【為替本日の注目点】8月のPCE価格指数、インフレを示唆せず

 ドル円は149円台後半から小幅に下落。PCE価格指数がインフレを示すものではなかったことから、ドルは149円41銭まで売られる。ユーロドルは1.16台半ばから1.17台前半で推移。ユーロ円は175円台に乗せる。利下げ観測の後退が止まったことで株式市場では3指数が4日ぶりに揃って反発。債券は小幅に下落。長期金利は4.17%台で推移。金は続伸。原油も買われ65ドル台に乗せる。 8月個人所得 → 0.4% 8月個人支出 → 0.6% 8月PCEデフレータ(前月比) → 0.3% 8月PCEデフレータ(前年比) →  2.7% 8月PCEコアデフレータ(前月比) → 0.2% 8月PCEコアデフレータ(前年比) → 2.9% 9月ミシガン大学消費者マインド(確定値) → 55.1 ドル/円 149.41 ~ 149.81 ユーロ/ドル 1.1667 ~ 1.1707 ユーロ/円 174.71 ~ 175.05 NYダウ +299.97 → 46,247.29 GOLD +38.09 → 3,809.00ドル WTI +0.074 → 65.72 米10年国債 +0.006 → 4.176% 【本日の注目イベント】 日 7月景気先行指数(CI)(改定値) 日 野口日銀審議委員、札幌商工会議所で講演 欧 ユーロ圏9月消費者信頼感(確定値) 欧 ユーロ圏9月景況感指数 米 9月中古住宅販売成約件数 米 メスター・クリーブランド連銀総裁、パネル討論会に参加 米 ボスティック・アトランタ連銀総裁、イベントで司会 米 イスラエル首相、トランプ大統領と会談(ホワイトハウス)  先週末にかけてドル円は145-150円のレンジの中の上限を試す動きを見せたものの、結局150円台を見ることもないまま小幅に下げています。ただ、それでも149円台は維持しているところを見ると、これまでの動きとはやや異なる印象もあります。年内残りの会合全てで利下げが行われるといった見方が後退したことでドルは買われましたが、今週末には「9月の雇用統計」が発表されます。結果次第では急速に後退した利下げ観測が再び急浮上する可能性もあり、このままドルが買われるかどうかは予断を許さない状況です。ただ、依然としてクロス円での円安傾向が続いていることが、ドル円の一定のサポート材料にはなり得るのではないかと思われます。  米政府機関の閉鎖期限が迫る中、トランプ大統領と議会指導部による初の協議が29日に行われます。この種の混乱は毎度のことで驚きはありませんが、実際に閉鎖された場合、政府業務が停滞する可能性があるので注意も必要です。米国では2025会計年度(24年10月-25年9月)末を迎え、つなぎ予算が成立しなければ、10月1日から政府機関の一部が閉鎖に追い込まれる恐れが出ています。共和党のつなぎ予算案はすでに下院を通過しており、上院で可決するには少なくとも7人の民主党議員の支持が必要です。トランプ大統領は先週、政府が閉鎖となれば連邦職員を大量解雇すると脅していました。民主党上院トップのシューマー院内総務はTV番組で「結論は非常にシンプルで、共和党次第だ」と述べ、「本気でわれわれと交渉する気があるのか、29日に分かるだろう」と話していました。  今週4日(土)には自民党総裁選が行われますが、5人の候補者の演説では、もはや明確な違いを見つけることは困難な状況になっています。特に高市氏は昨年の総裁選時のような目立った発言はなく、大人しくなって来た印象です。ただ昨日行われたフジテレビの「日曜報道」では「目立った発言」がありました。高市氏は、「⽇本の国益を損なう⾮常に不平等な部分が出てきた場合、しっかり物を申していかなければいけない」と発言し、日米関税合意に盛り込まれた5500億ドル(約80兆円)の対米投資について、再交渉も辞さない姿勢を示しました。トランプ大統領が設置する投資委員会が具体的な投資案件を決める構造に言及し、首相になった場合は実施過程を注視する考えのようです。トランプ氏が「これまでで最大のディール(取引)」と呼ぶ7月の日米関税合意には、日本側が巨額の対米投資基金を設立する内容が盛り込まれています。出資から得られる利益は日米で1対9になることから、日本の国益を害するとの懸念があることに言及した形です。これに対して赤沢経済再生相は、「全体の投資額には融資、融資保証が含まれており、出資部分は全体の1-2%にとどまると」の見解を示してきました。また「日本に利益をもたらさない事業に資金は提供されない」としています。仮に高市氏が首相になり、この問題を提起するようなら、あのトランプ氏が黙っていないことは、当然予想されます。日米関税問題が再び焦点になれば、ドルが売られ、株価が下げる可能性が考えられます。この発言は、総裁選を有利に進めるため、独自色を出そうとしたのではないかと思われますが、どうでしょう。  本日は日銀の野口審議委員の講演が予定されています。野口氏は、政策委員会の中ではハト派とみられていますが、筆者も含め10月利上げの予想が高まっている中、どのような見解を示すのか、注意したいところです。ハト派寄りの同氏が利上げに前向きな発言を行くようだと、円が買われるかもしれません。  本日のドル円は148円30~150円程度を予想します。 (編集担当:亜州リサーチ=サーチナ) (写真:123RF)
ドル円は149円台後半から小幅に下落。PCE価格指数がインフレを示すものではなかったことから、ドルは149円41銭まで売られる。(イメージ写真提供:123RF)
economic,gaitameonline,gaitamedotinterview,fxExchange
2025-09-29 10:30