【コラム】中国で開発途上の低温物流網の構築へ向けて

日本経営管理教育協会が見る中国 第420回 ■ 中国では輸送中に腐って廃棄される野菜や果物が推定年2~3億トンも発生している  果物、野菜、水産物など農林水産物・食品は、低温輸送・保管をしなければならない品目が多いにも拘わらず、低温輸送・保管のシステムが確立されていないため、常温のままで輸送されている。そのため腐敗率・損傷率が極めて高く、日本の青果収穫量の十数倍が無駄になっているのが中国の低温物流・保管の現状である。 ■ 低温輸送の現状  中国では、低温輸送はトラック及び鉄道、水路輸送の3つの方式で行われている。中心となる低温トラックには様々な形態があるが、日本の低温トラックの型式と構造要素とはかなり異なる点が存在している上に、低温トラックの数が少ないという問題点もある。たとえば、通風機装着のトラックは全国で1000台しかないといわれており、低温輸送車両が不足しているため国内で生産された生鮮物、野菜、果物でも常温で輸送されることが多いのである。低温物流事業への参入は初期コストが高いことから、参入業者数は少なく、事業規模も小さい状態にある。多くの日系物流企業が中国に進出しているが、低温物流を手掛ける企業はわずかである。 ■ 低温倉庫の現状  食品を取り扱う低温倉庫を建築するには、交通部から交付される営業免許証が必要となる。一方、運営にあたっては衛生検疫部門の認可が必要となる。中国では、低温倉庫は普通倉庫を改装したものが多い。倉庫の密閉性を保ち、外気の侵入を防ぐための接車設備(トラック・コンテナなどと倉庫戸口の密封ドア)を持つ低温倉庫は、最近新設したものを除けば極めて少ないといわれている。 ■  国内大手小売は中国進出検討を本格化  日本国内の小売市場は、①人口減少・高齢化などの人口動態の変化、②商品からサービスへの支出の変化、③消費者の節約志向への意識シフト等により、1997年をピ-クに減少を続けてきている。  一方でアジア新興国、とりわけ中国は人口増加や経済発展に伴う所得向上を背景に、小売市場規模は拡大基調を継続している。日系大手小売企業はコスト削減により収益性改善を進める中、次の成長戦略として、中国消費市場への事業拡大を志向している。物流に関しても、日本国内の貨物輸送量は減少の一途であり、日系メーカーの海外シフトを主因とする産業空洞化や、公共投資支出の縮小、人口減等といった構造要因がその背景となっている。一方、中国は経済成長に加えて、政府による強力な内需刺激策から、その広域かつ規模の大きい国内物流は、他に類を見ないスピードで拡大している。特に食品を中心とした消費財物流については、冷凍・チルド食品マーケットの拡大に伴い、コールドチェーンの発展が見込まれている。 ■ 今後の展望  中国政府は国内コールドチェーンの課題・問題点を改善すべく、2010年に「農産物コールドチェーン物流発展計画」を公表し、国内コールドチェーン物流の構築に向けて、発展目標や政府部門の主要任務、重点プロジェクトなどを定めるとともに、コールドチェーン物流に関する5ヵ年計画を発行している。中国での低温輸送・保管システムが構築されるようになれば、中国での農家の収入も増えるであろうし、収入が増えれば、安易に農薬に頼らず、土づくりに励むようになるであろう。中国での食の安全が高まれば、日本人も安心して中国の野菜。果物を食べるようになるだろう。そして、中国でのコールドチェーンの構築が(執筆者:日本経営管理教育協会・水野隆張 編集担当:サーチナ編集部)(イメージ写真提供:日本経営管理教育協会)
中国では輸送中に腐って廃棄される野菜や果物が推定年2~3億トンも発生している。腐敗率・損傷率が極めて高く、日本の青果収穫量の十数倍が無駄になっているのが中国の低温物流・保管の現状である。(イメージ写真提供:123RF)
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2016-07-20 16:45