【為替本日の注目点】OPECプラスの減産報道を受け原油価格は大幅高

ドル円は東京時間に133円75銭前後まで上昇したが、NYでは長期金利の低下もあり、じり安の展開に。132円21銭まで売られ、この日の安値圏で引ける。ユーロドルは小幅に続伸。1.0916まで値を伸ばす。株式市場はまちまち。ダウとS&P500は4日続伸するもナスダックは小幅に反落。債券は続伸。長期金利は3.41%台に低下。金は反発し、引け値で2000ドルの大台に。原油は「OPECプラス」の唐突な減産報道に大幅高。
3月S&Pグローバル製造業PMI(改定値) → 49.2
3月ISM製造業景況指数 → 46.3
3月自動車販売台数 → 1482万台
ドル/円 132.21 ~ 133.17
ユーロ/ドル 1.0862 ~ 1.0916
ユーロ/円 143.89 ~ 144.78
NYダウ +327.00 → 33,601.15ドル
GOLD +14.20 → 2,000.40ドル
WTI +4.75 → 80.42ドル
米10年国債 -0.056 → 3.411%
【本日の注目イベント】
豪 RBA、キャッシュターゲット
独 2月貿易収支
欧 2月卸売物価指数
米 2月製造業受注
米 2月雇用動態調査(JOLTS)求人件数
米 メスター・クリーブランド連銀総裁講演
加 2月住宅建設許可件数
昨日の東京時間では朝方からドル円は上昇。株高に加え、前日「OPECプラス」が減産を決定したことで、原油のほぼ全量を輸入に依存する日本の構造的な弱みが意識され、円売りが加速。ドル円は133円75銭前後まで上昇しました。しかしNYでは一転してドルがジリ安の展開となり、132円21銭まで売られています。3月のISM製造業景況指数が予想の「47.5」を下回る「46.3」と、2020年5月以来となる低水準だったことで、FRBによる利上げ観測が後退。債券は買われ金利が低下したことに沿う形で、ドル売りが優勢となりました。
金融不安や信用不安がある程度落ち着き、さらには経済データの下振れもあったことから、FRBの利上げ継続が回避できる可能性が高まってはいましたが、事はそう簡単ではないようです。FRBにとって、「OPECプラス」の追加減産の決定は「寝耳に水」だったことでしょう。言うまでもなく、原油価格の高騰はインフレ加速要因の一つになります。昨日のNY原油先物市場ではWTI原油価格が一時8%も上昇し、81ドル69セントをを付ける場面もありました。ようやく大幅利上げの効果が出始め景気減速が見込める状況になり、これであと1回の利上げで金融引き締めの終焉を迎える可能性も浮上する中、再びインフレの芽が大きくなる懸念が出てきました。今回の「OPECプラス」の唐突な減産合意には幾つかの意図があるようです。WTI原油価格は先月半ばには65ドル台まで低下していましたが、ここまで下がると産油国の「生産コスト」が大きく損なわれる可能性がありました。IMFの推計によると、2023年の財政収支が均衡する原油価格は、サウジアラビアが66.8ドル、UAEが65.8ドルで、今回追加減産に合意した8カ国のうち、主な7カ国平均では84.8ドルとなる(日経新聞)ことから、歳入の多くを原油に頼る「OPECプラス」にとっては、原油価格の低位安定は財政上からも容認できないところだったようです。
今回の減産決定は、米国にとってはインフレの再燃懸念につながり、日本にとっても円安の再燃懸念となる一方、ロシアにとっては「渡りに船」で、戦費の確保につながります。また続いていた原油価格の下落には、中国の景気減速やウクライナ情勢の混迷から原油消費量が減少するとの観測の下、投機筋による投機的なショートもあったようです。この投機筋を「ぎゃふん」と言わせる意味もあったようです。サウジアラビアのアブドルアジズ石油相はかつて、「トレーディングフロアの連中を可能な限り震え上がらせたい」と述べており、「この市場で儲ける者は誰もが痛い目に遭うだろう」と話していました。
米エナジー・アスペクツのチーフ石油アナリストは、「世界経済に回復力がある限り、年後半に100ドルを付けると予想していたが、石油価格は今四半期終盤までに100ドルに達する可能性がある」と述べています。またセントルイス連銀のブラード総裁はブルームバーグ・テレビジョンとのインタビューで、「OPECプラス」の決定について、「意外だった。この影響が長期的に維持するのか不明だ。原油価格は変動するため、価格動向を正確に追うのは困難だ。一部はインフレに影響し、われわれの仕事がもう少し難しくなる可能性はある」と語っています。さらにイエレン財務長官もコネチカット州での講演後に、「OPECプラスによる2日の減産決定は非建設的だ」と述べ、「原油価格の影響がどうなるのかまだ分からない。はっきりしているのは、世界の成長にとってプラスではないということだ。インフレが既に高水準にある状況で、不確実性と重荷を与える」と記者団に語っています。(ブルームバーグ)
ドル円は引き続き130-135円のレンジ内で推移しています。基本的に注目しなければならないのは米国のインフレの動向ですが、上でも述べたように、原油価格の動きが不透明でますます予想が難しくなっています。また日本の貿易収支の赤字額にも再び注目する必要があるかもしれません。
本日のドル円は131円50銭~133円程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は東京時間に133円75銭前後まで上昇したが、NYでは長期金利の低下もあり、じり安の展開に。(イメージ写真提供:123RF)
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2023-04-04 11:00