急拡大するAI関連投資が強烈な追い風に、3年~7年先の企業価値に投資する「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンド」の核心

フィデリティ投信は9月11日、「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンド」の共同運用主担当であるカイル・ウィーバー氏(写真:右)とベッキー・ベイカー氏(写真:左)がそろって来日したことを機会に、2人に運用の現状を聞くメディアラウンドテーブルを開催した。同ファンドは同社が運用するファンドの中で近年の資金流入額が最も大きなファンドになっている。純資産残高も4つのコース(為替ヘッジありなし、予想分配金提示型毎月決算の為替ヘッジありなし)合計で6900億円を超えている。2人が同ファンドの共同運用主担当について約2年になり、米国における同運用戦略の運用資産残高は4兆円を超える規模に成長している。
カイル・ウィーバー氏は同ファンドの投資哲学について「3年~7年先の企業価値を判断して成長銘柄を発掘している」と語り、「グロース株に投資するファンドだが、将来価値に対しては割安なバリュー投資を行っている」と表現していた。運用しているポートフォリオは世界の上場株式の中から約100銘柄を選定している。コアとして持っているのが、時代の潮流を捉えた長期にわたる持続的かつ高い成長率を実現する企業。これに加えて、ビジネスの安定性は高いものの何か突発的な要因によって一時的に株価が割安になってしまった銘柄。また、株価急上昇の可能性を秘めたニッチな急成長企業を組み合わせている。
3年~7年先を見据えているため、比較的投資銘柄は中期に保有する傾向があるが、投資銘柄を売却するタイミングについてベッキー・ベイカー氏は「2つの理由がある」と語った。1つは「当初の見立てが現実にならなかった場合」で、たとえば、同ファンドでは自動運転の実用化に向けて「スマートEV」関連の車載用半導体の成長に期待して投資していたものの、トランプ政権になってEV関連の支援策が縮小するなど「スマートEV」に関する仮説が想定とは異なってきたために売却を決断したと語っていた。また、もう1つの売却理由は「当初の仮説が実現し、株価も想定の水準に上昇した場合」として、「マグニフィセント・セブン」といわれる銘柄などに数年前から投資し、近年株価も大きく上昇し注目度が高まるとともに一部を売却していると語った。
運用ポートフォリオの半分程度をAI(人工知能)関連が占めている。「AIはパワフルなテーマであり、今後の社会に大きな影響力を持っている」(ベイカー氏)と最大限の関心を持って調査していると語った。そして、「AI半導体の受注残は数年先まで埋まっていて、今後に大きな売り上げの伸びが続くことがみえている。ちょうど、インターネットが普及し始めた1990年代に10年続くような成長過程があったように、生成AI『ChatGPT』が公開された2022年末から10年程度の大きなブームをイメージしている」と語った。たとえば、AI開発のインフラとなるクラウド会社のクラウド設備投資の支出額は米国と中国の大手8社の合計額だけで2023年から2025年にかけて年率25%成長が見込まれている。「数百億ドルの市場があっという間に数兆ドルになるような変化が起きている」とその成長スピードを例えていた。
そして、現在のAIブームは2000年当時の「ITバブル」とどこが違うのかという質問には、「ITバブルの時には収益が出ていないのに期待だけが先行していた。光ケーブルも需要がない地域にまで敷いて結局は後に撤去するようなことが行われていた。ところが現在は、供給を大幅に上回る需要があり、2年先までの受注残を抱えている」と違いを強調。その上で、ウィーバー氏は「AI市場の動向は、フィデリティのグローバル調査体制をつかって大手企業から中小企業に至るまで緊密に連携して需要サイド、供給サイドの現状をチェックしているほか、未公開企業が取り組んでいるような新しい技術についてもフォローし、新しいスターが生まれてこないか目を光らせている」と語った。
また、AI以外の分野でも成長が見込まれる市場として従来のテレビをインターネットに接続するコネクテッドTVを通じたデジタル広告市場、また、ここ数年来低迷を続けてきた住宅関連市場にも面白い動きがあると語っていた。ベイカー氏は、「私たちは、グロース・オポチュニティ・ファンドに大きな期待を持っています。ぜひ、日本の投資家の皆さまにも私たちが展望する3年~7年先の大きな成長を共有していただき、当ファンドを資産形成にご活用いただきたい」と語っていた。
フィデリティ投信は9月11日、「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンド」の共同運用主担当であるカイル・ウィーバー氏(写真:右)とベッキー・ベイカー氏(写真:左)がそろって来日したことを機会に、2人に運用の現状を聞くメディアラウンドテーブルを開催した。
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2025-09-12 10:30