貧困人口は過去6年で最高 貧富の差は29倍に=香港ポスト

 2015年の貧困人口は134万5000人で、14年の132万5000人から増加。過去6年で最高となった。貧困率は19.6%から19.7%に上昇した。生活保護など恒常的な現金収入が得られる政策の影響を考慮した貧困人口は97万1000人で、14年の96万2000人から増加。ただし3年連続で100万人を下回った。貧困率は14.3%で14年と同じだった。だが65歳以上の高齢者の貧困人口(政策の影響を考慮)は30万8500人で、14年の29万4000人から増加。貧困率は30%から30.1%に上昇し、リタイアした高齢者に限ると貧困率は40.4%に達する。  非政府組織(NGO)の楽施会(オックスファム)は扶貧委員会のサミットに先駆けて過去5年の香港の貧困状況に関するリポートを発表。貧困家庭は14年の45万4100世帯から15年は46万1900世帯に増加。65歳以上の貧困人口も31万9100人から33万2800人に増加し、高齢者の3人に1人が貧困ラインを下回っている。各家庭の月収中位数を見ると、最も裕福な10%の世帯は10万ドル、最も貧しい10%の世帯は3500ドルで、その差は28.6倍。11年の26.7倍に比べると貧富の差は拡大しており、差額は過去5年で21%増加した。  5月から申請受け付けが始まった「低所得在職家庭手当」は梁長官が行政長官選挙時に検討を公約し、昨年1月に立法会財務委員会で予算が認められた代表的な貧困対策だ。児童を持つワーキングプアーの家庭を優先的に支援するもので、就業継続を奨励し生活保護のセーフティーネットに依存するのを防ぐことを目的とする。だが政府は20万世帯計70万人が恩恵を受けると見込んでいたものの、9月半ばまでの申請はわずか3万1000件。特区政府労工及福利局の張建宗局長は、申請条件に資産上限があることや双程証(中国本土からの往復ビザ)を持つ家族がいる世帯は在港期間の条件を満たさないなど、複雑な原因があると分析している。  扶貧委員会のサミットで梁長官は「社会にはより多くの公共住宅を建設するのに反対する人がいる」と指摘。貧困問題の解決には公共住宅の供給拡大が必要だとして支持を呼び掛けた。団結香港基金が発表した「住宅市場の展望と土地供給戦略」と題するリポートによると、今後5年に完成する公共住宅は10万戸足らずで、目標とする14万戸を約30%下回る。公共住宅の入居申請者の平均待ち時間はすでに4年を超えるまでになっている。  公共住宅への入居を申請中の低所得層が主に居住しているのは1つのフラットをいくつかの部屋に仕切って賃貸している極狭アパートだ。梁長官は9月に智経研究中心のパーティーで住宅問題について講演し、11年の旺角や13年の北角で発生した火災では極狭アパートが原因で死者が出たことを挙げ、香港の住宅問題を反映していると指摘した。  極狭アパートは電気・水道メーターを個別に取り付けていないことが多いため、光熱費を多めに負担している住民が多い。環境保護団体の世界緑色組織などは昨年第4四半期から今年第1四半期に極狭アパートなどに住む134世帯を調査。このうち65%が支払っている電気代は中華電力の平均電気代より高く、昨年の統計で4人世帯の電気代は月平均621ドルだが、電気使用量が同等である調査対象は月平均761ドルで、22%多めに徴収されている。調査対象世帯の平均月収は1万1000ドルであるため、電気代は収入の7%を占める。水道代に至っては倍以上徴収されていることも分かった。 ■低所得層の手が届く住宅  房屋委員会資助房屋小組委員会は10月24日に会議を行い、公共住宅資源を有効活用するため、収入や資産の多い富裕住民への政策を引き締める方針を打ち出した。公共住宅では従来、収入と資産がともに上限を超えた場合に立ち退きを要請していたが、これをどちらか一方が上限を超えた場合に変更すると提案。房屋署が意見を集めた後に会議で正式に討議するという。  現在、富裕住民は世帯月収が入居申請条件の3倍、資産が入居申請条件の84倍を超えれば立ち退きを要請される。提案では収入か資産のいずれかが上限を超えれば立ち退きを要請する代わりに収入上限を5倍に、資産上限を100倍に緩和することも考慮する。だが公屋連会主席は、富裕住民を立ち退かせれば民間住宅市場の競争が激化することを懸念し、現在は富裕住民に対する政策を引き締める時期ではないと指摘した。  「低所得層の手が届く住宅」として公共住宅住民だけを販売対象にした物件も間もなく売り出される。これは梁長官が15年の施政報告で打ち出したもので、パイロットスキームとして建設中の分譲型公共住宅を従来より廉価で販売する措置だ。対象は賃貸型公共住宅の住民と入居待ちの市民に限られ、新蒲崗に建設中の「景泰苑」が第1号となる。10月20日から11月2日まで購入申請を受け付け、12月に抽選、来年5月末に入居が可能となる。「景泰苑」は計857戸。価格は7月の市場価格から40%引きで設定され、最も小さい物件は実用面積約195平方フィートで94万~119万ドル、最も広い物件は約490平方フィートで226万~298万ドル。最も安い物件は頭金4万7000ドルで月収8833ドル以上ならば購入できる。  梁長官は9月29日、香港工会連合会(工連会)代表との会談で強制積立年金(MPF)のオフセッティング問題を任期中に解決すると承諾したことが明らかにされた。MPFは雇用者と被雇用者が積み立てるが、雇用側拠出分を解雇手当や退職金に充てるオフセッティングが認められている。低所得者は被雇用側の積み立てが免除されるため退職時に口座残高がゼロとなる者も多く、年金としての役割が削がれている。工連会の林淑儀会長は会談後の記者会見で「梁長官が今期政府の任期内にできるだけオフセッティング問題を解決すると承諾した」と述べ、短期内に再び工連会と会談し方法を検討することを明らかにした。梁長官は多くのデータを挙げるなど態度はこれまでに比べ積極的だったという。  梁長官は6月、「過去4年に推進した住宅、低所得層支援、高齢化、環境、医療、教育といった重大政策を市民がどう見ているか」によって続投を目指すかどうかを判断すると語った。李源潮国家副主席が10月18日、北京を訪れた特区政府の公務員研修訪問団と会見した際、梁政権の民生改善に触れて「特に土地、住宅、高齢化、貧困といった民衆の関心のある問題で正確な措置を推進し、良好な成果を得た」と述べており、少なくとも中央は評価しているといえそうだ。(執筆者:香港ポスト 編集部・江藤和輝 編集担当:サーチナ編集部)(イメージ写真提供:123RF)
梁振英・行政長官は10月15日、貧困問題に対応する扶貧委員会のサミットで昨年の貧困人口の統計を発表し、貧困率の上昇が明らかになった。梁政権は住宅問題の解決と並んで低所得層への支援に施政の重点を置いているが、まだ顕著な改善は見られていないようだ。(イメージ写真提供:123RF)
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2016-10-31 16:15