【為替本日の注目点】8月の新築住宅販売は予想外に急増

ドル円は今月3日以来となる148円91銭まで上昇。欧州市場でドル高が進んだが、NYでは住宅関連指標の上振れに伴い金利が上昇したことで149円に迫る水準まで買われる。ユーロドルは反落。独IFO景況感指数が予想を下回ったことで1.1729まで売られる。株式市場では3指数が揃って続落。住宅関連指標の上振れで、年内2回と見られる利下げ観測がやや後退。債券も売られ、長期金利は4.14%台に上昇。金は4日ぶりに反落。原油は続伸し65ドル台に迫る。
8月新築住宅販売件数 → 80万戸
ドル/円 148.43 ~ 148.91
ユーロ/ドル 1.1729 ~ 1.1758
ユーロ/円 174.45 ~ 174.79
NYダウ -171.50 → 46,121.28
GOLD -47.60 → 3,768.10ドル
WTI +1.58 → 64.99
米10年国債 +0.040 → 4.147%
【本日の注目イベント】
日 日銀金融政策決定会合議事録(7月30・31日分)
独 独10月GFK消費者信頼調査
米 4-6月GDP(確定値)
米 8月耐久財受注
米 8月中古住宅販売件数
米 新規失業保険申請件数
米 9月ミシガン大学消費者マインド(確定値)
米 グールズビー・シカゴ連銀総裁、討論会で発言
米 ウィリアムズ・NY連銀総裁講演
米 バー・FRB理事講演
米 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁、討論会に参加
ドル円は昨日のNYで148円91銭までドル高が進みました。やや予想外の展開でした。欧州市場でドルが買われた流れを受け、NYではさらにドルが買われました。年内残り2回の会合で利下げが予想されることや、FRBに対するトランプ政権の執拗な利下げ圧力など、「ドル売り材料」が見込まれる中、ドルは底堅い動きを見せています。多くの市場参加者がそのように感じていると思われますが、先のFOMCでは0.25ポイントの利下げを行い、パウエル議長も「労働需要は軟化し、最近の雇用創出ペースは失業率の安定維持に必要な水準を下回っているようだ。非常に堅調だとは、もはや言えなくなった」と、雇用市場の急激な減速を認めたことで145円50銭まで売られドル円でした。しかし、結局ドル円は145-150円のレンジを下抜けすることはできませんでした。そのドル円、今度はレンジの上限を試す動きを見せてきました。再び145円方向に押し戻されるのか、あるいは150円を試しに行くのか、見ものです。
金利上昇の引き金は、8月の新築住宅販売が予想外に急増していたことです。新築一戸建て住宅販売(季節調整済み、年率換算)は前月比20.5%増加の80万戸と、市場予想の65万戸を大きく上回り、2022年初め以来の高水準となりました。「経済の先行き不安が残る中、住宅建設業者による積極的な値引きや販売インセンティブが購入意欲を後押ししたとみられる。(ブルームバーグ)さらに7月分も速報値の65万2000戸から66万4000戸に上方修正されています。
昨日も本レポートで多くのFOMCメンバーの発言を紹介しましたが、昨日はサンフランシスコ連銀のデーリー総裁が、追加の利下げが必要になる可能性が高いとしつつも、米金融当局は慎重に対応すべきだとの認識を示しました。デーリー氏はユタ大学でのイベントで、「物価安定を回復しつつ労働市場への必要な支援を行うため、今後さらに政策調整が必要になる可能性が高い」と述べながらも、「ただ、これは見通しであって約束ではない。目標を基軸に据え、トレードオフを評価し、繰り返し判断を重ねることが重要だ」とし、不確実な局面では着実かつ慎重な意思決定が必要だと強調しました。さらにデーリー氏は先の会合では、経済成長や個人消費、労働市場が減速していることを踏まえ利下げを「全面的に支持した」ことを、明らかにしています。講演後の質疑応答では、「労働市場は減速しているものの現時点で弱いわけではなく、リセッションのリスクもない。今回の利下げは雇用市場がこれ以上悪化しないようにするための措置でもある」と説明していました。
一方、トランプ政権の中心的な役割を演じているベッセント財務長官は23日、FOXビジネスとのインタビューで、「金利はあまりに景気抑制的であり、下がる必要がある」と指摘。「パウエル議長が年内に少なくとも100-150ベーシスポイントという目標を示唆していないことに少し驚いている」と述べました。ベッセント氏はまた、新しくFRB理事に就任したスティーブン・ミラン氏を称賛し、「新しい血が入るのは良いことだ。スティーブンは1週間で、バイデン政権が指名した理事が任期中に語った以上のことを発言している」と述べました。パウエル議長の後任探しについては、11人の候補者と面談を行っているとし、「来週は数多くの面談が予定されている」と説明していました。
148円台後半まで戻って来たドル円ですが、まだこのまま上記レンジの上限を試す動きにはならないと考えます。テクニカルではドル上昇を示唆する形状を見せてはいますが、少なくとも東京市場では149円台に乗せれば実需も含めたドル売りが上昇を抑えると予想します。足元ではドル上昇の最大要因と見られている日本の政局でも、ややその力は弱まって来たようです。昨日は日本記者クラブで総裁選立候補者による討論会がありました。昨年9月の総裁選時に「金利を今、上げるのはあほやと思う」と発言した高市氏は、その発言について自身の考えを説明していました。高市氏は「政策金利が急激に上がった場合、企業が投資に金を回せるのか、住宅ローン金利の支払いで、若い方がお困りになるのではないかとの懸念を示したのだ」と、語っていました。その上で、「財政・金融政策の方向性を決める責任は政府にあるが、金融政策の手段は日銀が決めるべきだ」との考えを示し、上記過激な発言から相当トーンを下げていました。5人の候補者の政策の違いを見つけるのが困難になりつつあります。
本日のドル円は147円80銭~149円30銭程度を予想します。
(編集担当:亜州リサーチ=サーチナ) (写真:123RF)
ドル円は今月3日以来となる148円91銭まで上昇。(イメージ写真提供:123RF)
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2025-09-25 10:45