【為替本日の注目点】ウクライナ情勢はさらに悪化へ

ドル円は115円前後で小動き。ウクライナ情勢の緊迫で円が買われる場面もあったが、114円93銭止まり。ユーロドルも1.13台で方向感が見られない展開。今週はほぼ1.13台での推移。株式市場は前日に続き大幅続落。ダウは464ドル下げ、S&P500は1.8%下落。引き続きウクライナ情勢の悪化と金利上昇が重石に。債券も売られ、長期金利は1.99%台まで上昇。金は反落し、原油は続伸。
ドル/円 114.93 ~ 115.20
ユーロ/ドル 1.1301 ~ 1.1352
ユーロ/円 129.94 ~ 130.67
NYダウ -464.85 → 33,131.76
GOLD -7.60 1,907.40ドル
WTI +1.28 → 92.35ドル
米10年国債 +0.052 → 1.991%
本日の注目イベント
欧 G7首脳会談(議長国ドイツ、オンライン)
英 ベイリー・BOE総裁、会議で開会の挨拶
米 新規失業保険申請件数
米 10-12月GDP(改定値)
米 1月新築住宅販売件数
米 ボスティック・アトランタ連銀総、オンライン討論会に参加
米 メスター・クリーブランド連銀総裁講演
米 2月リッチモンド連銀製造業景況指数
米 バーキン・リッチモンド連銀総裁講演、オンライン討論会に参加
米 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁、パネル討論会に参加
米 ウォーラーFRB理事講演
24日に予定されており、外交的解決への最後の機会であったかもしれない「米ロ外相会談」が中止され、さらに実現の可能性があった「米ロ首脳会談」についても、ロシア大統領府のペスコフ報道官は「具体的な計画はない」と述べ、緊迫度はさらに増し、ウクライナへの侵攻は秒読み段階に入ったとの見方もあります。
バイデン大統領はホワイトハウスで演説を行い、「ロシアのプーチン大統領が取った行動はウクライナへの侵攻の始まりだ」と非難しました。その上でバイデン氏は対ロシア制裁を発表し、「第一弾」として、インフラ整備と軍需産業の資金調達を担うロシア国営の大手2行が米国内で取引ができないようにすることを発表しています。またロシアが新規に発行する国債の取引を欧米の市場で取引できなくなることも含まれ、ロシアの今後の資金調達が困難になると見られます。またバイデン氏はロシアへの制裁措置をさらに拡大する意向も示し、プーチン大統領に近い層に対する制裁で対象者を増やす他、ロシアとドイツを結ぶ天然ガス海底パイプライン「ノルドストリーム2」の建設業社も対象に含める意向です。ただ、バイデン氏はホワイトハウスの演説で、何百万人もの人々に計り知れない苦しみをもたらす最悪のシナリオを回避するための時間はまだある。われわれはロシアの言葉ではなく、行動で判断する。外交手段がまだあると期待している」と述べています。
バイデン氏は演説で外交手段はまだ残っていると述べていましたが、プーチン氏は報道される映像を見る限り、形相がさらに険悪になり、聞く耳を持たないように見受けられます。リスク資産である米国株は下げ止まらず、ダウは約半年ぶりの安値を記録し、恐怖指数の「VIX指数」も再び大きく上昇し、昨日は「31.02」で引けており、市場全体がリスク回避の動きを強めています。一方でドル円では、リスク回避の流れが高まっている割には、「リスク回避の円買い」が起きていません。それどころかドル円は、株式市場の大幅な値動きにもかかわらず、今週に入っての値幅がわずか75銭程度と、1円にも満たない状況です。やや異例な動きと言えますが、これはリスク回避の円買いと米金利の上昇に伴う円売りが「拮抗している」ことが要因かと思います。実際に侵攻が開始され、武力行使が行われたら円が買われる可能性は残っていると見ていますが、金利差による円売りの圧力も相当なもののようです。
ウクライナ情勢がさらに激化し、最悪の事態になるようなら、FRBの利上げペースにも影響が出て来るのではないかといった見方もできなくはありませんが、現時点ではその可能性は低いようです。侵攻がさらに激化すれば、原油を含む資源価格が一段と上昇し、インフレ加速につながる可能性もあります。FRBとしても遅すぎる対応は、その後大きな代償を払わされることになりかねないと考えている部分もあろうかと思います。サンフランシスコ連銀のデーリー総裁は23日、「インフレ率は高すぎる。インフレ圧力はパンデミック関連の混乱から直接影響を受けたセクター以外にも拡大し始めている」とし、「予想外の重大な悪材料がない限り、3月は金融政策を調整し始める適切な時期である」との認識を示しています。
ウクライナ情勢はいよいよ秒読み段階入ったかもしれません。今週末にかけて警戒が必要かもしれませんが、下落を続けている株式市場はひょっとしたら、侵攻が開始されたら反発するのかもしれません。もっとも、その先には利上げも控えており、簡単ではなさそうですが。「前門の虎、後門の狼」といった状況です。
本日のドル円は114円60銭~115円30銭程度といったところでしょうか。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は115円前後で小動き。ウクライナ情勢の緊迫で円が買われる場面もあったが、114円93銭止まり。ユーロドルも1.13台で方向感が見られない展開。(イメージ写真提供:123RF)
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2022-02-24 10:00