【為替本日の注目点】フィッチ米国債を格下げ

ドル円は続伸し、一時143円54銭までドルが買われる。米金利が上昇したことでドル買いが強まった。ユーロドルは小幅に続落。1.09台半ばまでユーロ安に。株式市場はまちまち。ダウは71ドル上昇したが他の2指数は下げる。キャタピラー株が上昇をけん引。債券は売られ金利は上昇。一時は4.055%まで上昇し、4.02%台で引ける。金は大幅に反落。原油も小幅に売られる。
7月S&Pグローバル製造業PMI(改定値) → 49.0
7月ISM製造業景況指数 → 46.4
6月雇用動態調査(JOLTS)求人件数 → 958.2万件
ドル/円 142.88 ~ 143.54
ユーロ/ドル 1.0952 ~ 1.0989
ユーロ/円 156.77 ~ 157.48
NYダウ +71.15 → 35,630.68ドル
GOLD -30.40 → 1,978.80ドル
WTI -0.43 → 81.37ドル
米10年国債 +0.064 → 4.023%
【本日の注目イベント】
日 日銀金融政策決定会合、議事要旨(6月15日、16日分)
米 7月ADP雇用者数
円安の風が吹き止まず、NYでは143円台半ばまでドルが買われたと思ったら、今朝は「サプライズ」の米国債格下げのニュースで、ドル円は一時143円台前半から142円75銭近辺まで売られる場面がありました。
格付け会社「フィッチ・レーディングス」は1日、米国の長期外貨建て債格付けを「AAA」(トリプルA)から「AA+」(ダブルAプラス)に引き下げたと発表しました。格下げの理由についてフィッチは、「米国の格下げは今後3年間で予想される財政状況の悪化、高水準で拡大しつつある一般政府債負担、過去20年間の他の「AA」および「AAA」格付け諸国・地域と比較したガバナンス(統治)の低下を反映している」と説明しています。これに対してイエレン米財務長官は直ちに「フィッチ・レーティングスの決定に強く異議を唱える」とし、「世界中の人々と投資家、米国民が既に知っている通り、財務省証券は引き続き世界的に見て卓越して安全な流動性資産であり、米経済は基本的に安全だ。フィッチの決定はそれを変えるものではない」と反論しました。(ブルームバーグ)
それにしても海外、特にNYではドルが買われるケースが続いています。昨日は7月のISM製造業景況指数が「46.4」と、市場予想を下回り、これで9カ月連続で活動の拡大・縮小を示す「50」を割り込んでいます。また6月の求人件数も減少し、2021年4月以来の低水準でした。今夜発表のADP雇用者数も、伸びが減速すると見込まれており、次回9月のFOMC会合での利上げ見送り判断の支援材料になりそうです。本来ならドルが売られてもよさそうですが、米国債が弱く、金利が上昇したことに素直に反応した格好です。もっとも、その根底には日銀がYCCの修正に踏み切ったものの、金融緩和策を終えるにはまだ長い道のりが残っていることで、「日米金利差は極端に縮小することはない」といった根強い観測があることが挙げられます。
JPモルガンの為替ストラテジストは、日米金利差を背景に年末までにドル円は150円~152円のレンジに円が下落する可能性が高いとの見方を発表しています。152円と言えば昨年10月に記録した151円94銭が蘇ります。昨年10月は米消費者物価指数(CPI)がピークを付けて減速してきたとはいえ、まだ総合で「7.7%」と高いインフレ率を示しており、この先果たして順調に減速傾向を見せるのかどうか不透明な状況でした。米長期金利も4.2%台で推移しており、今の状況とは大きく異なります。そのような中、150-152円といった予測を発表することは「かなり大胆な予想」と言えると思います。米国の金融引き締めステージはほぼ終焉に近い一方、日銀が金融緩和策の修正に向けてようやく第一歩を踏み出したと見られる、今はそんな状況下にあります。
多くのFOMCメンバーが依然として「タカ派寄り」の姿勢を維持している中、「ハト派」の代表格であるアトランタ連銀のポスティック総裁は、先週の利上げについて、「仮に投票権を持っていたなら、不本意ながら支持しただろう」と語り、さらに「基本的な見解は変っていないが、当局は9月までに多くの追加データを入手することになるため、自身の予想に反するデータがあれば、9月会合の見通しを調整することもいとわない」と発言。その上で、「現在、当局は過度の引き締めのリスクが多少ある段階にあると思う。そのことを念頭に置いておかなければならない」と述べています。
本日のドル円は142円~143円80銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は続伸し、一時143円54銭までドルが買われる。米金利が上昇したことでドル買いが強まった。ユーロドルは小幅に続落。(イメージ写真提供:123RF)
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2023-08-02 10:00