グローバル株式の高いリターンで長期資産形成に資する、「野村未来トレンド発見ファンド(愛称:先見の明)」の運用の秘訣

 高いリターンが期待できる「テーマ型」の成長株ファンドは、「投資テーマの旬」が過ぎればパフォーマンスも衰えるため、「長期投資には向かない」といわれている。「テーマ型」の高いリターンを受け取りつつ、長期の資産形成に資するファンドにするためには、どのような仕組みが必要なのか? 設定来10年足らずで資産価値が2倍超に成長した「野村 未来トレンド発見ファンド(愛称:先見の明)」の開発に携わり、運用責任者である野村アセットマネジメント執行役員兼CIO(グローバル株式)の中山貴裕氏(写真)が、同ファンドの運用の実際について解説した。 ◆実験的に始まった「グローバル株式ファンド」  「野村未来トレンド発見ファンド」は約10年前、どのようなファンドを作れば、自分が将来のために自分自身で積み立てたいと思うファンドになるのか、白紙の状態から考え、研究開発としてスタートさせたプロダクトです。    まず、「グローバル株式」を対象とし、「世界中の銘柄の中から成長株を探そう」と考えました。たとえば、日本株の中小型株の運用であれば、対象となる銘柄が400~500程度ですので、約2年あればすべての銘柄にいったん調査をかけられます。そこから投資する銘柄を探すのは、「地引網」のようなイメージです。一度全部網でさらってきて、ふるいにかけた上で投資銘柄を選びます。これに対し、日本から投資可能なグローバル株式は、約8万~9万の銘柄数があり、とても「地引網」でさらうことができません。イメージとしては、大海原に釣り糸を垂らしてよい銘柄を釣り上げることになります。  釣り糸を垂らすとは、どの銘柄を調査するのかということです。どんな大きなグローバル運用会社であっても8万~9万社を全て調査するというのは現実的ではありません。「魚群探知機」のようなものが必要になります。魚がたくさん集まっているところに釣り糸を垂らしたいと考えました。  このファンドは3つの特徴があります。その1つが、「マルチテーマ型ファンド」です。いわゆる「テーマ型ファンド」は、一つの投資テーマに集中的に投資をします。そのテーマが狙った通りの成長を遂げると、リターンも出やすいという特徴があります。一方で、長期投資を考えると、技術の革新、テクノロジーの進化によって、これからも魅力的な新しい成長テーマは出てきます。そうすると、テーマを固定してしまうと、長期投資には不利になってしまいます。そこで、「複数のテーマ」、かつ、「可変型」という「マルチテーマ型ファンド」にしました。  投資テーマが、「魚群探知機」の役割になります。ファンドでは今、10個のテーマを持っています。「可変型」というのは、2年後、3年後に新しく出てきたテーマを随時、追加することができる仕組みです。一方で、時間が経過して成長を成し遂げてしまったり、見通しを誤ってしまったテーマなど「外すものは外す」というようにした方が、長期で保有するための仕組みに適しています。いわば、その時々に旬なテーマを切り口に銘柄を探し続けるファンドといえます。   ◆投資機会を逃さない「マルチテーマ型」の運用プロセス  スマートフォン、パソコン、自動車など、もともと世の中になかったものが生まれて世界中の誰もが持つようになるというストーリーは、成長ストーリーとして最強です。これが、「新たな価値の創造」という投資テーマの柱の1つです。このような10年に1度出てくるような大きなストーリーは群雄割拠で、どこが勝ち組になるか初期の段階で見極めるのは非常に難しいことです。成長期待が高い分、ボラティリティ(株価の変動性)は高くなります。  一方で、「社会構造の変化」という柱で、高齢化が進展する社会、教育、働き方といったテーマは、一度動き始めると不可逆な動きになります。こういうテーマに関連する銘柄は、安定的な成長を低いボラティリティの中で達成します。複数のテーマを選ぶ時には、「期待成長率が大きいテーマ」と「安定的に成長が期待できるテーマ」を併せて持つようにします。これが2つ目のポイントです。  テーマから、銘柄を選んでいく際には、「芋ほり/芋づる式」に探します。成長テーマに関連する代表企業は、比較的簡単にわかります。たとえば、「Eコマース(EC)」という領域では10年前でも「アマゾン」という名前は知られていました。「アマゾン」から調査を始めます。「アマゾン」の競合はどこか? 「アマゾン」はグローバルなECプラットフォーマーですが、特定の地域や国で頑張っているECの会社もあります。また、実店舗で小売りをしている会社を自社のプラットフォームに乗せてあげるという会社もでてきました。Eコマースで売り上げを伸ばすための広告事業、さらに、アメリカでは消費税が州単位、郡単位で変わっていますので、税務処理を専門に行う会社が現れました。ECで購入した商品を運ぶ会社、リピーターを獲得するためのポイント制やロイヤリティプログラムを提供する会社、また、決済会社など、1つの大きなテーマがあると、関連する企業は、芋ほりのようにずっと掘り進めていくことができます。 ◆長期投資を可能とする「リスク量」調整  成長株ファンド(グロースファンド)は、良い時にはたくさん勝つのだけど、環境が悪くなるとマイナスも厳しいというイメージを持たれている方が多いと思います。非常に成長性の高い企業は、どんな金融環境になっても成長が変わらない限り、それを信じて投資をし続けるというのがグロース株の考え方の1つだと思いますが、私は、どんなにいい企業であっても、365日フルで投資し続けなくても良いと思っています。マーケット環境が株式投資にとって良い状態とは言えない時、成長企業にとって逆風の時期、テーマごとにとって逆風な時など、そのようなときには、少しリスク量を落として安全運転をするという仕組みを持っています。これが3つめの特徴です。  こうすることで、マーケット環境がグロースにネガティブな時には、少しかがんだ状態にして、マーケット環境が良くなる時に立ち上がるということを機動的に調整しています。取っているリスク量に対して高いリターンを出していきたいと考えています。これが長期に保有することのもっとも重要なポイントになると思っています。  過去5年間のリスク・リターン比較で、世界株式とほぼ同じリスク量で、より高いリターンを出しました。世界株式の中でも「成長株」指数と比較しても、やや低めのリスクで高いリターンを出しています。長期運用において適切な時にリスクを取っているためです。  アメリカの10年債利回りと「S&P500」のPERの推移をみると、金利が上昇すると、それに合わせてPERの調整が起こっています。これから景気がスローダウンする局面になってくると考えられますが、その中でこのファンドは安定的なキャッシュフローを得られるだろうと考えられる企業に投資をしながら、全体のリスク量はやや抑えた状態を維持しています。  一方で、成長株の醍醐味といえる高い成長に期待できる投資に戻すタイミングを虎視眈々と狙っています。長期に資産形成する手段として「野村未来トレンド発見ファンド」をご検討ください。
「野村 未来トレンド発見ファンド(愛称:先見の明)」の開発に携わり、運用責任者である野村アセットマネジメント執行役員兼CIO(グローバル株式)の中山貴裕氏(写真)が、同ファンドの運用の実際について解説した。
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2022-10-31 10:15