD +1.50  → 1,272.70ドル WTI  -0.49    → 46.21ドル 米10年国債  -0.052  → 1.700%   本日の注目イベント 米   5月NY連銀製造業景気指数 米   5月NAHB住宅市場指数  14日土曜日、経済紙の朝刊に「安倍首相、消費税増税延期を決断」との見出しが一面に掲載されていました。景気がおもわしくなく、熊本地震のことも考慮すると、2017年4月からの消費税増税を延期することが適切との判断で、問題は延期の期間だといった内容でした。消費税増税延期は、ある程度予想していましたが、これは株式市場には好材料で、週明け16日の東京株式市場の動きが注目されますが、他のメディアはほとんど伝えていません。株価が大きく上昇すればドル高要因と考えられ、ドル円の動きにも関心が集まりますが、今朝のオセアニアでは目立った変化はありません。  ルー米財務長官は先週金曜日の講演で、再び通貨安競争に懸念を表明し、日本の円安誘導をけん制しました。長官は「通貨安競争は連鎖する。限られたパイを奪い合うだけで世界のためにはならない」と発言し、明らかに先週の麻生大臣の「介入発言」を意識した発言と思われます。先週麻生財務大臣は、「介入の用意がある」と発言し、明確に「介入」という言葉を使いました。これにより、今回は政府日銀も本気で円高阻止に動くのではないかといった観測が強まり、ドル円は109円台まで押し戻されました。  米国ではドル高による企業業績への懸念があり、反対に日本では急激な円高でこちらも2017年4月決算では減益が予想されています。どちらにも理由があるように見えますが、2011年の75円台から昨年6月の125円台まで、急激な円安が進みましたが、米国からは一切この種の発言はなく、ここに来てにわかに出てきたことにやや戸惑いもあります。政治的な背景があることは容易に想像がつきます。     今週末には仙台でG7が開催されます。当然ここでの麻生財務大臣と、ルー財務長官の発言は注目されます。日本側としてはここ数ヶ月の急激な円高は好ましくないとの説明をすると予想されますが、果たして米国がこれに応じるのかどうか。また声明文に「通貨安競争は回避すべき」との文言が入れられるのかどうかが焦点になります。  ドル円は105-110円のレンジで推移しており、このレンジを上に抜けるのか、あるいは下に抜けるのかによって、今後の相場に大きなトレンドをもたらします。 特に下抜けして、政府日銀が介入できなかった場合の影響は大きいと思われます。その場合には100円の大台を割り込み、「二桁」の相場展開になることも想定できます。日米貿易摩擦が極端に偏っているわけではありません。対GDP比で見たら、ドイツや中国の方が日本よりも米国にとって脅威のはずです。  本日のドル円は上述のように、日本株がどのような動きをするのかに、いつも以上に注目しています。「消費税増税延期」の効果が見られないようなら、ドル円も再び下値を試すことになりそうです。予想レンジは108円~109円30銭程度を見ています。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は米経済指標が良好だったことから109円台半ばまで買われたが、ルー財務長官の発言をきっかけに円が買われた。一時は108円58銭までドル安円高が進み、日米高官の発言にも注目が集まる。(イメージ写真提供:123RF)
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2016-05-16 09:30