中国経済が大きく崩れるリスクは限定的、政治的な駆け引きで経済政策のぶれも=大和総研が現状を分析

中国経済の先行きが見通しにくくなっているが、その原因のひとつに、5年に1度開催される党大会が来年秋に迫ってきていることによる「政治的要因」も関係しているのではないか。大和総研経済調査部の主席研究員、齋藤尚登氏は8月22日、「中国:政治の季節とぶれる経済政策」(全9ページ)と題したレポートを発表し、「経済政策が政争の具となっている」と指摘した。レポートの要旨は以下のとおり。
◆「政治の季節」が始まり、経済政策のぶれが指摘されるようになっている。足元の景気を重視するのか、構造改革を重視するのか、で路線の対立があると言われているが、経済政策を巡って対立が激化しているのではなく、経済政策が政争の具となっているのが現実であろう。
◆2016年1月~3月の固定資産投資と金融統計は、中国政府が景気底入れに本気で取り組んでいるとの期待を高めたが、5月9日付けの人民日報が、年初からの行きすぎた金融緩和など一連の経済政策を批判する権威筋の長文インタビュー記事を掲載したあたりから潮目は変わっていく。1月~7月の固定資産投資は前年同期比8.1%増と、1月~3月の同10.7%増から減速し、単月では3月の前年同月比11.2%増から7月は同3.9%増に落ち込んだ。牽引役が不足するなか、当面、固定資産投資の減速が続くことになろう。
◆実質小売売上は昨年を下回る推移が続いている。ただ、ここ数年は急成長するネット販売が11月~12月に安売り攻勢を仕掛け、年々それが大規模化していることが、小売売上の伸び加速に寄与している。足元でもネット販売の急成長は続いており、実質可処分所得が大きく鈍化するようなことがなければ、今年も消費は年末に向けて若干の伸びの加速が期待できるだろう。
◆輸出入(米ドル建て)は前年割れが続いているが、四半期統計を見ると、輸出は2016年1月~3月、輸入は2015年1月~3月が最悪期であった可能性が高い。主要先進国の景気は緩やかながらも回復すると期待され、今後の中国の輸出は急増することはないにせよ、着実に改善していこう。
◆このように、中国経済は固定資産投資が引き続き減速するものの、比較的堅調な消費と外需が下支え役となることで、大きく崩れるリスクは限定的とみている。中国の実質GDP成長率は2015年の前年比6.9%から、2016年は同6.6%程度、2017年は同6.4%程度と緩やかな景気減速が続こう。(情報提供:大和総研、編集担当:徳永浩)(イメージ写真提供:(C)lsgwzdw/123RF)
大和総研経済調査部の主席研究員、齋藤尚登氏は8月22日、「中国:政治の季節とぶれる経済政策」(全9ページ)と題したレポートを発表し、「経済政策が政争の具となっている」と指摘した。(イメージ写真提供:(C)lsgwzdw/123RF)
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2016-08-23 09:15