資金流入額が回復し「先進国株式」への流入額が増加、トータルリターンは「中国」と「５Ｇ」＝ＤＣ専用ファンド（２０２５年８月）

　ＤＣ専用ファンドの２０２５年８月の純資金流出入額（速報値）は約２３７億円の資金流入超過になった。資金流入超過は２０２０年１２月以降５７カ月連続、流入額の規模は前月の１６１億円から増加した。資金流入額のトップは「先進国株式」の約１５８億円だった。「ターゲットイヤー」も約８４億円、「ＲＥＩＴ」も約４３億円の資金流入になった。一方、「国内株式」は約７３億円の資金流出で４カ月連続の資金流出となり、「バランス」も約２億円の資金流出になった。 　ＤＣ専用ファンド全体の純資産総額は約１５兆８２３６億円と前月から約２６２５億円増加して前月に続いて史上最高を更新した。純資産総額の内訳は、株式ファンド５８％、債券ファンド１０％、バランスファンド３０％という割合で、前月と比較して株式ファンドが１％ポイント増加し、株式ファンドへの集中が一段と強まった。（※個別のＤＣ規約では、ＤＣ専用ファンド以外のファンドを制度に採用している場合があるため、ＤＣ専用ファンド全体の純資産総額は、国内ＤＣ制度全体で運用されているファンドの残高とは一致しない） ■資金流入額トップに８カ月ぶりに「バランス型」 　ＤＣ専用ファンドの過去１カ月間の純資金流入額ランキングのトップは前月は第２位に後退していた「野村　外国株式インデックスＦ（確定拠出年金）」になった。前月トップだった「分散投資コア戦略ファンドＳ」は資金流出に転じてトップ１０圏外に落ちた。代わりに、第２位に上がったのは「ＤＣターゲット・イヤー（ライフステージ対応型）２０３５」だ。また、前月に第６位に上がっていた「野村　Ｊ－ＲＥＩＴファンド」が第３位になった。 　「ＤＣターゲット・イヤー（ライフステージ対応型）」は、ターゲット・イヤーまで３０年程度の期間があるタイミングがもっとも株式の投資比率が高い組み入れ比率となり、ターゲット・イヤーに到達時でも株式の比率は２０％程度を維持する仕組みになっている。ターゲット・イヤーまでの期間が３０年以上に長い場合は、まずは債券等の安全資産を多く保有して価格変動率を抑えた運用を行い、徐々に株式の比率を高める設計になっている。ターゲット・イヤーは多くの場合、定年を迎える６０歳や６５歳を設定するものだが、それ以降の老後が長くなっている現状を踏まえてリスク資産を持ち越す設計になっているのだろう。 　また、第４位以下にはインデックスファンドが続いた。第４位が「Ｏｎｅ　ＤＣ米国株式（Ｓ＆Ｐ５００）インデックスファンド」、第５位が「ＤＣ米国株式インデックス・オープン（Ｓ＆Ｐ５００）」だった。第６位は「ＤＣ全世界株式インデックス（オール・カントリー）」、第７位は「野村ＤＣ外国株式インデックスＦ・ＭＳＣＩ」だった。一般の公募ファンドで「オルカン」（ｅＭＡＸＩＳ　Ｓｌｉｍ　全世界株式（オール・カントリー））や「Ｓ＆Ｐ５００」が人気を集めている流れが、ＤＣ市場にも及んでいる。 ■トータルリターン１位は「ＤＣチャイナ・ロード」 　個別ファンドの過去１年間のトータルリターンランキングトップ３は、前月と同じだった。トップは「ＤＣチャイナ・ロード」で１年トータルリターンは４５．５１％。第２位は「ＤＣニュー・チャイナ・ファンド」（４１．１６％）、第３位は「ＤＣ次世代通信関連　世界株式戦略ファンド」（３７．２８％）だった。第４位に「ＤＣダイワ中小型株ファンド」（３５．５５％）が上がり、前月第４位だった「明治安田　ＤＣ中小型株式オープン」（３５．２７％）は第５位に後退した。 ◆ｉＤｅＣｏ新規加入者数は４カ月ぶりに３万人超 　国民年金基金連合会が９月１日に発表したｉＤｅＣｏ（イデコ、個人型確定拠出年金）の業務状況によると２０２５年７月の新規加入者数は３万４９４人で前年同月比１２．３％減、加入者総数は３７０万９７２５人になった。月間新規加入者数は４カ月ぶりに３万人を超えた。なお、従業員のｉＤｅＣｏに企業が上乗せ拠出をするｉＤｅＣｏ＋（イデコプラス：中小事業主掛金納付制度）は、実施事業所数は９２４９事業所、対象従業員数は５万９２８３人になった。 　７月の新規加入者の内訳は、第１号加入者は３９９０人（前月３８３５人）と前年同月比２１．６％減、第２号加入者は２万５２６０人（前月２万４１１４人）と同９．１％減、第３号加入者は９４８人（前月９８２人）と同３７．１％減になった。第２号加入者の中で、「企業年金なし」の新規加入者が１万６８８３人（前月１万６５９７人）。「企業年金あり」が４５９３人（前月４１０２人）。共済組合員（公務員）の新規加入者は３７８４人（前月３４１５人）となった。