最大のイベント米大統領選の行方に注目 外為オンライン佐藤正和氏

外為市場のドル円相場は、10月最後の週になって3か月ぶりに1ドル=105円台を回復した。12月の米国利上げ観測が強まり、長期金利の上昇からドル高円安が進んだものの、このままの水準が続くのかどうか・・・。11月は米国大統領選挙という大きなイベントもある。米国の金利引上げはいつになるのか。日銀のマイナス金利の深堀りはあるのか。外為オンラインアナリストの佐藤正和さんに、11月の相場動向について話を伺った。
――米国の金利引上げはあるのでしょうか?
11月1日-2日にかけて「FOMC(連邦公開市場委員会)」が開催されていますが、11月の利上げは可能性が低いと思います。イエレンFRB(連邦制度準備理事会)議長の記者会見もありませんし、大統領選の直前ということもあり、利上げはまずないと思っていいでしょう。
そういう意味では、11月最大のイベントと言えるのはやはり米国の大統領選になります。いまのところクリントン氏当選の可能性が圧倒的に高く市場も安定していますが、万一トランプ大統領といった目が出て来ると、ドルは売られ、ニューヨークの株式市場も急落するかもしれません。
実際に、クリントン氏の「私用メール問題」をFBIが再捜査する、というニュースが流れたとたんにドルが売られて、円高が進行。ニューヨーク株式市場も値を下げました。11月8日の大統領選前後は注意深く市場をウォッチする必要があります。
――12月利上げの可能性は高いと見て良いのでしょうか?
11月4日に発表される10月の米雇用統計がひとつの目安になるとは思いますが、すでに17万5000人という好調な市場予想が出ています。仮にネガティブ・サプライズな結果が出ても、他の経済統計も一様に利上げを示唆する結果が出ており、12月の利上げはほぼ間違いないのではないでしょうか。
むしろ、この時期になってくると、来年の利上げが何回になるのかに注目が移っていくことになります。来年の利上げが2回になるのか、3回になるのか。あるいは1回に留まるのか、といった発言がFRBの理事会メンバーなどから出て来る可能性があります。
その発言内容によっても、ドル円相場は動いてくる可能性があります。まだ、完全な「リスクオン」の状況とは言えないため、11月は来年も含めて将来を見据える月になりそうです。
――日本の動きも合わせて11月のドル円の予想レンジはどうなるのでしょうか?
日本銀行の金融政策委員会が、10月31日-11月1日にかけて開催されますが、マイナス金利の深堀り、さらなる量的緩和策が出て来るといった可能性は低いと思います。とりあえず、米国の利上げをまって、どの程度まで円安が進むのか。リスクオンの状態になるのかを見極めるのではないでしょうか。
ただ、私自身はドル円相場は新しいレンジに転換しつつあると考えています。長い間続いた1ドル=102円-103円のボックス相場は、米国の利上げ観測が強まったことで長期金利が上昇。一目均衡表の雲を抜けるなど、テクニカル的には新しいレンジに転換したことを示しています。
大統領選挙、雇用統計そして米企業の企業業績が順調であれば、1ドル=100円割れの可能性はなくなり、11月の予想レンジとしては1ドル=103円-108円と考えられます。いずれにしても、11月8日の大統領選挙が最大のイベントになります。無事にクリントン大統領が誕生すれば、さらなるリスクオンの状態になって、ドルが買われることになるはずです。“トランプ大統領”では円高は避けられないでしょう。
――欧州でも11月はいろいろなイベントがありそうですが・・・?
経営不振や業績不安が懸念されていた「ドイツ銀行」ですが、最近発表された7‐9月期(第3四半期)決算の数字が、2億7800万ユーロ(約300億円)の黒字に転換しました。とりあえず欧州市場に蔓延していた信用不安は落ち着いたと見て良いのではないでしょうか。
ただ、11月はイタリアで憲法改正に関する国民投票が12月4日に行われるため、その情勢次第ではマーケットに影響を与えるかもしれません。加えて、英国のメイ首相が来年3月までにEU(欧州共同体)に対して離脱の意向を通知する方針を示しています。どちらも不安材料になる可能性があります。
ECB(欧州中央銀行)理事会は11月はありませんが、現在進行している金融緩和プログラムの期限が来年3月に迫っています。延長するかどうかは、関係者から出て来る今後のコメントが気になるものの「テーパリング(緩和縮小)」の可能性は低いと思います。
11月の予想レンジとしては、「ユーロ円」が1ユーロ=111円-118円、「ユーロドル」が1ユーロ=1.06ドル-1.12ドル。「英国ポンド円」では、1ポンド=122円-132円と予測しています。
――豪ドル円はどんなレンジを予想しますか? また、11月相場の注意点は?
豪ドル円は、3か月ぶりに1豪ドル=80円台を回復しましたが、その背景にはオーストラリアの7‐9月期のCPI(消費者物価指数)が予想に反して上昇したことがあります。豪統計局によると前年同期比で1.3%の上昇で、市場予想の1.1%を上回る結果です。さらに、コアインフレを示す「トリム平均」も1.7%と上昇しており、11月1日に行われるRBA(オーストラリア準備銀行)理事会での利下げ観測が大きく後退。原油価格など資源価格の落ち着きが追い風になっているのかもしれません。
「豪ドル円」の予想レンジとしては、1豪ドル=77円-82円と見ています。利下げの可能性は少なくなったとはいえ、市場の動きは注意深く見ましょう。
11月は、なんといっても米国大統領選挙の結果次第と言えます。8日前後の市場の動きは乱高下が予想されます。ドル円のレンジが変わった可能性があると指摘しましたが、11月の2週目あたりで1ドル=105円台をキープしていれば、レンジが円安方向に変化し、これ以上の円高の可能性は少なくなったと見て良いと思います。
どんな通貨でも、大きなボラティリティがあったときはチャンスでもあります。チャンスを生かせるように注意深く市場の動きはチェックしておきたいものです。(文責:モーニングスター)
11月は米国大統領選挙という大きなイベントもある。米国の金利引上げはいつになるのか。日銀のマイナス金利の深堀りはあるのか。外為オンラインアナリストの佐藤正和さんに、11月の相場動向について話を伺った。
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2016-10-31 10:30