【為替本日の注目点】ドル円150円に迫る

ドル円は大幅に続伸し一時は149円93銭と8月3日以来となるドル高を示現。良好な経済指標を受けて、年内2回の利下げ観測が後退。ユーロドルは続落。1.16台半ばまで売られる。ただ対円では174円84銭まで買われ、2024年7月以来の高値を記録。株式市場では利下げ観測の後退に伴い、3指数が揃って3日続落。債券も続落し、長期金利は4.17%台に上昇。金は小幅高。原油は横ばい。
4-6月GDP(確定値) → 3.8%
8月耐久財受注 → 2.9%
8月中古住宅販売件数 → 4.0百万戸
新規失業保険申請件数 → 21.8万件
ドル/円 148.81 ~ 149.93
ユーロ/ドル 1.1646 ~ 1.1745
ユーロ/円 174.44 ~ 174.84
NYダウ -173.96 → 45,947.32
GOLD +3.00 → 3,771.10ドル
WTI -0.01 → 64.98
米10年国債 +0.023 → 4.170%
【本日の注目イベント】
日 9月東京都区部消費者物価指数
米 8月個人所得
米 8月個人支出
米 8月PCEデフレータ(前月比)
米 8月PCEデフレータ(前年比)
米 8月PCEコアデフレータ(前月比)
米 8月PCEコアデフレータ(前年比)
米 9月ミシガン大学消費者マインド(確定値)
米 バーキン・リッチモンド連銀総裁講演
米 ボウマン・FRB副議長、討論会に参加
149円93銭・・・・・。
ドル円はいよいよ150円に迫る水準まで上昇してきました。昨日の東京時間ではドルの上値は重かったものの、欧州市場ではドル買いが続き、NYでは良好な経済指標を受け年内残り2回の利下げ観測が後退したことで、ドルが買われ円が売られました。また、クロス円でも再び買いが勢いを増し、ユーロ円は2024年7月以来となる174円台後半まで上昇。その他のクロス円でも軒並み円安が進んでいます。クロス円での「円売り」がドル円にも波及し、ドルを押し上げている可能性もありそうです。今日の焦点は、もちろん岩盤レンジの上限である150円台にしっかりと乗せることが出来るのかどうかです。いつものように東京時間では簡単ではないでしょうが、主戦場は欧州からNYです。
米4-6月(第2四半期)のGDP確報値は「3.8%」と、ほぼ2年ぶりの高い伸びとなりました。市場予想は「3.3%」で、先に発表された改定値の「3.3%」から上方修正されました。株高で資産効果が背景なのか、個人消費が好調だったようです。さらに、新規失業保険申請件数は前週比1.4万件減少し、「21.8万件」と、市場予想の「23.3万件」を下回っていました。より変動の少ない4週移動平均でも「23.8万件」に減少しています。この他にも、この日発表された「耐久財受注」や「中古住宅販売件数」も好調だったことが、利下げ観測の後退につながりました。年内2回の利下げ予想の中でも、「12月はないのではないか」といった観測が浮上しています。先週のFOMC会合では0.25ポイントの利下げとともに、ドットチャートが示す水準から「年内全ての会合で利下げがある」といった見方が急速に強まり、NY株式市場では「主要3指数が揃って3日連続で史上最高値を更新する快挙」 を見せましたが、その好調だった3指数が今度は3日連続で揃って売られています。利下げ観測が余程強かったという証左とも言えそうです。
昨日もFOMCメンバーによる発言が多くありましたが、個々の意見を拾ってみると、全体としてはそれほどタカ派的ではなかったようです。ただミラン理事は相変わらずでした。ミラン氏は、ブルームバーグテレビジョンのインタビューで、「経済が急減速するとは考えていない。労働市場が崖から落ちるような事態になるとも思わない」と述べながらも「大惨事の発生を待つより、先手を打って事前に利下げするべきだ」との考えを示しました。同氏は即時かつ積極的な利下げを求める点で、メンバーの中でも異例の立場にあります。同氏は、現在4.00-4.25%のレンジにある政策金利が、経済を刺激も抑制もしないとされる「中立」金利を大きく上回っており、非常に景気抑制的な水準にあると主張し、「中立金利は低下傾向にあり、それに応じて政策も調整することが求められている」と述べ、「金融政策が過度に引き締められた状態を長期間続けると、失業率が大幅に上昇する恐れがある」と語っていました。カンザスシティー連銀のシュミッド総裁は、インフレ抑制が求められるとして、FRBが近い時期に追加利下げを行う必要はないかもしれないとの認識を示しています。シュミッド氏はダラスでのイベントで「先週の25ベーシスポイント利下げは適切なリスク管理戦略だったとみている」と発言。その上で「インフレは依然あまりに高く、労働市場は減速しつつも、おおむね均衡が取れている。現行の金融政策スタンスは、わずかに景気抑制的なだけであり、適切な位置にあると考える」と述べていました。
サンフランシスコ連銀のデーリー総裁は、「金利水準は依然としてやや景気引
き締め的な状態にある」との認識を示し、「労働市場が一段と弱まるかどうかを当局が注視している」と述べました。また、シカゴ連銀のグールズビー総裁は「完全雇用の維持と2%インフレ実現の公算がデータに示されれば、金利は現在水準からもっと低下し得る」とし、「ただそうした確信を得る前に、金融緩和を過剰に前倒しすることには若干不安を感じる」とも述べていました。昨日は、経済指標が上振れしたことで利下げ観測が後退しましたが、一時的な結果である可能性もあります。来週には「9月の雇用統計」もあり、まだまだ分かりません。要はデータ次第ということですが、しばらくレンジが続いていることもあり、市場がかなり過敏になっています。何かをきっかけにレンジブレイクを図っているかもしれません。大手外資系銀行は、市場が動けば動くほど利益を得られる機会が多いからです。
日銀が昨日公表した、7月30、31日に開いた金融政策決定会合議事要旨では、1人の委員が、「物価上昇率が2%を上回る状況が長引くようなら、時機を失することなく緩和度合いの調整を進めることが適当」との見解を示していたことが明らになりました。また、「早ければ年内にも様子見モードを解除できるかもしれない」との委員も一人。「適時の利上げがリスク・マネジメント上重要」と述べた委員も一人いました。先週の決定会合では、田村委員と高田委員が利上げを主張したことが明らかになっています。二名が反対票を投じたこともあり、10月会合での追加利上げの可能性はかなり高いと考えます。
最後に、「歴代の米財務長官やFRB議長らで構成する超党派グループが25日、トランプ大統領によるクック理事解任を認めないよう連邦最高裁判所に求めた」と、ブルームバーグが伝えています。「同グループには、ベン・バーナンキ氏、アラン・グリーンスパン氏、ジャネット・イエレン氏ら元FRB議長に加え、ティモシー・ガイトナー氏、ジェイコブ・ルー氏、ヘンリー・ポールソン氏、ロバート・ルービン氏、ローレンス・サマーズ氏ら元財務長官が名を連ねている」とメンバーの名前を列挙し、グループは「解任を認めればFRBは政治的影響にさらされ、独立性への国民の信頼を揺るがし、米国の金融政策の信頼性と有効性を脅かす」と、主張していると報じていました。米国の経済学の知能がFRBの独立性を危惧しています。
本日のドル円は148円50銭~150円50銭程度を予想しています。
(編集担当:亜州リサーチ=サーチナ) (写真:123RF)
ドル円は大幅に続伸し一時は149円93銭と8月3日以来となるドル高を示現。(イメージ写真提供:123RF)
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2025-09-26 10:45