【為替本日の注目点】WTI原油価格116ドル台まで続伸後下落

ドル円は欧州市場で115円81銭近辺まで買われたが、NYではじり安の展開。115円39銭まで売られ、115円台で一進一退の動きが続く。ユーロドルは下値を切り下げる展開が続き、この日は1.1033までユーロ安が進む。株式市場は反落。ウクライナ情勢を睨みながら上げ下げを繰り返す展開が続く。ダウは96ドル下げ、ナスダックは214ポイント下落。債券は反発。長期金利は1.83%台へと低下。金は反発。荒っぽい動きが続く原油価格は一時116ドル台まで上昇した後反落。引け値は107ドル台と、投機的な動きも膨らむ。
2月マークイットサービス業PMI(改定値) → 56.5
2月マークイットコンポジットPMI(改定値) → 55.9
新規失業保険申請件数 → 21.5万件
2月ISM非製造業景況指数 → 56.5
1月製造業受注 → 1.4%
ドル/円 115.39 ~ 115.72
ユーロ/ドル 1.1033 ~ 1.1095
ユーロ/円 127.58 ~ 128.35
NYダウ -96.69 → 33,794.66ドル
GOLD +13.60 → 1,935.90ドル
WTI -2.93 → 107.67ドル
米10年国債 -0.038 → 1.839%
【本日の注目イベント】
日 1月失業率
独 1月貿易収支
独 1経常収支
欧 ユーロ圏1月小売売上高
米 2月雇用統計
加 1月住宅建設許可件数
ロシアとウクライナの第2回目の停戦交渉は、ウクライナの民間人が国外へ脱出する間は攻撃を停止するとの合意があったようです。引き続き第3回目の交渉も来週行うことで合意したと報道もあります。ウクライナ大統領府は3時間余りにわたったロシア側との交渉後に、「残念ながら、望んでいた成果は得られなかった」と語り、同国のゼレンスキー大統領は「自分はプーチン氏と話をしなければならない、世界がプーチン氏と話をしなければならない。他に戦争を止める方法がないからだ」と話し、プーチン氏に会談を呼びかけています。一方ロシア軍の攻撃は続き、ウクライナ南部のヘルソンを制圧し、港湾都市オデッサの付近に艦隊が向かっていると伝えられています。北部の進軍は停滞しているが、防御の難しい南部の海外沿いから侵攻を速めている様子が鮮明になりつつあります。ブルームバーグは、「軍事力に優れるロシアに対して、ウクライナの組織的な抵抗は今のところ効果を発揮している。これが持続できるのかどうか、ロシアがより攻撃的な兵器の投入と都市中心部への空爆を軸足に移す中で、楽観はしぼみつつある」と分析しています。
ロシアの孤立化は金融の世界でも一段と深まっています。格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは3日、ロシアの長期外貨建て格付けを「Baa3」から、投機的格付けの「B3」に引き下げたことを発表しました。また英国の格付け会社フィッチ・レーディングスもロシアの格付けを一気に6段階引き下げ、投機的格付けにしました。事実上、資本市場から締め出されことになり、今後の市場からの資金調達は非常に困難になるか、調達できたとしても、そのコストは桁違いに高いものになろうかと思います。さらにMSCIは、国際的な機関投資家が、ロシア株式市場に現時点で投資できない状態であることから、同社が算出するロシア指数を新興市場からスタンドアローン市場のステータスに再分類することを発表しています。MSCI指数は、モルガンスタンレー・キャピタル・インターナショナルが算出し、公表する先進国、新興国などの代表的な指数であり、多くの機関投資家のベンチマークになっています。これでロシアは為替市場、株式市場、さらには債券市場での参入が阻まれたことになります。
パウエル議長は前日の下院に続き昨日は上院で証言を行い、「ウクライナへの侵攻が始まる前に想定した計画に沿って今後も政策を進めていくのが適切になると考えている。つまり、3月会合で利上げし、今年を通じてその姿勢を続けるということだ」と述べ、その上で「現在は極めて微妙は時期にあり、米金融当局として慎重に政策を実施していくことが適切だ。情勢は極めて不確実であり、その不確実性をさらに強めることをわれわれは望んでいない」と語っています。連日の証言で3月会合では「0.25%の利上げ」は確定的となり、最早、材料にはなりません。議長の言う「現在は極めて微妙な時期」というのは、ウクライナへの侵攻があり、戦争が続いている中では「0.5%の利上げ」には踏み切れないことを意味していると、個人的には受け止めています。今後ウクライナ情勢が鎮静化すれば原油価格も大きく下げると見られますが、それでも多くの資源価格は高止まりするでしょう。米国のインフレはそう簡単に低下せず、次回あるいはその次にも「0.5%の利上げ」の議論は続くと考えています。
米NY株式市場は日替わりで上昇と下落を繰り返しています。ドル円もその動きに沿って狭いレンジながら上下しています。昨日の東京時間でのドル円は底堅く推移し、その後は海外市場で115円80銭近辺まで買われましたが、今回も116円台には届いていません。FRBによる利上げと、リスク回避の円買いとの「綱引き」はまだ続きそうです。
本日のドル円は115円10銭~115円90銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は欧州市場で115円81銭近辺まで買われたが、NYではじり安の展開。115円39銭まで売られ、115円台で一進一退の動きが続く。ユーロドルは下値を切り下げる展開が続き、この日は1.1033までユーロ安が進む。株式市場は反落。(イメージ写真提供:123RF)
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2022-03-04 09:45