【為替本日の注目点】ドル円139円台に続伸

ドル円はさらに上昇し、欧州からNYでは139円39銭前後まで買われ、いよいよ140円が視野に。前日カナダなど、多くの国で利上げが決定され、日銀との差がより鮮明に。ユーロドルは続落。イタリアのドラギ首相が辞任との報道もあり、0.9958までユーロ安が進む。株式市場はまちまち。ダウは142ドル下げ、5日続落。ナスダックはマイナス圏から浮上し、辛うじてプラスで引ける。債券は反落。長期金利は2.95%台に上昇。金は反落し一時は1700ドル台を割りこむ。原油も小幅に反落。 6月生産者物価指数     →  1.1%(前月比) 6月生産者物価指数     →  11.3%(前年比) 新規失業保険申請件数    →  24.4万件 ドル/円    138.72 ~ 139.39 ユーロ/ドル  0.9952 ~ 1.0048 ユーロ/円   138.56 ~ 139.61 NYダウ  -142.62 → 30,630.17ドル GOLD   -29.70 → 1,705.80ドル WTI     -0.52 → 95.78ドル  米10年国債 +0.026 → 2.959% 【本日の注目イベント】 中 4-6月GDP 中 6月小売売上高 中 6月鉱工業生産 欧 ユーロ圏5月貿易収支 米 6月小売売上高 米 7月NY連銀製造業景況指数 米 6月輸入物価指数 米 6月鉱工業生産 米 6月設備稼働率 米 7月ミシガン大学消費者マインド(速報値) 米 ボスティック・アトランタ連銀総裁講演 米 ブラード・セントルイス連銀総裁講演 米 企業決算 → ブラックロック、シティーグループ、ウェルズファーゴ ドル円は欧州勢が参入して来た昨日の夕方には139円台に乗せ、NYでは139円39銭前後までドルが続伸しています。先週末に雇用統計が発表される前には135円台後半で推移していたドル円は、再び「大台替えショー」を演じ、136、137、138円と上昇し、ついに140円が視野に入ってきたようです。米国では労働市場が依然として好調だったことに加え、6月のCPIが予想を大きく上回る「9.1%」だったことで、今月のFOMCでは1ポイントの利上げもあり得るといった見方が急速に台頭したことが背景です。さらに日本以外の国に目を向ければ、カナダ、ニュージーランド、韓国、さらにはハンガリーなど、世界中の国が「利上げ競争」の真っただ中にあり、そのトップランナーが米国といった位置付けです。動かない日本の存在がいやがうえにも目立ち、投資家が主要通貨に対して円売りに走るのも無理はありません。水は高い所から低い所に流れますが、マネーは金利の低い所から高い所に流れます。 6月の米卸売物価指数(PPI)は年率で「11.3%」と発表されました。市場予想が「10.7%」であったことから、予想を大きく上回る伸びを見せましたが、一方で、インフレ圧力が若干緩和した兆しも一部に見えていました。ブルームバーグによると、6月の上昇分の4分の3は、エネルギー価格などが大きく上昇したことが指数を押し上げています。サービスは前月比「0.4%」の上昇に留まり、食品全体の伸びは年初来で最少でした。ひょっとしたら前日発表されたCPIも6月がピークだったということもあるかもしれません。 6月のCPIを受けて今月の利上げ幅が1ポイントになるとの観測も台頭しましたが、FRBのウォラー理事は14日アイダホ州での講演で、「6月のCPI統計については最大級の失望だ」とし、今月26-27日のFOMC前に発表される小売売上高や住宅関連といった追加のデータに左右されると強調しました。同理事はその上で、「75bpという利上げ幅は極めて大きい。FOMCがそうした幅の利上げを選択した場合、金融当局が役割を果たしていないことにはならない」と述べ、「行き過ぎた利上げはしない方が良い」と、75bpの利上げを支持する考えを示しました。また、タカ派の重鎮であるブラード・セントルイス連銀総裁も、「これまでわれわれは50bpか75bpという枠組みで議論してきた。私は75bpにかなり利点があると考えている」と述べ、「今日時点では、私は次回会合で再び75bp利上げすることを支持する」と語っています。 ユーロドルがパリティを明確に割り込み、0.9952までユーロ安が進みました。エネルギー供給の影響からドイツを中心に景気減速が意識され、来週の理事会で実施されるとみられている「利上げによる効果も帳消し」といったところです。加えて、FRBによる積極的な利上げスタンスに比べ消極的だとの見方も広がり、ドル高の流れに押し流される形でユーロが売られています。さらに昨日は、イタリアのドラギ首相が連立政権の足並みの乱れを理由に辞任の意向を示したこともユーロ売りに拍車をかけたようです。ユーロ圏では、米国にひけをとらない程インフレが進んでおり、0.25ポイントの利上げ幅ではその効果も限られそうです。ユーロ安は止めるという意味からも、来週の会合で0.5ポイントの利上げに踏み切る可能性もあるかもしれません。 日本では18日(月)が祝日で3連休ということもあり、連休前の動きにもやや注意が必要かもしれません。多くの市場関係者が「140円」という数字を口にしていることもあり、その前に利益を確定する動きがあるのか注意したいところです。ドルが上昇したものの、まだ135-140円のレンジが続く公算が高いと予想しています。140円という水準はこれまで以上に「重要な」水準であり、数値であると考えますが、どうでしょう。 本日のドル円は138円~139円80銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円はさらに上昇し、欧州からNYでは139円39銭前後まで買われ、いよいよ140円が視野に。前日カナダなど、多くの国で利上げが決定され、日銀との差がより鮮明に。(イメージ写真提供:123RF)
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2022-07-15 10:00