今年はマイナス成長も:全面的に景気後退=香港ポスト

■全面的に景気後退  金融機関や研究機関が7月に発表した香港経済の見通しに関するリポートでは、こぞって域内総生産(GDP)伸び率予測が下方修正された。世界経済の先行き不透明、英国の欧州連合(EU)離脱決定などのマイナス要素から香港の消費・投資活動は引き続き低迷するとみられ、すでに全面的に景気後退(リセッション)に陥ったとも指摘されている。  香港大学経済及商業策略研究所が発表したリポートでは、第2四半期のGDP伸び率を前年同期比で0.5%、第3半期には1%へやや改善すると見込んでいるものの、通年伸び率予測は先に発表した1.5%から1.2%に下方修正した。昨年通年の2.4%を大きく下回ることとなる。  個人消費伸び率は第2四半期が0.9%で、第3四半期に1.3%へと改善するとみているが、昨年第2四半期の6.8%、昨年第3四半期の4.4%に比べると大幅な減速となる。輸出伸び率は第1四半期のマイナス3.6%、第2四半期のマイナス2.7%から第3四半期はマイナス1%まで改善するが、失業率は第2四半期の3.4%から第3四半期は3.5%に悪化すると見込んでいる。  投資銀行モルガン.スタンレーのリポートでは、今年のGDP伸び率予測を先に発表した1.7%から1%に、来年については2.1%から1.3%に引き下げた。一方、物価上昇率(CPI)伸び率予測は今年について2.2%から2.4%に、来年について1.5%から1.7%に上方修正した。モルガンは米国の経済成長を悲観し2017年末まで利上げしないとみており、香港の基本金利も来年第4四半期まで現在の0.75%を維持するとの見方を示した。  恒生銀行の最新リポート「経済透視」では、小売業総売上高が第1四半期の前年同期比11.2%減から4~5月は同8.4%減に改善、輸出伸び率も4月の前年同月比2.3%減から5月は同0.1%減に改善したものの、基本要素は依然疲弊していると指摘。5月の耐久消費財の売上高は2月以降で最大の落ち込みとなり、世界経済の先行き不透明と金融市場の動揺が家庭の消費活動に影響しているとみる。  英国のEU離脱決定によるマイナス要素から香港では企業と家庭ともに消費・投資にさらに慎重になると予想。先行き不透明によって米ドル高となり香港の貿易・投資への圧力が増すことから、今年のGDP伸び率予測は先に発表した1.5%から1.3%に引き下げた。  最も悲観的な予測となっているのが野村国際(香港)のリポートで、香港経済は今年、全面的にリセッションに陥るとの見通しを示した。リポートでは今年と来年のGDP伸び率予測を下方修正。16年は先に発表した0.8%からマイナス0.2%に、17年は1.5%から0.5%にそれぞれ引き下げた。購買担当者指数(PMI)はすでに50を下回っており、6月にさらに下落したことで全体経済の下振れ傾向を示している。PMIはGDPと連動することから第2四半期のGDP伸び率はマイナスとなり、技術的には上半期にすでにリセッションに入ったという。また英国のEU離脱決定も香港に打撃を与えるとみる。国際金融センターである香港はアジアの中で最も世界のマイナス要素による影響を受けやすく、米ドル高も観光業や小売業に不利になると指摘している。  このほかの金融機関が予測している香港の今年のGDP伸び率は、クレディスイスが1.3%、シティバンクが1.1%、バンクオブアメリカ・メリルリンチが1%などとなっている。 ■GDPは広州・深センを下回る  特区政府統計処が発表した5月の小売り統計によると、小売業総売上高は前年同月比8.4%減の357億ドル(速報値)で、15カ月連続の減少となった。売上高の減少が目立ったのは、その他耐久消費財の同34.6%減、電器・撮影器材の同25.2%減、宝飾品・時計・高級贈答品の同18.7%減など。政府スポークスマンは「多くの小売業者の売り上げは引き続き前年同月比でマイナスを記録している。一部は観光業の低迷によるものだが、一部は不況下による市民の消費意欲の減退による」と述べた。  日本経済新聞社と金融統計機関マーキットが発表した6月の香港のPMIは45.4で、5月の47.2から1.8ポイント下落。16カ月連続で景況判断の目安となる50を下回り、下落幅は15年8月以降で2番目に大きい。生産量や新規受注量の指数の下落幅は過去11カ月で最大となった。マーキットのエコノミストは「香港の民間企業の経営状況は5月から息切れ状態が見られ、下振れ傾向は第2四半期末に加速した。英国のEU離脱も含め世界経済は不透明要素で覆われており、民間企業の自信と経営活動は下半期にさらに落ち込むだろう」とコメントした。  6月の貿易統計によると、輸出総額は前年同月比1%減の2965億ドルで、5月の同0.1%減から減少幅が拡大した。14カ月連続の減少となる。上半期の輸出総額は前年同期比3.9%減。香港貿易発展局(HKTDC)の予測では下半期が同4%減、通年でも4%減となっており、中小企業の倒産が相次ぐことも懸念されている。  香港港口発展局が発表した6月のコンテナ取扱量は前年同月比8.6%減の161万2000TEU(20フィート標準コンテナ換算)。5月の同9.1%減から減少幅はわずかながら縮小したが、14年7月から24カ月連続の下落となった。上半期では前年同期比10.5%減の916万1000TEUだった。  世界の主要コンテナ港の上半期の取扱量は、上海が同1.0%減の1784万TEU、シンガポールが同5.1%減の1518万1000TEU、深センが同1.2%減の1143万5000TEU、寧波(舟山)が同2.8%増の1079万TEU、青島が同4.0%増の893万2000TEU。香港は世界5位に甘んじ、通年では03年以降で初めて2000万TEUを割り込むことも予想されている。  広州市発展改革委員会が発表した広州の上半期のGDPは前年同期比8%増の8844億3100万元。広州市社会科学院が予測する伸び率8.1%で計算すると通年のGDPは1兆9600億元となるが、下半期は輸出がピークを迎えることもあり2兆元を超えることが見込まれる。香港の昨年のGDPは2兆4000億ドルで、人民元換算では1兆9200億元。昨年の伸び率2.4%で計算しても1兆9600億元に過ぎないため、昨年に引き続き広州が香港を上回るもようだ。また深センの昨年のGDPは1兆7500億元で、今年上半期の伸び率が約8.6%であるため、通年で2兆元の大台に乗り香港を抜くのも確実視されている。香港はこれ以上、経済的地位を低下させるわけにはいかないだろう。(執筆者:香港ポスト 編集部・江藤和輝 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
金融機関や研究機関が7月に発表した香港経済の見通しに関するリポートでは、こぞって域内総生産(GDP)伸び率予測が下方修正された。世界経済の先行き不透明、英国の欧州連合(EU)離脱決定などのマイナス要素から香港の消費・投資活動は引き続き低迷するとみられ、すでに全面的に景気後退(リセッション)に陥ったとも指摘されている。(イメージ写真提供:123RF)
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2016-08-04 15:00