【為替本日の注目点】FOMCメンバー、次回の金融政策意見分かれる

 ドル円は147円台で推移しながらも小幅に下落。経済指標が軟調だったことで金利が下がり、147円47銭まで売られる。ユーロドルは小幅に買われ、1.18台前半まで上昇。株式市場はパウエル議長が10月会合での追加利下げに言及しなかったことが材料視され、3指数は揃って下落。債券は買われ、長期金利は4.10%台に低下。金は3日続伸し、初の3800ドル台に。原油も買われる。 9月S&Pグローバル製造業PMI(速報値)  → 52.0 9月S&Pグローバルサービス業PMI(速報値) → 53.9 9月S&Pグローバル総合PMI(速報値) → 53.6 経常収支(4-6月) → -251.3b 9月リッチモンド連銀製造業景況指数  → -17 ドル/円 147.47 ~ 147.93 ユーロ/ドル 1.1784 ~ 1.1818 ユーロ/円 174.15 ~ 174.48 NYダウ -88.76 → 46,292.78 GOLD +40.63 → 3,815.70ドル WTI +1.13 → 63.41 米10年国債 -0.041 → 4.106% 【本日の注目イベント】 日 自民党総裁選立候補者の討論会 豪 豪8月消費者物価指数 独 独9月ifo景況感指数 米 8月新築住宅販売件数 米 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁講演  NYでは国連総会が開かれ、パレスチナを巡る問題では米国と他の主要国との間ではっきりとした対応の差が改めて明らかになりました。フランスのマクロン大統領はパレスチナを正式に国家承認すると表明しました。マクロン氏は、「承認はイスラエルとパレスチナ双方に有益な交渉の道を開く」と主張し、「ガザの爆撃と虐殺を止める時がきた」と演説しました。これで、パレスチナを国家承認した国は英仏を含め150カ国を超えることになります。承認しないと見られる米国が欠席したことを踏まえ、今朝の経済紙は「G7岐路、漂う米国不信」との見出しを掲載していました。トランプ大統領は演説で、国連を「空虚な言葉」ばかりだと強く非難し、さらに気候変動対策を「信用詐欺」、「国境開放は国の破壊を招く」と述べるなど、不平を並べ立てていました。米国は、国連と国連の決議には全く興味がないのでしょう。  好調だった米国株が昨日は3指数とも下げました。先週のFOMCで利下げを決めた後、最初となるパウエル議長の講演がやや「逆風」だったようです。議長は23日、ロードアイランド州の商工会議所で講演し、「短期的なインフレへのリスクは上方向、雇用へのリスクは下方向に傾いており、厳しい状況だ」と発言。さらに、「両面のリスクがあるということは、リスクの全くない道は存在しないことを意味する」と述べました。10月に開かれる次回FOMC会合で利下げを支持するかどうかについては、何も示唆しなかったことが失望につながったようです。パウエル氏は「労働力の供給と需要の双方が顕著に鈍化している。これは異例かつ困難な展開だ」とし、「労働市場は活力が弱まってやや軟化しており、雇用への下振れリスクは高まっている」と説明。議長はただ、トランプ氏の関税が持続的なインフレ圧力につながる可能性に今後は留意すべきだとも強調。「関税引き上げがサプライチェーン全体に浸透するには時間がかかり、一時的な価格押し上げが数四半期に及ぶ可能性がある」と指摘しその上で、「財の価格がインフレ加速の要因になっている」と付け加えていました。パウエル氏は最後に、「世界中の民主主義国で、経済・政治機関に対する信頼が揺らいでいる」と指摘し、「われわれ公職にある者は、荒波や強風の中でも、自らの使命を全力で果たすことに集中しなければならない」と語っていました。  パウエル議長以外にも、昨日は多くのメンバーが自身の考えを披露していました。注目のミラン理事は、NY経済クラブで理事に就任後、初めて金融政策に関して講演を行い、景気を熱しも冷やしもしない中立金利の水準が低下した理由について論じていました。ミラン氏は、「中立金利はこれまで過大評価されていた可能性が高く、最近では関税や移民規制、税制によってさらに低下している」と主張。「そのため、経済への悪影響を回避するには、金利はもっと低くあるべきだ」と持論を述べました。講演後の質疑応答では、「これはパニックではない。75ベーシスポイント以上の引き下げならパニック的な措置だろう」とミラン氏は指摘し、その上で「パニックには陥っていないが、中立金利を大きく上回る水準が長引けばリスクが高まるとみている」と述べていました。さらに今後のFOMC会合でも反対票を投じ続ける可能性が高いとの考えを表明。「自分の考えが変わらない限り、この見解を主張し続ける。もしそれが反対票を投じ続けることを意味するなら、反対を続ける。存在しないコンセンサスの幻想を作り出すためだけに、自分が信じないものに賛成票を投じるつもりはない」と強気の姿勢を見せており、氏のFRB内での異色ぶりは鮮明でした。(ブルームバーグ)  ミラン氏程ではないものの、トランプ大統領に近いとされるボウマン副議長は、労働市場が弱含む中で、政策担当者は対応が後手に回る恐れがあり、金利引き下げに向けて断固とした行動が必要だとの考えを示し、やはり大幅利下げを支持する内容の発言を行っています。ボウマン氏は、「労働市場の悪化が数カ月続いていることを踏まえ、労働市場の活力低下や脆弱性の兆候に対応するため、委員会は断固かつ先手を打った行動を取るべき時だ」と発言し、さらに「私の見解では、雇用統計の年次ベンチマーク改定の速報値を含め、最近のデータは労働市場の悪化に対応する上で、すでに後手に回っている深刻なリスクがあることを示している」とし、その上で「こうした状況が続けば、今後はより速いペースで、より大幅な政策調整を余儀なくされることを懸念している」話していました。  上記ハト派の2名とは異なり、米アトランタ連銀のボスティック総裁は、今後もインフレ圧力が続くとの見方を示し、FOMCは物価上昇に対して引き続き警戒を怠るべきではないと強調しました。ボスティック氏はジョージ・メイソン大学で、「ここ4年半余り、目標水準に達していないことを踏まえると、インフレには確実に注意を払う必要がある」と発言。「インフレとの闘いにおいて、われわれには引き続き警戒を続ける責任があると思う」と発言しました。また、雇用とインフレに関しては「雇用リスクへの懸念は大きく高まっており、多くの人にとってはインフレリスクに匹敵する」と説明しています。ボスティック総裁は22日に公開されたウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙とのインタビューで、「先週の利下げに違和感はないが、年内追加利下げの必要性はほとんど感じない」と述べていました。  さらにメンバーの中では最も「タカ派」と見られる、セントルイス連銀のムサレム総裁は、労働市場の軟化に備える保険として、先週の利下げ決定を自身が支持したと述べながらも、インフレが高止まりする中で追加利下げを行う余地は限られているとの認識を示しました。ムサレム氏は現行の金利水準について「やや景気抑制的な水準と中立的な水準との間にある」と分析し、「私は先週のFOMC会合での25ベーシスポイントの利下げを支持した。労働市場が完全雇用を維持することを支え、さらなる軟化を防ぐことを意図した予防的な措置だ」と語っています。ムサレム氏は続けて、「しかし、政策が過度に緩和的なものにならないようにするには、追加緩和の余地は限られていると考える。関税の影響、労働供給の伸び鈍化、あるいは他の理由によるものであれ、目標を上回るインフレが続く場合、金融政策はそれに対抗し続けるべきだ」と述べていました。10月のFOMC会合は、28―29日に開催されますが、すでに会合での「席順」が決まっているかのような発言が相次ぎました。  自民党総裁選への立候補者が5名に決まり、共同記者会見が数か所で行われましたが、印象的だったのが高市氏の発言でした。高市氏は、物価高対策の財源として赤字国債の増発は選択肢になるか問われ、「どうしてもというときには、国債の発行もやむを得ない」との考えを示しました。高市氏は従来から「責任ある積極財政」で経済成長を目指す姿勢を示していましたが、総裁選の争点である物価高対策で赤字国債の増発も辞さない方針を明確にし、物価高に関しては他の候補者よりも、より積極的な姿勢を鮮明にさせていました。ただ国債の増発は金利上昇を招き、一方では日銀に利上げを行わないよう圧力をかける手法が果して実現可能なのか、言葉だけが先行している印象は残ります。  本日のドル円は146円50銭~148円30銭程度を予想します。 (編集担当:亜州リサーチ=サーチナ) (写真:123RF)
ドル円は147円台で推移しながらも小幅に下落。(イメージ写真提供:123RF)
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2025-09-24 10:45