英EU離脱決定後のFX取引は予断を持たずに細かなトレードを=外為どっとコム総研

 英国の国民投票でEU離脱という結果となり、世界の市場が大きく動揺した。依然として、その動揺は収束したとはいえない状況にある。このような中で、何を手掛かりに投資に臨めばよいのか、外為どっとコム総研の研究員、石川久美子氏(写真)に聞いた。石川氏は「当面は流動性に注意し、リスク管理をしっかりし、予断を持たずに細かなトレードを心がける局面」と語った。  ――ドル/円の見方は?  ドル/円は、依然として英国のEU離脱という国民投票の結果の影響によって価格が動きやすい状態です。その時々の市場の関心がどこにあるのかを慎重に見極め、こまめな売買が必要な局面といえます。  まず、英国のEU離脱という投票結果がもたらす不透明感を、市場が払拭できるのかどうかということを見ていく必要があります。EU離脱後の英国の対応について、離脱派は一枚岩ではなく、先行き不透明感は強いです。また、キャメロン首相は選挙結果を受けて辞任しますが9月までは現職にとどまり、EUとの離脱交渉は次期首相が9月以降に行います。次期首相が誰になるのか? どのような経路を辿り、どのような着地点を狙ってEUと交渉が行われるのか? はっきりしない状況は長く続くものと見られます。  現在はEU離脱によって英国がどの程度の不利益を受けるのか、あるいは、EUがこの問題をどのように処理するのかについて、まったく見通しがつかず、さまざまな思惑が交錯する局面です。それが、英ポンドやユーロの価格を動かし、ドル/円も揺さぶられる展開が目先は続くでしょう。ただし、市場は目新しい材料を常に求める傾向にあるため、解決までに長い時間が必要な英国とEUの交渉事にに対しては徐々に反応が鈍くなっていくと考えられます。そのようになれば、ドル/円を押し下げる圧力は後退すると考えられます。  一方、今回の事態が米国の金融政策に与える影響を見極める必要もあります。現在、市場では、英国のEU離脱を受けて米国が利下げするという観測すら出ています。すぐさま利下げへ転換すると見るのはやや極端ですが、7月の利上げは遠のいたという見方が強く、年内の利上げもむずかしいのでは、との見方が広がっています。米国のルー財務長官は、6月27日の講演で、「英国のEU離脱は米国の逆風になるものの、金融市場の秩序は保たれている」と語っており、比較的楽観的な姿勢を示しています。目先のところは米国の経済への影響は限られ、金融政策は市場の様子を見ながら・・・という形になると考えられます。つまり、英国のEU離脱の初期のショック症状が和らぎ、米国経済への悪影響についても懸念が和らげば、ドル/円の戻りが見えてくると見ています。  なお、英国のEU離脱問題は長期化する見通しです。ひとたび市場が関心を失っても、新たな動きが見られれば再度手掛かり材料となる可能性は高いです。ちょうど、ギリシャ問題がたびたび為替市場の波乱要因になったように、今回も不安が高まれば英ポンドが売られ、それが他通貨に波及し、落ち着けば戻るということを繰り返すことになると思います。  当面のドル/円の中心レンジは1ドル=100円近辺~103.50円程度とみます。ただ、EU離脱が英国にとって深刻な経済的影響を及ぼしそうだという見方が強まったところへ、米国の利下げ観測が高まるなど材料が重なると、一気に98円台に下押すということもあり得ます。ただし、米国の利下げ観測は株高要因視されるため、ドル/円を下押し続けるのは簡単ではない他、急激かつ大幅な円高は本邦政府・日銀による円売り介入によって急反発の可能性がある事は留意しておきたいところです。  ――英ポンド/円は?  ドル/円よりも悲観的な見通しにならざるを得ません。英国がEUから離脱することによって、英国経済が被る不利益が大きいことを示す材料が出てきたり、EUとの交渉が混迷する様子が報じられれば、それらはポンド売り要因になる見通しです。さらに、英国経済を下支えるためにBOE(英中央銀行)は金融緩和を行う用意があることを明確にしていますが、教科書的には金融緩和はポンド売りの要因となります。これまで急速にポンド安が進んだ部分について、自律反発の戻りは今後もあると見られますが、戻りは再度売られ、徐々に下値を切り下げる動きになると考えます。  現在のところ、下値のメドはありません。下落のペースこそ6月24日のような大暴落は考えにくいですが、目先に関しても1ポンド=130円を割り込む可能性は十分にあります。1ポンド=160円から短期で大きく下げた後の自律反発狙いでの買いはよほどの注意が必要です。  ――その他の注目銘柄は?  英国のEU離脱は、世界経済にもマイナスの影響を与えるとの見方から、原油は下落しました。これは、新興国通貨や資源国通貨にとっても重しになります。価格変動の幅も大きく、そのスピードも速くなりがちで、流動性に問題のある新興国通貨などは手がけにくい環境といえます。  その点では、流動性の面で不安の少ないユーロ/ドルは、相対的に注目度が高まることになります。ただ、ユーロ圏は英国離脱の影響を最も大きく受ける地域であり、場面によっては英ポンドよりも大きく動く可能性もあります。さらに動きの方向感についても、英国の問題が市場の主な関心事であったり、ユーロ圏の経済や金融政策に注目が集まっている間はユーロ主導でユーロ/ドルに動きが出る可能性がありますが、英国の問題を背景とする米国の金融政策の先行きに関心が集まる場面では、ドルが主導の動きとなる事もあり得ます。つまり、前者は英国不安=ユーロ売りですが、後者の場合は英国不安=ドル売りです。  こうした局面で相場の方向感に予断を持つ事は危険と言えるでしょう。リスク管理をしっかりし、細かいトレード臨む場面だと見ています。
英国の国民投票でEU離脱という結果となり、世界の市場が大きく動揺した。依然として、その動揺は収束したとはいえない状況にある。このような中で、何を手掛かりに投資に臨めばよいのか、外為どっとコム総研の研究員、石川久美子氏(写真)に聞いた。
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2016-06-29 13:00