米利上げ観測の強まりでクロス円にチャンス、ドル/円は分岐点=外為どっとコム総研

 外為どっとコム総合研究所のシニアテクニカルアナリストの川畑琢也氏(写真)は、「米国の利上げ期待を背景にクロス円(ユーロ/円、豪ドル/円など)に妙味が出てきた」という。ただ、ドル/円やユーロ/ドルなどドルを軸にした通貨ペアは、テクニカル面で重要な転換ポイントを迎えており、米国の経済指標に反応するドルの動きをしっかり意識しながら、慎重に投資することが肝心だと語った。  ――1ドル=100円近辺から103円台に乗せてきたドル/円の当面の見通しは?  1ドル=103円台に乗せて、ドル一段高の方向が見えてきた。長い目でみると、相場は約4年続いたドルの上昇に対する調整局面にあると考えられる。2011年安値(75.320円)~2015年高値(125.853円)の上げ幅の2分の1押し(100.587円)達成で下押しに一服感が出て、戻り始めたところからも、依然としてドルの上昇波が続いていると考えられる。  一方、上値を考えると、103円台半ば~105円台前半は、相場の今後を占う分岐点といえる水準だ。この水準には、一目均衡表の雲がかかっており、今年に入ってから雲が強力な抵抗帯となっていることから、4度目の雲抜けトライとなる今回、引値で雲を突破できるかどうかがポイントといえる。雲を突き抜けることができれば、7月21日高値の107.486円、または、15年高値から16年6月安値(98.798円)の下げ幅の38.2%戻しである109.133円をターゲットとした一段高が期待できる。  反対に雲の上抜けに失敗すると、相場が反落する可能性もある。1ドル=101.55円付近にある転換線を下回ると、再び100円の大台をめざすこともあり得る。  現在の焦点は、米国が9月に利上げを実施するか否か。9月2日(金)に発表される雇用統計で、非農業部門雇用者数の増加が3カ月連続で20万人超、あるいは、平均賃金の伸びが加速しているなどの良い結果が出れば、利上げ期待が高まって、ドルが一段高に進むだろう。チャートの面からも後押しするため、力強く高値に進む可能性がある。  当面のレンジは、1ドル=99円~109円で予想する。  ――ユーロ/ドルの見通しは?  週足が7月に引値で雲を上抜け、14年7月に雲を下抜けて以来の変化が現れて注目されたものの、基準線と転換線の関係から三役好転に持ち込めず、相場の勢いの弱さを感じさせた。また、日足は8月に三役好転したものの持続力に乏しく、雲の中に再び入りこんでしまうなど、日足の面で雲を下抜けると6月~7月の下値支持ゾーンである1ユーロ=1.09ドル台前半から半ばが視野に入ってくる。  現在、米国の早期利上げ期待を背景としたドル買いの流れが強く、ユーロが売られやすい環境にある。また、ユーロは金融緩和を基本姿勢としていることから、ユーロ/ドルは下方向の動きが基調になるだろう。ただし、1.09ドル台を割って、次の下値メドである1.05ドル近辺まで下落するには、現在考えられる以上のドル買い/ユーロ売りの材料が必要になると考える。  ドルについては9月の利上げの有無が焦点だ。9月を超えると、米国では11月が次の金利変更タイミングになるが、今年は大統領選挙と重なるために、11月の利上げはないという見方が強い。一方、ユーロ圏ではインフレ率がマイナス圏から浮上し、PMIが50以上を維持するなど、Brexit(英国のEU離脱)の影響が限定的にしか現れていない。現状では9月8日のECB理事会で大きな政策変更は見込めないため、ユーロ発の材料は出にくい環境だ。  当面のレンジは、1ユーロ=1.14ドル~1.08ドルを予想する。ただ、週足をみると、価格の反転時に上値では大きな上ヒゲが出たり、下値では大きな陽線が立つような傾向がある。順張りでトレンドを追いかけすぎると、突然、梯子を外されたような反転相場になる特徴があり、順張りでの深追いには気をつけたい。  ――その他、注目の通貨ペアは?  ユーロ/円の動きが面白い。8月末に、半月以上続いた1ユーロ=112円~114円のレンジ相場を上抜けて115円台をつけてきた。現在、1ユーロ=116円~116円半ばに一目均衡表の雲がかかっているが、この雲を上抜けることができるかどうか注目される。  ユーロ/円は、今年5回も雲に阻まれて反落したという経緯がある。今回は6度目の挑戦になるが、環境は強含むドルを背景に、ドルに対する円とユーロの関係では、円の方がより弱く、ユーロ/円には追い風の状況だ。今回、雲を抜けきることができれば、1ユーロ=118円~119円が狙える。雲に跳ね返された場合は、これまでのレンジ相場の上限である114.031円、または、下限の112.317円が下値メドとなる。  円とユーロの需給関係をみると、シカゴIMM通貨先物で、ドル/円で円の買い越しポジションが過去10年来のピーク近辺から、やや減少した水準。一方、ユーロ/ドルではユーロの売り越しポジションが4週連続で縮小している状況だ。このポジションの関係からも、ユーロ買い/円売りの傾向が出やすい。全般に、米利上げ期待が浮上するも米国株が崩れていないため、クロス円には追い風が吹いている。米国の経済指標に注目しながら、チャンスを捉えたい。
外為どっとコム総合研究所のシニアテクニカルアナリストの川畑琢也氏(写真)は、「米国の利上げ期待を背景にクロス円(ユーロ/円、豪ドル/円など)に妙味が出てきた」という。
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2016-09-01 09:30