大きなイベントが接近し、米ドルと英ポンドの値動きが拡大=外為どっとコム総研

 外為どっとコム総合研究所のシニアテクニカルアナリストの川畑琢也氏(写真)は、当面の為替市場は価格変動率(ボラティリティ)が大きく出やすい環境にあるとして、利上げのタイミングが接近したとみられている米ドルと、EU離脱を問う国民投票が迫ってきた英ポンドを中心に気の抜けない展開が続くと語った。川畑氏に、テクニカル分析による当面の予想レンジ等を聞いた。  ――米国の利上げ期待と、日本の消費増税先送りによって、一時的に1ドル=111円台の円安に進んだドル/円ですが、当面のポイントは?  現在の外為市場は、米国の利上げが6月、または、7月に実施されるという期待感によって形成されています。ドル/円は当面の安値のメドとされてきた1ドル=105円~106円の水準で下げ止まったことで、下落に一服感がでている。  この105円~106円の水準は、2011年の安値(75.320円)から、2015年高値(125.853円)の上げ幅の38.2%押し(106.549円)、また、2014年10月の安値(105.189円)が位置している。この点では、昨年末から今年4月までの下落相場は、2011年から約4年間にわたって続いた大きな上昇相場の調整局面であったとも考えられます。  ドル/円の反転が米国の利上げ期待を背景にしていることから、6月3日の米雇用統計、6日のイエレンFRB議長の議会証言に続いて、6月14日・15日のFOMC(連邦公開市場委員会)がひとつの山場になります。そして、6月23日の英国民投票を経て、7月の米FOMCにつながります。この間、7月までの利上げ決定のシナリオが崩れない限りは、ドル高基調が続くと思います。4月28日高値の111.882円を超えると、週足の一目均衡表の基準線が位置する114円台半ばへの上昇が期待できます。  反面、7月までの米利上げが見送られる公算が高まったり、あるいは、英国民投票の結果でEU離脱が選択されてリスクオフになった場合、ドル/円相場の重石となる事が予想されます。安値のメドは、日足の一目均衡表の転換線(110.275円)、または、基準線(108.716円)。この水準を下回ると5月3日の安値である105.549円など、105円台が再び意識されることになるでしょう。  当面の予想レンジは、1ドル=110円~114円。メインシナリオは、7月までに米国が利上げを実施し、米ドルが上昇する展開ですが、1ドル=115円は今年2月以降の抵抗が大きかったことから、簡単には抜けない壁になると思います。  今年の後半は、米国の大統領選挙を巡って不透明感が強まって動きにくい展開になると考えます。したがって、米ドルの本格的な上昇相場は、7月までの利上げが実現し、12月の再利上げが実施されることを前提に、来年以降になると考えます。  ――5月になってユーロが下落したユーロ/ドルの今後は?  米国の利上げ接近を材料としたドル高基調にあります。現在は、昨年11月の1ユーロ=1.05177ドルを起点とした下値切り上げ型のチャネルライン(一定の幅がある帯のようなゾーン)を形成し、その下限に近づいています。1ユーロ=1.11ドル近辺はチャネルの下限になるので、ここを維持できるかどうかが当面のポイントです。下抜けると、1ユーロ=1.05ドル前後に向けた下落トレンド入りの公算が高まります。  現在、ECBは3月に実施した利下げを含む緩和策の浸透を見守っているところなので、6月2日の理事会で何らかのアクションはないとみられます。ユーロ圏の経済は回復基調ですが、インフレ率はゼロ近辺にあり、ECBが目標にしているインフレ率2%弱には遠く及びません。このため、ECBの緩和的なスタンスに変化はないと思います。  一方、英国のEU離脱を問う国民投票で、英国がEU離脱を選択した場合は、ユーロにもネガティブな影響が及ぶことは避けられません。この際には1ユーロ=1.05ドル台もあり得ます。  当面の予想レンジは、1ユーロ=1.08ドル~1.13ドルとみています。  ――その他、注目されている通貨ペアは?  ポンド/ドルの動きが大きく出そうです。現在、6月23日の英国民投票においてEU離脱の可能性が遠退いたという見方で英ポンドが堅調な値動きになっています。  ただ、チャート上は200日線が上値の抵抗線として働いています。現在、200日線(1.4759ドル近辺)が下降していて上値が重くなっている状況です。また、今年に入ってから75日線(1.4334ドル近辺)が分水嶺として機能し、下値の支持線の役割を担い始めています。現状では、6月23日の投票日に向けて、いったんポンド安方向に動くタイミングです。国民投票の結果を待っている期間の予想レンジは、1ポンド=1.42ドル~1.50ドルと見ます。  投票結果については、結果を見て動くことも方法です。投票日までに、現状よりもポンドが高い水準で推移していれば、EU残留が選択された場合でも「材料出尽くし」で下落する可能性があります。あるいは、投票日前にポンドが下落していた場合は、EU残留決定でポンド高という動きも考えられます。  反対に、EU離脱となった場合は、ポンドの下落は大きくなりそうです。そこに加えて米国が6月利上げを発表した場合は、ドル高とポンド安がダブルで効いてきますので、1ポンド=1.4ドルの水準を割り込んでポンド安が進むこともあり得ます。(編集担当:徳永浩)
外為どっとコム総合研究所のシニアテクニカルアナリストの川畑琢也氏(写真)は、利上げのタイミングが接近したとみられている米ドルと、EU離脱を問う国民投票が迫ってきた英ポンドを中心に気の抜けない展開が続くと語った。
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2016-06-01 09:45