【為替本日の注目点】ISM製造業景況指数、3年ぶりの低水準

144円台後半で取引が始まったドル円は、6月ISM製造業景況指数が予想を下回ったことで下落。一時は144円前後までドル売りが進んだが、その後は反発。ユーロドルは朝方買われ1.0934まで上昇したものの、その後ドル高が進みじり安に。株式市場は3指数が揃って続伸。テスラなどEV自動車メーカーの株が大きく上昇。債券は売られ、長期金利は3.88%台に。金は横ばい。原油は反落。
6月ISM製造業景況指数 → 46.0
6月S&Pグローバル製造業PMI(改定値) → 46.3
米6月自動車販売台数 → 8:45現在未発表
ドル/円 144.00 ~ 144.85
ユーロ/ドル 1.0895 ~ 1.0934
ユーロ/円 157.30 ~ 157.95
NYダウ +10.87 → 34,418.47ドル
GOLD +0.10 → 1,929.50ドル
WTI -0.85 → 69.79ドル
米10年国債 +0.018 → 3.885%
【本日の注目イベント】
豪 RBA、キャッシュターゲット
独 独6月貿易収支
米 NY市場休場(独立記念日)
ドル円は底堅く、東京時間では日経平均株価が大きく上昇したこともあり、144円台半ばを超えて推移。NYでは朝方に発表された6月ISM製造業景況指数が「46.0」と、8カ月連続で活動の縮小を示す「50」を割込みました。生産や雇用、仕入れ価格などの指数が下がり、総合指数では3年ぶりの低水準でした。また8カ月連続での縮小は2008-09年の連続記録以来の長さとなり、この分野では大幅利上げによる景気抑制効果が出ていると言えます。経済指標の下振れはFRBにとっては「追い風」で、追加利上げの必要性が低下することからドルが売られる展開となり、ドル円は144円前後まで下げています。ただ、ここからさらに売られず反発するところが、このところのドル円の特徴的な動きで筆者はこれを「一歩後退・二歩前進」と表現しています。ドル円はその後144円74銭辺りまで値を戻し、経済指標発表前の水準近くまでドルが反発しています。
米10年債利回りがジワジワと上昇し、節目の「4%」にゆっくりと近づいています。仮に4%の大台に載せるようだと、3月2日以来4カ月ぶりということになりますが、因みに、4%を付けた3月2日のドル円は136円台後半と、足元の水準よりもかなり円高方向でした。米金利とドル円の強い相関関係がやや崩れているということですが、円がドルだけではなく、ユーロなど主要通貨に対しては一段と円安が進んでいることもその一因と見られます。例えば、ユーロ円が一段と上昇すると見込み「ユーロ円」を買えば、ユーロドルでは「ドル売り・ユーロ買い」を行い、ドル円では「ドル買い・円売り」のオペレーションを基本的には行います。ユーロドルでの「ドル売り」と、ドル円での「ドル買い」によってドルが相殺され、その結果「ユーロ円」を買ったことになります。ユーロ円の買いが活発になればなる程、ドル円の上昇圧力となり、上記米金利が上昇する以上に円安が進んでしまうという結果になります。
米債券市場では、10年債以上に2年債の利回りは上昇しています。ブルームバーグがまとめたデータによると、2年債利回りは昨日4.96%に達し、10年債利回りを最大110.8ベーシスポイント(bp)上回りました。この逆イールドの進行は、1980年代初期以来となる大きな開きで、今後金融引き締めがさらに進むと予想されていることを反映しています。2年債は10年債よりも政策変更の影響を受けやすく、債券トレーダーは政策金利のさらになる引き上げを想定したオペレーションを行っていると見られます。足元の金利スワップ市場では9月までの0.25ポイントの利上げ確率をほぼ100%、年内にもう一度利上げがある確率を50%織り込んだ動きになっています。
ブルームバーグはリラ安を止めるため、トルコ国営銀行(Turkish State Bank )が外国為替市場で「ドル売りリラ買い」の市場介入を行った可能性が高いと報じています。ドルリラは26.06近辺の最安値を記録しており、国営銀行は26.07を維持するため10億ドル規模の介入を行ったと、事情に詳しい関係者の話として伝えています。トルコ中銀は先月23日に政策金利をそれまでの「8.5%」から「15.0%」に引き上げましたが、市場はさらに大幅な利上げを想定していたため発表後リラは売られ、その後も反転の兆しは見られていません。次回の政策会合で再び大幅利上げがあるのかどうかが注目されています。
ドル円は介入警戒感がありながらも底堅い動きが続いています。本日はNY市場が休場のため、金利の動きもなく小動きの展開が予想されます。レンジ予想は144円~145円20銭程度といったところかと思います。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
144円台後半で取引が始まったドル円は、6月ISM製造業景況指数が予想を下回ったことで下落。(イメージ写真提供:123RF)
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2023-07-04 10:00