【為替本日の注目点】円続落104円前半堅調、閑散に売りなしゆっくりドル高が進行か

  NY市場   前日の「緩和縮小」決定を受けて104円37銭までドル高が進んだドル円は上昇が一服。104円を挟み小動きの中、米長期金利の上昇を手掛かりに104円20-25銭で引ける。   ユーロドルは材料が乏しい中、ドル買いが優勢となり1.36台後半から1.36台半ばまで下落。   前日急騰した株式市場は利益確定の売りに押されながらも堅調に推移。ダウは11ドル高で最高値を更新するも、ナスダックは下落。   債券相場は続落。7年債入札では需要が平均を下回ったことから10年債も売られ、長期金利は9月以来となる2.9%台まで上昇。   金価格は資金流が減少するとの見方から大幅に下落し、1200ドルの大台を割り込む。原油は価格は続伸。 新規失業保険申請件数 → 37.9万件 11月景気先行指標総合指数 → 0.8 12月フィラデルフィア連銀景況指数 → 7.0 11月中古住宅販売件数 → 490万件 ドル/円 104.06 ~104.34 ユーロ/ドル 1.3652 ~ 1.3678 ユーロ/円 142.13 ~ 142.57 NYダウ +11.11 → 16,179.08ドル GOLD -41.40 → 1,193.60ドル WTI +0.97 → 98.77ドル 米10年国債  +0.044 → 2.929% 本日の注目イベント 日   日銀金融政策決定会合 日   黒田・日銀総裁記者会見 独   独11月生産者物価指数 欧   ユーロ圏12月消費者信頼感(速報値) 英   英7-9月期GDP(改定値) 米   7-9月期GDP(改定値) 加   カナダ11月消費者物価指数 加   カナダ10月小売売上高 FOMCでの「緩和縮小」決定を受け、ドル円は昨日の朝方には104円37銭までドル高円安が進行したものの、その後は値ごろ感から実需のドル売りや、利益確定のドル売りが優勢となり上値の重い展開が続きました。NY株式市場の大幅高を受け、日経平均株価も200円を超す大幅高を演じたもののドルの上値が重い展開でしたが、NY市場では米長期金利の上昇に引っ張られ104円台前半でのもみ合いに終始しています。 約5年振りの104円台ということもあり、円先安観が強まってきたもののドルの上値は重い展開でした。NY市場では前日の良好な経済指標とはうって変わって、多くの経済指標が予想を下回りましたが、その割にはドルは堅調でした。中古住宅販売は前月比4.3%減少し490万戸と、市場予想の502万戸を下回り3ヵ月連続の減少でした。また、減少傾向が続いていた新規失業保険申請件数も37.9万件と、10月の水準に戻っています。 この様に、経済指標を見る限りドル円は103円台半ば辺りまで下落してもおかしくない状況でしたが、債券相場が続落し、米長期金利が上昇したことが支えとなり104円台をキープした格好です。債券はFRBによる購入額が今後も緩やかに減少することが見込まれることから、売りもの優勢の展開となり、長期金利は9月以来となる2.9%台まで上昇し、一時は2.95%まで売られる場面もありました。日米金利差の拡大がドル買いにつながった状況です。 今年最後のFOMCで5年間にわたって実施された「金融緩和政策」に終止符が打たれました。米景気がいよいよ本格的に回復したと見ることができると思われますが、改めてFRBの大胆な政策がリーマンショックによる未曾有の危機を救ったと言えます。バーナンキ議長は来年1月で退任しますが、議長自身が大規模な資産購入を決定し、自ら自分の手で幕を引いたことになります。時が経てば、あのリーマンショックから米国を救った「名議長」として「ベン・バーナンキ」の名前が語られることになろうかと思います。 ドル円は今年の5月までは一方的に「ドル高円安」が進行し、105円も手の届く水準まで来ましたが、その後バーナンキ議長の「年内に量的緩和を縮小することが適当」との、「バーナンキショック」に金融市場が大きく混乱しました。ドル円はわずか1カ月で93円台まで下落し、約10円もドル安円高に振れ、「相場の難しさ」を思い知らされました。それから約7ヵ月の時間を経て、ドル円は既に5月の最高値103円74銭を超える水準にいます。 2011年10月31日に記録した75円32銭からは、実に30円近い「ドル高円安」が進んだことになります。恐らく、ドル円は長い間続いて来た円高局面を脱し、歴史的な転換を終えたものと思われます。今年も残すところあと10日程です。来年を見据えたポジションメイクの準備もしたいところです。 本日のドル円は昨日と同様上値が重い展開を予想していますが、下値も米長期金利の上昇に支えられて限定的です。しばらくは103円台前半から104円台半ばでもみ合う展開を予想していますが、来週に掛けては市場参加者が極端に減少するため値動きは限られそうです。「閑散に売りなし」という言葉があるように、ゆっくりとドル高が進行することも考えられます。 2014年度の「税制大綱」がまとまりました。来年4月から消費税が8%に上がるだけではなく、給与所得控除の額も縮小します。また、所得、相続税の最高税率の引き上げもあり、家計の負担は増すばかり。これで、黒田日銀総裁の目指す「2年で2%のインフレ」が達成されたらお金の価値が下がる一方です。1年間の歳出と歳入の帳尻を合わす「プライマリーバランスの均衡」のためには消費税を25%まで引き上げなければならないとの試算もあります。自分の身は自分で守らなければなりません。良い週末を・・・・。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)
前日の「緩和縮小」決定を受けて104円37銭までドル高が進んだドル円は上昇が一服。104円を挟み小動きの中、米長期金利の上昇を手掛かりに104円20-25銭で引ける。
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2013-12-20 09:45