「人民元ショック」は再燃するのか? 大和総研が検証

2017年にも「人民元ショック」は繰り返されるのだろうか? 大和総研経済調査部主席研究員の齋藤尚登氏は、12月20日に「『人民元ショック』再燃リスクに要注意」と題したレポート(全13ページ)を発表し、注意を促した。2015年8月と16年1月の中国株価の急落の背景にあったのは、「コントロール不能な元安」への懸念。トランプ次期大統領が「中国を為替操作国に認定する」と発言して対中国政策が注目されているだけに、「人民元」の動向から目が離せない。レポートの要旨は以下のとおり。
◆2016年2月以降、外貨準備の急減は回避されていたが、2016年11月には月間691億米ドル減少するなど、再び減少幅が拡大し始めている。元安と外貨準備急減の組み合わせは「人民元ショック」の引き金となり得るだけに、注意が必要であろう。
◆2016年の底堅い景気推移は、乗用車や住宅など、中国政府の政策がよく効く従来型産業が支えた。その素材となる鉄鋼などの生産・輸送の動向に影響を受ける「李克強指数」は大きく改善している。
◆2017年は消費が減速する一方で、インフラ投資と外需が下支え役を果たすことで、景気は大きく落ち込むことはないであろう。実質GDP成長率は2015年の前年比6.9%から2016年は同6.7%程度、2017年は同6.4%程度と緩やかに減速していくと予想している。
◆インフラ投資は2017年も固定資産投資の下支え役を果たそう。インフラ投資の担い手は国有企業であり、2015年以降に返済期限を迎えた地方政府関連債務が低金利・中長期の地方債に置き換わったことが地方政府と国有企業の投資余力を高めている。地方債への置き換えは、2015年は3.2兆元、2016年は5兆元、2017年は6兆元と目され、インフラ投資をサポートしよう。
◆消費関連では、乗用車車両購入税の半減措置(価格の10%⇒5%)は2016年末に終了し、2017年は7.5%の軽減税率とすることが発表された。所得の増加ペースの鈍化は消費の懸念材料である。各種補助金の支給や税金の減免などで需要を一時的に喚起することは可能だが、これは需要の先食いにすぎないことに留意しなければならない。
◆2017年は、先進国景気が緩やかながらも回復すると期待でき、加えて、2016年以降の元安の効果が発現していくことが、中国の輸出改善を後押ししよう。一方で、輸入は、原油など資源価格の上昇により輸入価格は上昇しようが、内需減速により輸入数量の伸びは抑制されよう。原油価格等が大きく上昇すれば、価格上昇効果が相対的に大きくなり、貿易収支の黒字は減少する可能性がある。(情報提供:大和総研、編集担当:徳永浩)(イメージ写真提供:(C)振亚 范/123RF)
2017年にも「人民元ショック」は繰り返されるのだろうか? 大和総研経済調査部主席研究員の齋藤尚登氏は、12月20日に「『人民元ショック』再燃リスクに要注意」と題したレポート(全13ページ)を発表し、注意を促した。(イメージ写真提供:(C)振亚 范/123RF)
china,economic
2016-12-22 17:30