【為替本日の注目点】日銀の次回会合での利上げ確率高まる

ドル円は続落。日銀による利上げ確率が高まったことや、NY市場では、政府機関の閉鎖リスクを背景にドル円は148円49銭まで下落。ユーロドルは反発。1.17台半ばまで買われる。株式市場では政府機関閉鎖のリスクが残る中、金利低下を材料に3指数は揃って反発。債券は反発。長期金利は4.13%台に低下。金は続伸し最高値を更新。原油は大幅反落。
9月中古住宅販売成約件数 → 4.0%
ドル/円 148.49 ~ 148.81
ユーロ/ドル 1.1719 ~ 1.1754
ユーロ/円 174.14 ~ 174.65
NYダウ +68.78 → 46,316.07
GOLD +46.20 → 3,855.20ドル
WTI -2.27 → 63.45
米10年国債 -0.037 → 4.139%
【本日の注目イベント】
豪 豪8月住宅建設許可件数
豪 RBA、キャッシュターゲット
日 9月鉱工業生産
日 日銀金融政策決定会合における主な意見(9月18、19日分)
中 9月中国製造業PMI
中 9月中国サービス業PMI
中 9月RatingDog製造業PMI
中 9月RatingDogサービス業PMI
中 9月RatingDog総合PMI
独 独9月雇用統計
独 独9月消費者物価指数
欧 米ジェファーソン・副議長とラガルド・ECB総裁、フィンランド中銀会議で講演
英 英4-6月期GDP(改定値)
英 英4-6月期経常収支
米 7月ケース・シラ-住宅価格指数
米 7月FHFA住宅価格指数
米 9月シカゴ購買部協会景気指数
米 8月雇用動態調査(JOLTS)求人件数
米 9月コンファレンスボード消費者信頼感指数
米 グールズビー・シカゴ連銀総裁、質疑応答
米 ローガン・ダラス連銀総裁、討論会に参加
150円台乗せに失敗したドル円は再び145-150円のレンジの中ほどまで売られて来ました。テクニカルからの支援はあったものの、150円台に乗せるには材料不足だったということでしょうか。
日銀の野口審議委員は昨日札幌市で講演を行い、金融政策運営について、経済・物価の上方リスクに言及した上で、利上げの必要性が高まりつつあるとの認識を示しました。講演を受けて、ドル円相場は下げ幅を拡大し、149円を割り込み148円71銭まで売られました。野口氏は、国内の各種経済指標を確認すると、「2%の物価安定目標の達成は着実に近づいている」と指摘し、それは、「政策金利調整の必要性がこれまで以上に高まりつつあることを意味している」と発言しました。さらに、現状の日本経済・物価においては「下方リスクはありつつも、政策判断における上方リスクの重みがより増している」と説明。その意味で「わが国の金融政策は今、状況の見極めが必要な局面に差し掛かっている」とも話していました。昨日のこの欄でも指摘したように、審議委員の中でも「ハト派」と見られている野口氏が、利上げに対して前向きな姿勢を見せたことで10月会合での利上げ確率が高まり、ドル円の売りを誘いました。
トランプ大統領は29日、イスラエルのネタニヤフ首相とホワイトハウスで会談を行い、同国とイスラム組織ハマスの戦争終結を目指す20項目から成る計画に同意したと明らかにし、「和平にとって歴史的な一日だ」と述べました。トランプ氏は、ネタニヤフ氏と首脳会談後の共同会見で、同計画は中東やイスラム諸国の他の指導者からも支持が得られていると説明。中東地域の広範な平和へと道を開く可能性があると示唆しました。ただそれでも、「ハマスが拒否すれば、ネタニヤフ首相がハマスを壊滅させることを全面的に支持する」と、警告もしていました。さらに「ガザでの戦争をどう終わらせるかについて話し合ったが、それは中東和平という、より大きな枠組みの一部に過ぎない。中東における永遠の平和と呼ぼう」と語った上で、「これは誰も予想していなかったほどの規模であり、中東諸国から得ている支持の大きさを物語っている」と述べています。
ブルームバーグによると、「計画では、双方が受け入れれば即時停戦が実現し、72時間以内に人質全員と遺体が返還されると定めている。さらにイスラエルは約2000人の囚人を釈放し、ガザを占領・併合しないことが盛り込まれた。住民にはガザにとどまるよう促し、支援の即時再開を約束。荒廃したガザを経済発展によって復興するための『専門家パネル』設置が提案された」とあります。またハマスに対しては、「ガザ統治に直接的にも間接的にも関与しないことに同意するとともに、公共サービス運営を担う実務者による非政治的なパレスチナ委員会に統治権を移管することが求められている。同組織はトランプ氏が議長を務める『平和評議会』の監督下に置かれ、ブレア元英首相を含む他の世界の指導者も参加する枠組みとなる。合意が履行されれば、将来的にパレスチナ国家の条件が「ようやく整う可能性がある」とも記されています。ただ、ハマスがこの条件を受け入れるかどうかは不透明です。ネタニヤフ氏は記者会見で、「戦争終結に向けたトランプ氏の計画を支持する」と述べ、「われわれの戦争目的を達成する。イスラエルは当面、治安境界を含め安全保障上の責任を保持する」と話していました。パレスチナに対して「殲滅(せんめつ)するまで戦う」と述べていたネタニヤフ氏が、こうも簡単に停戦に向け合意することにはやや驚きです。余程、トランプ政権からの圧力が強かったのであろうと思われます。多くの一般市民が巻き込まれ、すでに6万人以上が亡くなっているガザ地区で、ミサイルや銃撃の音が止むことを願っています。
10月1日の期限前に政府閉鎖を回避するため、トランプ氏は共和・民主両党の議会指導部と最後の協議に臨みましたが、民主党が求める医療保険補助金の延長や、先に成立したトランプ氏の看板政策である大型減税・歳出法に盛り込まれたメディケイド(低所得者向け公的医療保険)予算削減の撤回については、双方の溝は埋まらなかったようです。バンス副大統領は「民主党が正しいことをしようとしないため、政府閉鎖に向かっていると思う」と指摘し、同党を「不合理だ」と非難しました。米政府機関の閉鎖はここ数十年で珍しくなくなっています。そのため、全ての連邦機関が対応マニュアルを備えるようになっていると報じられています。ブルームバーグは、「それでも政府機関が今週閉鎖となれば、これまでより深刻な状況になる公算が大きい。会計年度や四半期、月の初めに閉鎖が始まるのはオバマ政権期以来となる。議会は各機関に資金を配分する12本の歳出法案を1本も可決していない。トランプ大統領は一段と圧力を強めており、閉鎖リスクを高めている」と論じています。
FOMCでの追加利下げに最も否定的だと思われる、セントルイス連銀のムサレム総裁は、追加利下げにオープンな姿勢を示しつつも、「インフレ率が当局目標を依然として上回っていることを踏まえると、政策運営は慎重に進めるべきだ」との見解を示していました。また、米クリーブランド連銀のハマック総裁も、利下げに慎重な姿勢を取った上で、インフレ率が2028年まで目標を上回る可能性に懸念を表明しています。ハマック氏は「総合およびコアのインフレ率に対する圧力が引き続き見られる。なかでもサービス分野を懸念している」と指摘。「今後1-2年は目標を上回る状態が続き、2%に戻るのは2027年末から2028年初めになるとの予測だ」と説明していました。10月のFOMC会合では追加利下げは必至だと見られますが、依然としてメンバーの中には「利下げには慎重なスタンス」を維持する委員も多くいます。
本日のドル円は147円50銭~149円30銭程度を予想します。
(編集担当:亜州リサーチ=サーチナ) (写真:123RF)
ドル円は続落。(イメージ写真提供:123RF)
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2025-09-30 10:45