【為替本日の注目点】ドル円、FOMCを前に神経質な動きに

東京時間では148円台半ばで推移していたドル円は、次第に上値が重くなり、NYの朝方には147円を割る場面も。その後米求人件数が予想外に増加したことを受け148円台を回復。ユーロドルはほぼ前日と同じレンジ内で推移し、方向感は定まらない。株式市場は続落。FOMCで利上げペース縮小に関する議論があるとの期待が後退。3指数は小幅に続落。債券相場は横ばい。長期金利は4.04%とほぼ変わらず。金と原油は揃って反発。
10月S&Pグローバル製造業PMI(改定値) → 50.4
10月ISM製造業景況指数 → 50.2
10月自動車販売台数 → 1490万台(年換算
ドル/円 146.99 ~ 148.34
ユーロ/ドル 0.9854 ~ 0.9954
ユーロ/円 145.97 ~ 146.73
NYダウ -79.75 → 32,653.20ドル
GOLD +9.00 → 1,649.70ドル
WTI +1.84 → 88.37ドル
米10年国債 -0.006 → 4.042%
【本日の注目イベント】
日 日銀金融政策決定会合、議事要旨(9月21日、22日分)
豪 9月住宅建設許可件数
独 9月貿易収支
独 10月雇用統計
独 10月製造業PMI(改定値)
欧 ユーロ圏10月製造業PMI(改定値)
米 10月ADP雇用者数
米 FOMC政策金利発表
米 パウエル議長記者会見
米 企業決算 → クアルコム、イーベイ
明日の日本時間朝方に発表されるFOMCの結果と、その後に行われるパウエル議長の会見を控え、ドル円は明確な方向感が見られない中、神経質な動きとなっています。結果発表前にポジションを整理する動きもあり、昨日のNY朝方には147円をわずかに割り込み、146円99銭までドル売りが進みましたが、その後に発表された9月の求人件数が、前月比43万78000件増加の1072万件だったことからドル円は再び148円台に乗せています。労働市場では依然「人手不足」が続き、雇用は堅調に推移しているとの見方につながっています。この結果、今回のFOMCで12月会合で利上げ縮小の議論が開始されるとの観測が後退し、これが株価の重石となりドルが買われる展開となりました。
注目は何と言っても、会合後のパウエル議長の発言です。議長が12月会合の政策についてどのようなシグナルを送るのかといった点や、9月時点よりも高いターミナルレートを示唆するかどうかに関心が集まっています。今回の会合では0.75ポイントの利上げが実施されることはほぼ確実ですが、会見でハト派転換が示されれば、ドルが大きく売られ、株価と債券価格が上昇することになります。先週のNY株式市場の動きはそれを先取りしていたのかもしれません。もっとも、ブルームバーグの寄稿者でもあるサマーズ元財務長官は「早期利上げ停止は見当違いだ」とツイートしています。サマーズ氏は、「これは新型コロナウイルス禍以来、インフレに関してひどく誤ってきた実績のあるエコノミストのコンセンサスから来ている」と述べ、「金利を4%超に引き上げることでコアインフレ率が6%超から2%割れの水準に押し下げられると、誰か本当に信じているのか」と疑問を投げかけた上で、「現在のコースにとどまり、その後、状況を評価すべきだ」と締めくくっています。(ブルームバーグ)
米供給管理協会(ISM)が発表した10月の製造業景況感指数は「50.2」と、2020年5月以来の低水準を記録し、拡大、縮小の境目である「50」に接近してきました。受注の指数はこの5カ月で4回目の低下を示し、仕入れ価格の指数もこの2年余りで最低の水準となっています。このように、FRBによる積極的な利上げ政策の影響から明らかに景気が抑制されてきた兆候が確認できる一方、上記求人件数では依然として労働市場の拡大を示す数字も確認されています。先週、株価の急騰、金利の急低下、そしてドル円の下落の主因となった「利上げ幅縮小議論」については、確かに、これまで3会合連続で通常の3倍に当たる0.75ポイントの利上げを実施してきたことで、今後米景気を必要以上に悪化させるリスクもありそうです。オーバーキルを懸念する声も多く上がっています。
パウエル議長がどのような発言を行うのかはわかりませんが、基本は「今後のデータ次第だ」と述べた、これまでほぼ姿勢は変えず、12月会合では0.5ポイントの利上げが実施されると、個人的には予想しています。12月会合は13-14日に行われることから、今週も含めあと2回の雇用統計と2回の消費者物価指数の数字も確認できます。もちろん、その結果次第では「0.75」も「0.25」もあり得るということです。米中間選挙まで1週間となりましたが、バイデン与党である民主党の劣勢が伝えられています。重要選挙区の一つであるジョージョア州では、今でも人気のあるオバマ元大統領が民主党候補の応援に駆けつけていましたが、劣勢の最大の原因が進行中の「インフレ」だと報じられています。インフレの早期抑制は残り2年のバイデン政権の行方にも大きく影響してきます。明日は東京市場が休場ですが、FOMCの発表は朝方3時、会見は3時半に行われる予定です。これから年末にかけてのドル円の方向性を決めることになるかもしれないイベントだけに、大きく動く可能性もあります。十分注意する必要があります。
本日のドル円は145円~150円とワイドに予想しますが、内容次第では上下ともブレイクする可能性がないとも言えません。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
東京時間では148円台半ばで推移していたドル円は、次第に上値が重くなり、NYの朝方には147円を割る場面も。(イメージ写真提供:123RF)
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2022-11-02 10:45