米国の不透明感に懸念しつつも日本と欧州の株式はポジティブに評価=アムンディのグローバル株式市場見通し

 アムンディ・ジャパンは3月13日、アムンディの株式運用部門責任者のバリー・グラビン氏(写真)が来日した機会に、メディア向けに日本、および、グローバル株式市場に対するアムンディの見方を解説するメディアラウンドテーブルを開催した。グラビン氏は、2025年の年初から3月初旬までの値動きは、北米株がマイナス水準に沈み、日本株はそれ以上のマイナスになる中、日本を除くパシフィック、ヨーロッパ、中国の順にプラス幅が大きくなっている状況を示したうえで、「年初からの動きは、ここ数年とは違ったパターンが台頭してきていることを感じさせる。米国株式は下落しているものの依然として割高な水準にある」とした。アムンディは、日本株や欧州株はオーバーウエートとし、魅力的な株価水準にあるとしている。  グラビン氏は現在の市場のポイントとして「米国株式をリードしてきたマグニフィセント・セブン(M7)にも変化がある。7銘柄の値動きの相関性が崩れ、3つくらいのグループに分けて考えた方がいい状況になっている」と指摘した。たとえば、一つのグループには「大型の設備投資を行なったことによって、これまでは小さな資本で効率的なビジネスを行ってきたこととは明らかに違うビジネスモデルに転換しつつある企業がある。この場合、企業評価も投資の成果がどの程度のリターンになるかというところから評価が必要になってくる」とした。そして、「M7は基本的に同じ方向に動いてきたが、これからは動きの違いが明確に出てくるようになるだろう。それだけ、株価のボラティリティも大きくなると覚悟せねばならない」と語った。  また、第二次トランプ政権が誕生することが決まった昨年11月には、株式市場は第一次政権の2016年に起こったことを想起して株価が上昇したが、直近では株価が軟調に推移するようになってきていることについて、「スタート地点のインフレ率、金利水準、政府債務残高、また、株価のバリュエーションなどの水準が現在と2016年当時では大きく違うため、同じ政策を進めたとしても、経済への効果は自ずと異なる結果になってしまう。しかも、当初は減税や規制緩和などから始めると期待されていたものが、関税や移民問題という、より難しいテーマから始めてしまった。さらに、関税政策に対する強硬な姿勢が、交渉を優位に進めるためのポジション取りのための姿勢なのかどうかがよくわからない。このような不透明さが投資家には難しい問題になっている」とし、不透明要因が多い米国株式市場には厳しい見方をしていた。  一方、欧州株式は、「企業の成長力は米国企業に劣るものの、バリュエーションの点で米国と比較して割安にあり魅力的。また、金利の引き下げで先行したため、住宅、建設、消費者信頼感などの点でポジティブな影響が出てきている。また、向こう12カ月のエネルギー価格は低下する見通しで、ウクライナ停戦が実現すれば一段と価格が下落するとみられる。さらに、貿易量が大きな中国経済においてさまざまな景気刺激策がでてきていて、これも欧州企業の収益にプラスの影響を与えると期待される」とし、欧州株にとっては引き続きポジティブな要素が多いとした。  そして、日本の株式市場についても(1)長年続いてきたデフレが終わって経済の正常化が進んでいる、(2)コーポレート・ガバナンス改革が進展し魅力的な投資対象に変わってきている――というポイントをあげて、「中長期的に魅力的な投資対象といえる」と評価していた。
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2025-03-13 22:15