【為替本日の注目点】ドル円欧州で一時135円台に乗せる

ドル高の流れが続き、ドル円はNYオープン前に約2カ月ぶりとなる135円12銭まで上昇。NYでは長期金利の低下もあり、じり安の展開に。ユーロドルは小じっかり。ドル高の流れからユーロは売られたが、1.06台前半はキープ。株式市場では上値の重い展開が続く。ダウは小幅に上昇したものの、ナスダックとS&P500は続落。債券は反発し、長期金利は3.81%台に低下。金は反落。原油は4日続落し76ドル台に。
1月輸入物価指数 → -0.2%
1月輸出物価指数 → 0.8%
1月景気先行指標総合指数 → -0.3%
ドル/円 134.06 ~ 134.80
ユーロ/ドル 1.0621 ~ 1.0698
ユーロ/円 143.07 ~ 143.66
NYダウ +129.84 → 33,826.69ドル
GOLD -1.60 → 1,850.20ドル
WTI -2.15 → 76.34ドル
米10年国債 -0.046 → 3.815%
【本日の注目イベント】
欧 ユーロ圏2月消費者信頼感指数
米 NY休場(プレジデンツデー)
米 バイデン大統領、ポーランド訪問(22日まで)
ドル円は欧州時間に、1月6日に記録した今年のドルの最高値である134円78銭を抜け135円12銭近辺まで上昇しました。1月の雇用統計に始まり、1月のCPI、その後の小売売上高など、米経済の底堅さを示す指標が相次ぎ、さらにその後のFOMCメンバーによる「タカ派発言」も加わり、ドルを買い戻す動きが強まりました。
とりわけ、昨年からその発言に影響力を増しているセントルイス連銀のブラード総裁が「3月会合での0.5ポイントの利上げの可能性も排除しない」と述べたことが大きかったと思います。市場では3月会合での0.25ポイントの利上げは織り込んでいるものの、さすがに0.5ポイント幅は想定外です。昨年は0.75ポイントの利上げを4会合連続で行った後、12月会合では0.5ポイントに引き上げ幅を縮小し、さら今年1月会合では0.25ポイントまで利上げ幅を縮小してきました。そのため、3月会合で0.25ポイントの利上げを行い、その後はその累積的な利上げ幅の効果を検証するとの見方が、いわば市場のコンセンサスでした。そこに0.5ポイント発言が飛び出し、FRBが再び大幅利上げに方針を変える可能性が出て来たという観測が浮上した格好です。実際には、まだ0.5ポイント利上げのハードルは高いと思われます。ブラード総裁はあくまでも可能性の話しをしたと思われ、「今後も強い経済データが続けば・・・・」といったニュアンスかと思います。
ドイツで行われた「ミュンヘン安全保障会議」で、米中外交トップ会談が行われるのかどうか不明でしたが、18日に実施されました。ブリンケン国務長官は気球問題について、「受け入れられない米国の主権や国際法の侵害だ」と述べ、「米国はいかなる主権侵害も容認しない」とし、同様な事案があれば飛行物体を撃墜する姿勢を見せました。これに対して中国の王毅氏は「中国を中傷する資格はない」と反発する姿勢を見せ、両国の緊張緩和にはつながっていません。さらにウクライナ問題を巡って、ブリンケン氏は中国に「ロシアに物的支援を行わないよう」要請した模様で、会談後にCBSとのインタビューで、「中国が甚大な被害をもたらし得る物的支援を検討しているとの情報がある。中国側に、そのようなことがあれば米国と米中関係にとって深刻な問題となり得ると非常に明確に伝えた」と語っていました。ロシアがウクライナ侵攻を開始してまもなく1年が経過し、ロシア側は武器や弾薬が不足しているとみられ、中国に対してこれらの支援を要請しているようです。一方ウクライナのゼレンスキー大統領は欧米に戦闘機などの供与を強く求めており、EU加盟国はウクライナ支援に向けた弾薬の共同購入で3月にも合意する可能性があるとブルームバーグは報じています。ウクライナへの一段の支援についてはドイツが慎重な姿勢を見せており、今月末にもロシアの大規模な攻撃が予想される中、バイデン大統領が本日ポーランドを訪問するのも、このような状況に対応するため欧米の支援体制を確認する意味合いもありそうです。
今週は24日に、個人消費支出(PEC)価格指数が発表されます。FRBはCPIよりもこちらの指標により注目しているとされており、上記0.5ポイント利上げの可能性にも影響を与えるかもしれません。引き続き、これら経済指標の結果とFOMCメンバーの発言に、ドル円は上下することになります。135円台まで戻ったことがひとまず「達成感」となり、反落していくのか注目して行きたいと思います。米長期金利も一時3.3%台まで低下しましたが、先週は3.92%台まで上昇しています。ドル円の動きにも直結するこちらの動向にも、目配りが必要です。本日のドル円は133円50銭~135円程度を予想します。
(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
ドル高の流れが続き、ドル円はNYオープン前に約2カ月ぶりとなる135円12銭まで上昇。(イメージ写真提供:123RF)
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2023-02-20 10:00