10期連続で経常最高益など全利益項目が過去最高更新、モーニングスターの22年3月期第2四半期決算

 モーニングスター <4765> は10月26日、2022年3月期第2四半期決算を発表した。売上高39.37億円は5期連続で過去最高更新、経常利益11.76億円は10期連続の最高益、当期利益7.24億円は7期連続の最高益となり、2期連続で最高益となった営業利益9.93億円も含めて全ての利益項目が過去最高を更新した。中間配当は、50銭増配し8.00円を実施し、中間株主優待として暗号資産XRPを2500円相当(23XRP)を贈呈することも決めている。当日、決算説明会を実施し、同社代表取締役社長の朝倉智也氏(写真)は、「当第2四半期決算では、売上高に占めるアセットマネジメント事業の比率が約75%になった。利益率の関係があるため、投信評価などのファイナンシャル・サービス事業の利益貢献が4分の1しかないというわけではない。投資家1人ひとりの資産形成・運用に貢献するという理念のもと、両事業のバランスの良い成長を図っていきたい」と語った。  今第2四半期決算では、連結売上高に占めるアセットマネジメント事業の比率が73.8%となり、前年同期の64.2%から一段と拡大した。傘下のSBI地方創生アセットマネジメントが前年同期比84.6%増収、SBIボンド・インベストメント・マネジメントが32.2%増収となるなど、売り上げ規模を大きく拡大している。一方、ファイナンシャル・サービス事業は、金融機関向けのタブレット端末向けデータが前年同期比21.3%増となるなど、引き続き好調を維持しているが、Web広告は48.6%減収と半減するなど厳しい内容となった。  アセットマネジメント事業は、地方銀行など地域金融機関向けの私募投信での運用受託残高が急拡大している。地方銀行を中心に、信金・信組、JA等の地域金融機関の運用受託社数は101社に拡大。地域金融機関を中心とした資金を運用しているSBI地方創生アセットとSBIボンドの運用資産残高は、20年9月末の合計1兆5229億円から21年9月末は2兆896億円と2兆円の大台を突破した。現在、地域金融機関の預金と貸出金の差額は、地方銀行と信用金庫を合わせて約200兆円に達している。この預貸ギャップの多くは日銀当座預金にゼロ%金利で預けられている状況だ。また、低金利の定着によって貸出金利回りも低下し、2019年度末(20年3月期)には、貸出金利回りが有価証券利回りを下回る逆転現象も起きている。  朝倉氏は、このように地域金融機関の有価証券運用ニーズの拡大が続くことが予想されるとしたものの、「地域金融機関の負債勘定は、短期の預金であるため、生保や年金のように長期の資金をリスクをとって株式などで運用するわけにはいかない。やはり、債券などでリスクを抑えた運用で安定的なリターンを追求せざるを得ない」として、世界最大の債券運用会社であるピムコ社と提携したSBIボンドやSBI地方創生アセットの持つ、債券運用ノウハウが活きるという。実際に、同社グループの地域金融機関からの受託資産の89%が債券型ファンドであり、うち、約5割は変動金利型商品という地域金融機関のニーズを色濃く反映した内容になっている。結果として直近1年間で私募投信の累計資金流入額は、国内の全運用会社の中で第4位に位置付けられている。  また、公募投信分野を担当するSBIアセットマネジメントは、インデックスファンドを中心に資産拡大を図っていくという。業界最低水準の信託報酬を実現した「SBI・V・シリーズ」や「SBI・インデックス・ファンド・シリーズ(愛称:雪だるま)」は、積立口座比率が高く、市況の変動に左右されず資産の純増が期待されるとした。近年にニーズが高まっているESG(環境・社会・企業統治)投資の分野でもインデックスファンド(「SBIパリ協定ネット・ゼロ」と「SBIジェンダー・フリー」)を投入し、既存のESGファンドの平均信託報酬1.53%(税込み)に対し、10分の1以下の信託報酬率で提供を開始した。さらに、未公開株ファンドや「暗号資産ファンド(匿名組合)」など伝統資産以外の商品を提供するSBIオルタナティブ・アセットマネジメントの商品も拡充する計画と語った。  ファイナンシャル・サービス事業は、金融機関が投信販売等で利用するタブレット端末に搭載するアプリ「Wealth Advisors」の利用者数が500社を突破し、利用台数は11万2630台まで増大。朝倉氏は、「顧客情報との連携(CRM連携)や売買システム連携など機能強化へのニーズも高まり、提供台数20万台程度への成長が期待できる」と成長途上を強調。また、確定拠出年金加入者向けの投資助言アプリ「らくらく資産づくり」も10月から本格的に提供開始することを発表した。セミナー事業も含めて、ファイナンシャル・サービス事業の成長にも引き続き注力していく考えだ。
モーニングスターは10月26日、2022年3月期第2四半期決算を発表した。同社代表取締役社長の朝倉智也氏(写真)は、「投資家1人ひとりの資産形成・運用に貢献するという理念のもと、アセットマネジメントとファイナンシャル・サービス両事業のバランスの良い成長を図っていきたい」と語った。
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2021-10-26 18:00