英国国民投票の結果に注目!・・・外為オンライン佐藤正和氏

6月3日に発表された米国雇用統計の非農業部門雇用者数は、予想を大きく下回る3万8000人の増加にとどまった。米金利引上げの予測が大きく後退したとみられて、為替市場も一気に円高が進んだ。米国金利引上げの可能性が薄らぐとともに、6月は英国の「EU離脱」を問う国民投票もある。果たして6月も円高圧力は高まるのか・・・。一方、日本は参院選に突入するが、日銀の追加緩和の動きも気になるところだ。まさに、イベントの多い波乱含みの6月相場という感じだが、外為オンラインアナリストの佐藤正和さんに6月相場の動向について話を伺った。
――5月の雇用統計で思わぬ結果が出て、円高が進みましたが・・・
6月3日に発表された米国雇用統計で、大きなサプライズがありました。市場予測では16万4000人だった「非農業部門雇用者数」が、わずか3万8000人に留まり、2010年9月以来の小幅な伸びとなりました。加えて、前月の雇用統計分も3万7000人下方修正されました。
米通信大手ベライゾン・コミュニケーションズのストライキによって、同社従業員の給与が支払われず失業者とみなされるなどの事情があったにせよ、個別の事情だけでは説明がつかない大きなマイナスと言えます。その反面、失業率は4.7%と前月の5.0%から改善して2007年11月以来の低水準になりました。
米雇用統計発表前までは、イエレンFRB(米連邦準備理事会)議長のタカ派的な発言もあって、雇用統計の結果次第では6月の「FOMC(連邦公開市場委員会)」で金利引上げがあるのではないかと予想されていたのですが、さすがにこの数字では利上げ観測は大きく後退したと見て良いのではないでしょうか。利上げ観測の後退から一気に円高が進みましたが、しばらくは円高傾向が続く可能性があります。
――日本では消費税増税が再延期され参院選もスタートしますが、ドル円のレンジは?
安倍政権が、消費税増税の時期をさらに2年半再延期することを決定しましたが、アベノミクスの成否が問われる選挙になると思います。この決断が日本経済にどんな影響をもたらすのか不透明ですが、消費税増税再延期を発表したことで、日本国債の格下げは時間の問題だと思われます。現在、どの格付け会社も日本国債の格付けは「シングルA」ですが、安倍政権が明確な財政再建の道筋について何も示さなかったために、場合によっては予想外の大きな格下げになる可能性もあります。
6月のスケジュールでは、日銀の金融政策決定会合が15日-16日にありますが、ここで参院選に合わせて、追加の量的緩和やマイナス金利拡大があるかもしれません。金融政策決定会合の前日から行われる米国のFOMCで、金利引上げの可能性が遠のいたこともあり、円高が進み、株価が下落して行けば、何らかのアクションがある可能性もあります。期待されて結局何もしなかった4月の金融政策決定会合では、株価が大きく下落して「日銀ショック」とまで言われたことを考えると、一応心掛けておくべきでしょう。
「ドル円」のレンジとしては、1ドル=103円-109円と考えています。テクニカル的には、1ドル=111円が一目均衡表の雲を抜けるレジスタンスライン(上値抵抗線)になっていますが、それを抜ければもう少し円安が進む可能性もあります。
――6月といえば英国のEU離脱を問う国民投票がありますが、その影響はどの程度?
6月23日に予定されている英国のEU離脱(ブレグジット)を問う国民投票は、6月最大のイベントと言って良いでしょう。現在のところ、離脱派と反対派が拮抗しており、予断を許さない状況ですが、仮にEU離脱派が過半数を取るようなことになれば、ユーロ安、ポンド安となり、両者の通貨は大きく売られることになると思います。
言い換えれば、円高、ドル高が進むことになり、特にユーロ円、ポンド円などは大きく変動する可能性があります。6月2日に行われたECB(欧州中央銀行)理事会の記者会見で、ドラギECB総裁は「(英国のEU離脱に対して)ECBはどのような結果にも対応できる」と明言しており、予想されるほどの混乱はないのかもしれません。
いずれにしても、23日前後は変動幅が大きくなりますから、無理なポジションは避けて、余裕を持ったほうが良いかもしれません。レンジとしては、「ユーロ円」では1ユーロ=118円-126円、「ユーロドル」が1ユーロ=1.10ドル-1.15ドル。「ポンド円」が1ポンド=150円-165円と見ています。
――OPEC総会でまたしても合意できませんでしたが、クロス円の動きは?
この6月2日に行われたOPEC総会では、4月に続いてまたしても生産調整の合意ができませんでした。資源価格のカギを握る原油価格は、中東諸国の動静によっていまだ不安定な状況と言って良いでしょう。同じく資源価格の動静に影響を与える中国経済は、安定しつつあるようです。
こうした資源価格の動静に大きく左右されるのが、豪ドル相場ですが、6月の予想レンジとしては「豪ドル円」で1豪ドル=76円-82円というところでしょうか。何か不測の事態がない限りは、6月も狭いレンジでの動きになると思います。
――6月相場で個人投資家が注意すべき点とは?
伊勢志摩サミットでは、「リーマンショック級のリスクが高まっている」という表現が出ましたが、消費税増税再延期がどういう形で評価されるのか。格付けの動きなど、金融マーケットの動きをしばらくは注視する必要があると思います。
さらに、6月最大のイベントである英国のEU離脱の国民投票の結果も大きなポイントです。参院選の行方も気になりますが、変動幅の大きな相場になることが予想されます。ポジション管理をきちんとすることを心掛けましょう。(文責:モーニングスター)。
6月3日に発表された米国雇用統計の非農業部門雇用者数は、予想を大きく下回る3万8000人の増加にとどまった。外為オンラインアナリストの佐藤正和さん(写真)に6月相場の動向について話を伺った。
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2016-06-06 10:45