年末に向かってドル高優位の展開で1ドル108円も視野=外為どっとコム総研

 米大統領選挙を間近に控え、ドル/円は選挙結果を意識した神経質な値動きになっている。外為ドットコム総研の取締役調査部長兼上席研究員、神田卓也氏(写真)は、「ドル/円は、米国経済のファンダメンタルズに、需給関係、テクニカル指標が、3つ揃ってドル高を示している」として、当面はドルが強い展開が続くと見通している。  ――1ドル=105円台に乗せた後、クリントン氏の私用メール問題が浮上して104円台に戻ったドル/円の今後の展開は?  ドル/円は、年末に向かって、米大統領選挙と12月利上げをセットで考える相場付きになるだろう。仮に、11月8日の選挙でトランプ大統領が誕生することになれば、FRBの年内利上げの可能性も消えることになり、短期的なリスク回避の動きにとどまらずドル安・円高基調が続くだろう。  ただ、クリントン氏の私用メール問題が再び浮上しているとはいえ、選挙の大勢はクリントン氏優勢のまま、大きな変化はない。FBI(連邦捜査局)の捜査も、来週に迫った大統領選挙までに重大な局面が訪れることは考えにくい。「どちらが米国の大統領として相応しくないか」を決める戦いとなった感はあるが、クリントン氏が勝利し、12月の利上げが実施されるという基本シナリオを修正する必要性は薄いと思われる。  また、ドル/円相場は、例年11月から12月にかけては米ドルの調達需要が高まり、ドル高になりやすいという季節性が確認できる。10月末時点で差引5万枚近く残っているシカゴ通貨先物ポジションの円ロングも円売り予備軍と言える。  さらに、ドル/円相場は10月に入り、今年一度も上抜けられなかった日足の一目均衡表の雲を突破しており、1月以来約9カ月ぶりに100日移動平均線も上回った。  ファンダメンタルズ、需給、テクニカルの3点が揃ってドル高・円安を示しており、想定外の「トランプ・リスク」が顕在化しなければ、1ドル=108円程度に向けた上昇も見込めそうだ。そうした中では、103円程度の下値は堅いと考えるべきだろう。  ここにきて、原油価格の上昇や米利上げ観測、あるいは欧州のテーパリング(量的金融緩和の段階的縮小)観測などを背景として世界的に長期金利が上昇基調にあるが、日銀は10年債利回りを0%近傍に維持する「イールドカーブコントロール」を採用しているため、日本だけが長期金利の上昇を免れている。こうした状況が続けば、結果的に円が独歩安になってもおかしくないだろう。  ――豪ドル/円は1豪ドル=80円台まで上げたが、今後の展開は?  豪ドルは、対米ドルでは1豪ドル=0.75ドル~0.77ドルの範囲でもみ合い、大きく動いていない。つまり、ここまで豪ドル/円が上昇したのは、豪ドル高というよりも、円安の力が強く働いた結果だ。  当面は、米ドルが上昇する局面と見ており、豪ドル/円は大きくは動きにくい展開になると考えている。もっとも、「トランプ・リスク」が後退すれば、リスクオンの展開となりやすい。また、前述のように円が独歩安となる可能性も否定はできない。豪ドル/円はどちらかと言えば上昇しやすい環境にあると考えられる。  当面のレンジは、1豪ドル=77円~83円程度を見込んでいる。  ――その他の通貨ペアで注目する通貨は?  イタリアで12月4日に憲法改正の是非を問う国民投票が開催される。イタリア上院の定員を3分の1に削減し、議案の議決権を下院に集約することをめざす改正案だが、この投票は、事実上のレンツィ内閣の信任投票になっている。ここで、改正案が否決されると、EU離脱を唱える勢力が勢いをつける可能性がある。  ユーロは、今年、英国が国民投票でEU離脱を選択したことによって大きく揺さぶられた。英国は通貨統合していなかったが、ユーロ加盟国であるイタリアでEU離脱の機運が高まると、通貨としてのユーロの信任が大きく揺らぐことになりかねない。イタリアの動きが、他のユーロ圏諸国に飛び火することも懸念され、ユーロにとっては頭の痛い話になりそうだ。イタリアの国民投票が近づくと、イタリア国内の情勢を伝える報道も増えてくると考えられ、ユーロの動きとともに目が離せなくなりそうだ。
外為ドットコム総研の取締役調査部長兼上席研究員、神田卓也氏(写真)は、「ドル/円は、米国経済のファンダメンタルズに、需給関係、テクニカル指標が、3つ揃ってドル高を示している」として、当面はドルが強い展開が続くと見通している。
gaitamedotinterview,economic,fxExchange
2016-11-01 09:15