【為替本日の注目点】オミクロン拡大懸念からドル円急落

ドル円は114円台から急落。リスク回避の流れが急速に強まり円が買われ、ドル円は一時113円05銭まで売られる。ユーロドルも急反発。1.1333まで買い戻しが進む。株式市場は全面安。ダウは905ドル安と、今年最大の下落幅を記録し、ナスダック、S&P500の下げもきつい。債券は買われ、長期金利は1.47%台まで低下。金は小幅に買われたが、原油は大幅安。新型の変異株「オミクロン」の感染懸念から前日比13%の下げに。
ドル/円 113.05 ~ 114.21
ユーロ/ドル 1.1279 ~ 1.1333
ユーロ/円 127.79 ~ 128.96
NYダウ -905.04 → 34,899.34
GOLD +1.20 → 1,785.50ドル
WTI -10.24 → 68.15ドル
米10年国債 -0.161 → 1.473%
【本日の注目イベント】
独 独11月消費者物価指数(速報値)
欧 ユーロ圏11月消費者信頼感(確定値)
欧 ユーロ圏11月景況感指数
英 英110月消費者信用残高
米 サイバーマンデー
米 10月中古住宅販売成約件数
米 パウエル・FRB議長、ウィリアムズ・NY連銀総裁、オンラインイベントで冒頭挨拶
米 ボウマン・FRB理事講演
この週末は南アフリカなどで確認された新型コロナウイルスの変異株「オミクロン」の報道一色でした。先週末、日経平均株価が800円を超える急落からドル円も、安全通貨と見られている円が買い戻され、115円台前半からじりじりと値を下げる展開でした。あわててドル売りの原因を探したところ、「南アフリカで新型コロナウイルスの変異株が確認された」との情報に行き着き、株式市場ではすでにその影響が出始めていたところでした。
ベルギーやオランダなど欧州で確認された「オミクロン」は香港やオーストリアでも確認され、米国ではアフリカ南部8カ国からの渡航を禁止し、イスラエルは全ての国からの渡航を禁止する厳しい措置を決めています。ただ、今朝の情報では今回の変異株について最初に警告を発した医師を含め南アフリカ共和国の医療専門家2人は、「新型コロナウイルスの新たな変異株『オミクロン』に感染した人の症状はこれまでのところ軽い」と述べています。またWHOは声明で、「オミクロン株の重症度がわかるには数日から数週間かかる。オミクロン株の感染による症状が他の変異株と異なることを示唆する情報は、現時点ではない」ことを発表しています。米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長は27日、「オミクロンが米国に既に流入している可能性はある」と述べた上で、「そうだとしても、驚かない」とコメントしています。新たな変異株「オミクロン」の出現で、世界の金融・商品・債券市場は大きく反応し、特に金融の中心地であるNYでは、先週末は感謝祭に伴う短縮取引だったにもかかわらず、NYダウは一時1000ドルを超える下げに見舞われ、引け値では905ドル安だったものの、今年最大の下落幅を記録しています。リスクオフの高まりから円が買われ、ドル円は一気に113円05銭まで下げ、恐怖指数と言われる「VIX指数」も「10ポイント以上」も上昇し、「28ポイント台」と、投資家のリスク許容度は急速に縮小しています。本稿執筆時の7時前では、ドル円は113円台後半で推移し、やや落ち着いているかに思えますが、9時の東京株式市場開始が待たれる状況です。
米モデルナは感謝祭の25日の早い時間に数百人のスタッフを動員し、既存のワクチンが「オミクロン株」に有効かどうかを突き止める作業を迅速に進めており、2つのブースター(追加免疫)候補を試験していることを発表しました。また、「オミクロン」が既存のワクチンをかいくぐる可能性がある場合には、改良したワクチンを2022年の早い時期に供給できる見通しも発表しています。日本では新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかかり、ようやく落ち着きを取り戻してきた状況の所に「新たな闖入者の出現」です。これから年末年始を迎え、これまでと全く同じというわけにはいかないまでも、それに近い「日常」が過ごせる期待が高まっていたとところに「新たな強敵」です。ただ、すでに経験もあり、手洗いやマスクはすでに「常態化」しています。これまで通り、警戒感を緩めずに行動することが最大の予防かと思います。
急落したドル円は113円手前で下げ止まりましたが、日足では「雲の上限」が112円台後半にあり、ここからサポートゾーンが始まることから意識された可能性もあろうかと思います。今後の感染状況とワクチンの有効性を確認しないと、この混乱がいつまで続くのかはわかりませんが、断定的なことは言えないまでも、FRBの利上げに向けた道筋には変わりはないと考えます。本日はパウエル・FRB議長とウィリアムズ・NY連銀総裁がオンラインイベントの冒頭で挨拶する予定です。今回の「オミクロン」の発生を含めて、議長がどのような見方を示すのか注目したいと思います。「金融市場に想定外の混乱が生じた場合には、適切な行動を取る」といった、市場を落ちつかせる発言も想定されるところです。
本日のドル円は113円10銭~114円30銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は114円台から急落。リスク回避の流れが急速に強まり円が買われ、ドル円は一時113円05銭まで売られる。ユーロドルも急反発。1.1333まで買い戻しが進む。(イメージ写真提供:123RF)
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2021-11-29 10:15