スカラ、構造改革で収益改善

 DX(デジタルトランスフォーメーション)関連サービスを中核とするスカラ <4845> は、前6月期に取り組んだ構造改革により収益改善の兆しを強めている。このほど赤字の金融事業子会社の売却も発表した。 <四半期黒字化、DX事業が好調に推移>  同社は企業や地方自治体の抱える問題の解決に寄与するDXサービスを主体に、人材サービスやトレーディングカードのEC(=Eコマース、電子商取引)サイト運営などを展開。非IT事業を含む多角化経営による収益性の悪化を受け、構造改革を断行した。それに伴う損失が膨らんだ前期は、連結営業損益(IFRS)が21.6億円の赤字(前々期は4.0億円の黒字)に落ち込んだ。  構造改革の成果は着実に表れている。同社は事務所の解約やスペース縮減、取締役と顧問人数の圧縮、人員削減などを通じた合理化に取り組んだほか、不採算事業の整理により2023年7月時点で18社あったグループ会社を24年末には11社まで絞り込んだ。従業員数も抑制し、新田英明新社長の指揮の下で損益分岐点の引き下げに注力した。  こうした施策により、営業損益は前期第3四半期(24年1-3月)の6.8億円の赤字、同第4四半期(24年4-6月)の12.4億円の赤字に対し、今期第1四半期(24年7-9月)は0.4億円まで損失幅が縮小。そして第2四半期(24年10-12月)は、2.9億円の黒字に浮上した。通期の営業損益は5.5億円の黒字を計画する。  24年10-12月はDX事業で金融向け大型案件の納品が重なった効果があるとはいえ、コスト構造の変革で筋肉質な経営が身に付きつつある。人員削減下でも、DXの主力事業会社のスカラコミュニケーションズ(スカラコム)の持つ人財事業部を活用し、外注費を抑制した。中期的には、業績成長への転換を視野に再び新規採用にも力を入れていく方針だ。 <赤字のペット保険を売却>  2月末には、金融事業の子会社の日本ペット少額短期保険社の全株式の譲渡を発表した。3月末をメドに3億円強で売却する。同社の金融事業は今期上期も0.8億円の赤字(前年同期は1.3億円の赤字)となるなど厳しい事業環境に苦しんでいた。  業容のスリム化により、同社は主力のSaaS(サービスとしてのソフトウエア)やウェブソリューションをドライバーに再成長を志向する。また、スカラコムの人財事業部は、内部的な貢献にとどまらず、外部顧客向けにも高い稼働率を維持しており、今後の収益貢献度の拡大が期待される。  株価は業績悪化によって、25年1月には11年ぶりの安値に相当する352円まで売り込まれたが、足元では下値を切り上げている。黒字定着から再成長への見通しが強まったことで、株価修復も一段と進みそうだ。
 DX(デジタルトランスフォーメーション)関連サービスを中核とするスカラ <4845> は、前6月期に取り組んだ構造改革により収益改善の兆しを強めている。このほど赤字の金融事業子会社の売却も発表した。
economic company
2025-03-14 09:30