松屋R&D・後藤秀隆社長に聞く:ベトナム工場の効率化効果がより拡大へ
松屋アールアンドディ(松屋R&D) <7317> は縫製工程を自動化する独自技術が強みで、縫製自動機の開発・製造・販売のほか、血圧計腕帯、カーシート、エアバッグなどの製造・販売も手掛ける。2023年9月のベトナム新工場稼働による効率化の効果が大きく、業績は好調。グローバル展開を推進し、新規事業にも積極的に取り組んでおり、中・長期的な成長期待も大きい。同社の現状と今後について後藤秀隆社長に聞いた。
――25年3月期第3四半期累計(24年4-12月)の連結業績は、売上高73億8900万円(前年同期比15.4%増)、営業利益15億400万円(同52.7%増)と好調でした。
「メディカルヘルスケア事業では、主力の血圧計腕帯の受注が順調に推移しています。為替の円安傾向による好影響もあり、第3四半期累計の売上高は約46億円(前年同期比10.5%増)となりました。また、セイフティシステム事業はインド向けエアバッグ用縫製ラインが引き続き好調で、レーザー裁断機の受注も伸びました。ベトナム工場でカーシート、エアバッグの新規取引が始まったこともあって、同事業の売上高は約27億円(同21.0%増)と大幅に増加しました」
――通期予想については24年11月に期初予想を上方修正し、売上高92億円(前期比9.1%増)、営業利益18億円(同40.3%増)の見通しで、特に利益面の高成長が目立ちます。通期予想に対する第3四半期累計業績の進ちょく率は売上高80.3%、営業利益83.4%と高いですね。
「利益増については、売上高の順調な増加に加えて、ベトナム新工場の効果が大きくなっています。従来のベトナム工場は土地、建物ともレンタルでしたが、新工場は当社が新規に購入した土地に、従来の5工場をすべて集約する形で建設しました。工場を自社で保有することにより、レンタル代がなくなり、固定資産の減価償却費や借入の金利を加味しても通期で1.3億円ものコスト削減ができる見通しです。このコスト削減効果は来期以降も継続し、今後も当社業績の利益拡大に貢献するでしょう。また、期初から売上高は順調に推移しており、24年11月には上方修正しました。現在も順調な状況が続いています」
――株主還元では、期末一括配当を従来予想の2.5円から10円(前期実績2.5円)に、前期比4倍と大幅に増額しました。
「従来は配当より成長を重視していましたが、今期は利益水準が過去最高を更新する見通しで、収益力の強化が想定以上に進んでいることから、安定的な配当が可能になったとみて、期末一括配当10円の実施を決定しました。前期も増配しており、連続増配になります。今後も業績の成長に合わせて、増配は続けていきたいと思っています」
――海外展開はいかがですか。
「インド、メキシコ、欧州など世界の各地域で当社製品の需要が拡大しています。特にインドが活気付いており、大手エアバッグメーカーなどからエアバッグ用の大型設備の受注が増えています。また、南米ではメキシコに支店を設立し、より一層の営業強化を図っています。1月には南米において初めてエアバッグ用自動縫製ラインの開発・製造を大手エアバッグメーカーから受注しました。今後はメキシコ支店を中心に、ブラジル、ウルグアイなど中南米の営業を強化していきます。さらに、米国内での生産回帰の需要の高まりから、米国内での自動機の受注を目指すとともに、米国本土への投資も検討します」
――新規事業はいかがでしょうか。
「メディカルヘルスケア事業では脳梗塞(こうそく)のリハビリ用ロボットを製造、販売しています。現在はエビデンスを積み重ねるため、病院やリハビリセンターなどにテスト出荷している段階です。同ロボットには楽しみながらリハビリできるという面もあり、他社製品と比較して患者の評判はよく、多くの引き合いがあり、間もなく正式な契約もあるでしょう。さらに、同事業では手術用ロボットや補助器具の開発にも取り組んでおり、来期以降にははっきりした方向性を打ち出すことができると思います」
――将来のビジョンを教えてください。
「セイフティシステム事業のカーシートやエアバッグ、メディカルヘルスケア事業の血圧計腕帯の成長性は依然として高く、来期以降も両事業が当社業績の成長をけん引するでしょう。また、海外展開をより強化するため、英語をはじめ外国語の話せる海外志向の人材を中心とした採用に注力しています。24年10月にグローバル・AI(人工知能)人材確保のため、北陸新幹線が開通した福井駅前の『FUKUMACHI BLOCK』に新事務所を開設し、既に優秀な人材が集まり始めています。一方、リハビリ用ロボットなど、数年前から開発に取り組んできた事業の本格展開が見えてきたことから、その次として、今、開発を進めている製品について、来期以降には明らかにしていくつもりです」
松屋アールアンドディ(松屋R&D) <7317> は縫製工程を自動化する独自技術が強みで、縫製自動機の開発・製造・販売のほか、血圧計腕帯、カーシート、エアバッグなどの製造・販売も手掛ける。2023年9月のベトナム新工場稼働による効率化の効果が大きく、業績は好調。グローバル展開を推進し、新規事業にも積極的に取り組んでおり、中・長期的な成長期待も大きい。同社の現状と今後について後藤秀隆社長に聞いた。
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2025-03-10 10:15