【為替本日の注目点】WTI原油価格一時100ドルを割り込む

ドル円は上値の重い展開が続く。米長期金利の低下に121円28銭まで売られたが、今夜の雇用統計の結果を見極めたいとする姿勢が広がる。ユーロドルは反落。1.1061近辺まで売られる。株式市場は続落。引けにかけて下げが拡大し、3指数は揃って1.5%以上の下落に。債券は続伸。長期金利は2.33%台に低下。金は反発。原油は米政府が備蓄原油の大量放出を決めたことで大幅安となり、一時は100ドルの大台を割りこむ。 新規失業保険申請件数         →  20.2万件 2月個人所得             →  0.5% 2月個人支出             →  0.2% 2月PCEデフレータ         →  6.4%    2月PCEコアデフレータ       →  5.4% 3月シカゴ購買部協会景気指数     →  62.9 ドル/円  121.28 ~ 121.84 ユーロ/ドル 1.1061 ~ 1.1133 ユーロ/円  134.51 ~ 135.34 NYダウ ―550.46  → 34,678.35ドル GOLD +15.00 → 1,954.00ドル WTI  ―7.54 →  100.28ドル   米10年国債 ―0.011 → 2.338% 本日の注目イベント 日   1-3月期日銀短観 中   3月財新製造業PMI 独   独3月製造業PMI(改定値) 欧   ユーロ圏3月消費者物価指数(速報値) 欧   ユーロ圏3月総合PMI(改定値) 欧   EU中国首脳会議(オンライン) 英   英3月製造業PMI(改定値) 米   3月雇用統計 米   3月ISM製造業景況指数 米   3月マークイット製造業PMI(改定値) 米   3月自動車販売台数  米   エバンス・シカゴ連銀総裁講演  バイデン大統領は31日、米国の戦略石油備蓄から1日あたり100万バレルを今後6カ月間にわたって放出すると発表しました。バイデン氏は今年に入ってのガソリン価格の高騰は「プーチンによる価格押し上げ」だと表現し、ロシアのウクライナ侵攻を非難しました。今回の石油備蓄の放出計画は過去最大規模となり、この発表を受けWTI原油価格は大きく売られました。一時は100ドルの大台を割り込む水準まで売られましたが、引け値は100ドル台を維持して取引を終えています。  プーチン大統領は欧州向け天然ガス供給に関して、ルーブルでの代金支払いを要求したものの、ドイツなどから拒否されたことから、欧州への供給を停止するのかどうか、その後の動向が注目されていましたが、結局供給を継続する意向を表明しました。ロシアにとって、天然ガスなど資源輸出による収入は大きく、ウクライナへの進行で「戦費」が拡大していることから外貨の獲得を優先したとみられます。今朝の報道では、2月24日にウクライナ侵攻を開始したものの、その後のウクライナ軍の徹底した抗戦で戦闘が長引き、ロシア側もかなりの損失が出ている模様です。NATO高官は、ロシア側の死者数は7000人~1万5000人との見方を発表しており、1日あたりの戦費も侵攻開始時点では70億ドル(約8000億円)でしたが、その後は200億ドル(約2兆5000億円)規模に膨らんだと推計されています。この状況が1カ月続くとロシアのGDPの4割、2カ月半で1.5兆ドルと言われているロシアのGDPの100%に相当する(日経新聞)戦費となり、経済的にも非常に厳しい状況に追い込まれます。米国を始め西側諸国の制裁が強化されている中、それらの国からのロシアへの輸出量は大幅に減少することが予想されますが、ロシアからの輸出についても大きく制限されており、厳しい状況です。オーストラリア政府はロシアとベラルーシからの全ての輸入品に対して35%の追加関税を課すことを決定しています。これは既に適用されている関税率に上乗せされることになります。 ロシアとウクライナの交渉はビデオ会議方式で本日再開する見通しです。  2月の個人消費支出は減少しており、物価高が消費を抑制しているとみられます。一方PECデフレータは前年同月比で6.4%上昇しており、1982年以来40年1カ月ぶりの高水準でした。またコアデフレータも5.4%増と上昇しており、FRBの連続利上げを促す結果になっています。  昨日のNY株式市場は3指数が大きく売られ、再び下落基調に戻ったのではないかとの懸念が出てきました。主要3指数は3月半ばに底を打ち、その後急回復してきましたが、FRBによる利上げ観測の常態化やウクライナ情勢の混迷など、なかなか元の水準まで戻すのは厳しいようです。ドル円も同じように、122円台半ばまでは戻りますが、再び121円台前半まで押し戻されています。ドルの上昇基調は変わっていないとみていますが、これまでのようなスピードで円が売られる状況ではなくなった印象です。下値のメドは121円を維持できるかどうかです。本日は21時半に雇用統計の発表があります。非農業部門雇用者数は「49万人」と予想されており、2月よりは低水準ですがこの予想が維持されていれば、労働市場は順調に伸びていると判断できそうです。 本日のドル円は121円20銭~122円70銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は上値の重い展開が続く。米長期金利の低下に121円28銭まで売られたが、今夜の雇用統計の結果を見極めたいとする姿勢が広がる。ユーロドルは反落。1.1061近辺まで売られる。(イメージ写真提供:123RF)
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2022-04-01 11:15