【為替本日の注目点】ドル円三度目の145円台に

ドル円は145円台を回復。タカ派発言が相次ぎ、FRBの利上げスタンスは変わらないとの見方が再びドル買いにつながる。ユーロドルは続落。0.9789までユーロ安が進み、ドル全面高の様相に。株式市場は続落。FOMCメンバーのタカ派発言が相次ぎ、FRBのスタンスは変わらないとの見方から3指数とも揃って売られる。債券も売られ、長期金利は一時3.84%台まで上昇。金は変わらず、原油は4日続伸。 新規失業保険申請件数 → 21.9万件 ドル/円 144.57 ~ 145.14 ユーロ/ドル 0.9789 ~ 0.9882 ユーロ/円 142.16 ~ 142.96 NYダウ -346.93 → 29,926.94ドル GOLD ±0 → 1,720.80ドル WTI +0.69 → 88.45ドル 米10年国債 +0.071 → 3.824% 【本日の注目イベント】 日 8月景気先行指数(CI)(速報値) 中 9月外貨準備高 独 8月鉱工業生産 米 9月雇用統計 米 8月消費者信用残高 米 ウィリアムズ・NY連銀総裁、質疑応答に参加 米 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、フォーラムに参加 米 ボスティック・アトランタ連銀総裁講演 加 9月就業者数 加 9月失業率  4日のオーストラリア準備銀行(RBA)による追加利上げの幅が0.25ポイントと、市場予想よりも小幅だったことから、FRBも含め世界の中銀による過度の利上げスタンスが和らぐといった見方が広がり、債券と株が買われ、ドル円は一時143円台半ばまで売られましたが、やはり、インフレ高進を前に、利上げペースを緩めるにはまだハードルが高いようです。  景気の鈍化を示唆する経済指標や、FOMCメンバーによる発言に対して、市場は極めて敏感になっており、昨日は後者のタカ派的な発言が今週前半の「楽観的な雰囲気」を一気に崩してしまいました。ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は6日、「まだやるべき仕事がある」と発言し、「基調的なインフレがしっかりとピークを付け、出来れば再び下向きになる幾らかの兆候が見られるまで、私は休止を宣言する用意はない。休止はかなり遠い先になると考える」と、これまでよりも一段とタカ派的な発言を行いました。さらに同総裁は、米経済の下振れリスクには留意が必要だが、「しかし、政策スタンスを実際に変更するハードルは高い」と述べています。また、FRB理事に就任後初の講演を行ったクック氏は、「インフレ率が当局の長期的な目標である2%を大きく上回って推移していることを踏まえると、物価の安定を取り戻すには、インフレ率が目標の2%にしっかり向っているとわれわれが確信できるまで利上げを継続し、その後政策をしばらく景気抑制的な水準で維持することが必要になる可能性が高い」と説明しました。この内容は、これまで多くのFOMCメンバーが口にしてきたことと相違はなく、足並みを揃えた形になっています。  さらに昨日はシカゴ連銀のエバンス総裁もイリノイ州で行われた会議で、「政策金利は来年のどこかの時点までに4.5-4.75%に達すると考えられ、これまでの利上げの速さを踏まえると、その時期は春になる可能性が高い」との認識を示しました。(ブルームバーグ)これまで、利上げの終点であるターミナルレートについては、4.25-4.5%といった見方、これでもどちらかと言えば高目だったと思われますが、エバンス総裁はそれを超える金利水準に言及しています。現行の政策金利からは少なくても1.5ポイントの大幅利上げが必要だということになります。カナダ中銀のマックレム総裁も、市場のセンチメントを厳しいものにする一役をかっています。マックレム総裁は「経済はまだ明白に過剰な需要がある状況だ。企業は極度にタイトな労働市場に直面し、賃金上昇が広がり、基調的なインフレ圧力に緩和の兆しは一切見られない」とし、「インフレは自然には消失しない。簡潔に言えば、さらにすべきことがある」と語っています。  これらの発言から市場の楽観ムードは再び元の軌道に戻され、株と債券が売られ、長期金利は3.84%まで上昇。金利上昇に呼応するかのように、ドル円は145円台を回復し、145円14銭までドル高が進んでいます。先月22日の政府日銀による市場介入で145円台後半から140円台前半まで一気にドルが下押しされましたが、日米金融当局の政策スタンスは全く変わらず、政府日銀は「双方の政策行動に矛盾はない」と説明に躍起になっていましたが、市場は冷静にドル買い円売りスタンスを維持しているようです。今週3日には介入後としては二度目となる145円台に乗せ、145円29銭前後までドル円が急伸する場面もありましたが、この時は時間的にも非常に短く、その後米金利の低下に伴い143円台半ばまでドルが下げました。  そして今回の145円台乗せが「3度目」ということになります。当然市場参加者には「介入警戒感」が依然として残っています。「どの水準で介入に踏み切るのか」、「介入水準」を探る展開になろうかと思いますが、ひょっとしたら、このままドルが上昇し、仮に145円台が定着するような状況になっても、「介入はないのではないか」と個人的には考えています。再度介入するのであれば、より効果的な介入をしたいと思うのが政府日銀の考えでしょう。市場が、「今か今か」と構えている所に実施するよりは、「介入はない」と思わせ、安心した所で実施するほうが、より効果が見込めます。単なる個人的な想像でしかありません。東京市場が来週月曜日に休場だということを考慮すれば、前回9月22日の状況と条件は一緒です。さらに今夜は雇用統計が控えています。結果次第では大きくドルが買われる可能性も否定できません。果たして「おばけ」は再び姿を現すのでしょうか。  本日のドル円は143円50銭~146円50銭程度とします。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は145円台を回復。タカ派発言が相次ぎ、FRBの利上げスタンスは変わらないとの見方が再びドル買いにつながる。ユーロドルは続落。(イメージ写真提供:123RF)
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2022-10-07 10:00