【為替本日の注目点】米雇用コスト指数堅調。ドルをサポート

 146円台で推移していたドル円は、黒田日銀総裁の会見が始まると上昇し147円台に。NYでは米長期金利の上昇もあり、147円84銭までドル高が進む。ユーロドルは再びパリティを割り込み、0.9929まで下落。株式市場は3指数が大きく上昇。ダウは828ドル高と、6日続伸。ナスダックとS&P500も2%を超える上昇。債券は反落。長期金利は4.0%台まで上昇。金と原油は揃って下落。 9月個人所得 → 0.4% 9月個人支出 → 0.6% 9月PCEデフレータ(前月比) → 0.3% 9月PCEデフレータ(前年比) → 6.2% 9月PCEコアデフレータ(前月比) → 0.5% 9月PCEコアデフレータ(前年比) → 5.1% 7-9月雇用コスト指数 → 1.2% 10月ミシガン大学消費者マインド(確定値) → 59.9 9月中古住宅販売成約件数 → -10.2% ドル/円 147.17 ~ 147.84 ユーロ/ドル 0.9929 ~ 0.9989 ユーロ/円 146.42 ~ 147.37 NYダウ +828.52 → 32,861.80ドル GOLD -20.80 → 1,644.80ドル WTI -1.18 → 87.90ドル 米10年国債  +0.094 → 4.012% 【本日の注目イベント】 日 9月鉱工業生産 豪 9月小売売上高 中 10月中国製造業PMI 中 10月中国サービス業PMI 独 9月輸入物価指数 欧 ユーロ圏10月消費者物価指数(速報値) 欧 ユーロ圏7-9月期GDP(速報値) 欧 OPEC、2022年世界石油見通し発表 英 9月消費者信用残高 米 10月シカゴ購買部協会景気指数  「今すぐ金利引き上げとか出口が来るとは考えていない」。先週金曜日、金融政策決定会合後の記者会見で、黒田総裁はあらためてこのように述べました。また、円安は金融政策の失敗ではないかとの質問に、「金融政策は為替を目的にしていない。為替の水準について申し上げるつもりはないが、日本は円高で非常に困ってきた歴史を持っている」とこれまでの主張を繰り返しています。さらに総裁は、YCC(イールドカーブ・コントロール)が円安の原因でないかとの、もう一歩突っ込んだ質問に対しても、「YCCは金融政策のやり方であって、量的緩和と違って特に円安に影響することはない。そもそも各国の米国との金利差と為替はきれいに相関していない。経済理論的に正しいかどうかもわからないし、YCCと関係しているとは誰も考えていないと思う」と答えていました。ただ市場の反応は厳しく、9月22日の会見後に円安が進んだ状況と同じようにドル買い円売りが進行しました。ドル円は146円台半ばから147円前後まで上昇し、その後147円台後半までドル高が進んでいます。総裁は、足元の円安が経済に与える影響についても言及しており、「最近の円安は急速かつ一方的なもので望ましくない。経済にプラスでない」と述べています。  先週のドル円は米長期金利の低下に伴い一時は145円10銭までドル高が修正される局面もありましたが、再び147円台まで戻してきました。150円台から上では介入警戒感があるものの、145円前後ではすかさずドル買いも入ることから、神経質な展開が続きながらも145円~150円のレンジ内で収まる可能性もやや高くなってきたようです。もっとも、今週は2日(水)にFOMCがあり、焦点は12月会合での利上げ幅に集中しています。パウエル議長がその点に関してどのようなヒントを与えてくれるのか、その内容次第では上記レンジのどちらもブレイクすることも予想されますが、基本的なドル高の流れは続いています。  先週末に発表された7-9月の雇用コスト指数は市場予想と一致しましたが、堅調な数字であったことから、FRBの積極的な利上げ姿勢に寄与しそうです。また9月のPCEコアデフレータも市場予想を若干下回ったものの、「5.1%」(前年同月比)と、少なくともインフレの鈍化を示唆するものではなく、FRBの大幅利上げにブレイキを掛けるものにはなりません。米長期金利も4%台を回復し、ドル上昇を側面から支援していますが、気になるのはNY株式市場の値動きです。先週末、NYダウは828ドル高と大幅上昇を見せ、これで、6日連続で上昇し、上昇幅は2500ドルを超えています。依然としてFRBによる大幅利上げの可能性を残しながらも、これほどの大幅反発を見せたNYダウの動きは、何を示唆しているのでしょうか?先週市場で噂され、ドル円下落の一因にもなった「次回FOMCで12月会合での大幅利上げを縮小する議論を行う」ことを織り込む動きなのかもしれません。現時点での市場のコンセンサスは次回会合で0.75ポイントの利上げを行い、12月会合では0.5ポイントの利上げを見込んでいます。12月会合で0.25ポイントの利上げの可能性は低いとは思いますが、頭の片隅には入れておいた方がいいのかもしれません。  本日のドル円は146円50銭~148円90銭程度と予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
146円台で推移していたドル円は、黒田日銀総裁の会見が始まると上昇し147円台に。NYでは米長期金利の上昇もあり、147円84銭までドル高が進む。(イメージ写真提供:123RF)
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2022-10-31 10:00