【為替本日の注目点】9月のADP雇用者数マイナス3.2万人

ドル円は一段と下落。民間の雇用統計である「ADP雇用者数」が減少し、米政府機関の一部が閉鎖に追い込まれたことで、金利が低下。ドル円は146円59銭まで下落。ユーロドルは1.17台で推移し、前日と同じ動きに。株式市場では、政府機関が一部閉鎖に追い込まれたが、長期化することはないとの見方から3指数が続伸。ダウとS&P500は最高値を更新する。債券は買われ長期金利は4.09%台に低下。金は5日続伸。原油は続落し、61ドル台に。
9月ADP雇用者数 → -32千人
9月ISM製造業景況指数 → 49.1
9月S&Pグローバル製造業PMI(改定値) → 52.0
9月自動車販売台数 → 1639万台
ドル/円 146.59 ~ 147.25
ユーロ/ドル 1.1716 ~ 1.1768
ユーロ/円 172.29 ~ 172.67
NYダウ +43.21 → 46,441.10
GOLD +24.30 → 3,897.50ドル
WTI -0.59 → 61.78
米10年国債 -0.052 → 4.098%
【本日の注目イベント】
豪 豪8月貿易収支
日 内田日銀副総裁、イベントで挨拶
欧 ユーロ圏8月失業率
米 8月製造業受注
米 ローガン・ダラス連銀総裁、討論会に参加
ドル円は連日下値を切り下げ、昨日のNYでは2週間ぶりに146円台半ばまで売られました。発表された経済指標で軟調な結果が示され、さらに懸念されていた政府機関の一部閉鎖が現実のものとなったことが材料になりました。
「9月のADP雇用者数」は、「3万2000人の減少」でした。市場予想の「5万1000人増」からは大きく下振れし、さらに8月分も「3000人減」と、速報値の「5万4000人増」から下方修正され、市場に驚きを与えました。ただ、ADPは「最新の四半期雇用・賃金調査(QCEW)には、北米産業分類システム(NAICS)に基づく業種分類や、地理的グループ別の企業規模に関して、通常より多数の欠損値などが含まれていた」と発表資料で説明しています。その分、過去数年と比べて基準値の算出で調整が必要だったとしています。同資料によれば、この調整によって、9月の雇用者数は調整前に比べて4万3000人少なくなっており、この調整がなければ、雇用者の伸びは調整前より若干良かった可能性があることが示唆されました。「しかしトレンドに変わりはなく、ほとんどのセクターにおいて雇用創出は失速を続けている」と、ADPは述べていました。今回の統計が発表された直後の金融市場では、米国債利回りが低下しドル円は売られ、株式市場は軟調に動きましたが、その後は堅調な動きでした。
米議会は連邦政府機関の一部閉鎖を回避するためのつなぎ予算が期限内に未成立のまま、1日からの新会計年度に入りました。米国はこれに伴い、約7年ぶりに政府機関の閉鎖に見舞われ、トランプ政権1期目と2期目を通じては3回目の閉鎖となります。2026会計年度(25年10月-26年9月)の本予算は成立しておらず、下院は先に11月21日までのつなぎ予算案を可決したものの、上院では共和・民主両党の対立が解消されぬまま、結局期限切れを迎えました。トランプ政権は今週、1日から始まった政府機関の閉鎖を利用して連邦職員を速やかに解雇する方針で、それは、共和党が政府閉鎖を終わらせる交渉で民主党に譲歩を迫るため強硬手段を取る構えを示しているとされています。米行政管理予算局(OMB)のボート局長は下院議員らに対し、一部の連邦機関が1-2日以内に職員の解雇に踏み切ると述べ、ホワイトハウスのレビット報道官も会見で、職員のレイオフは「2日以内に、差し迫っている」などと述べていました。ただ、どの機関や職種が対象となるかなど詳細については明らかにしていません。共和党のジョンソン下院議長も、ホワイトハウスが連邦官僚機構の削減に迅速に動くだろうとの考えを表明。政府閉鎖によって共和党には「通常であれば民主党の賛成を得られない施策を断行できる機会が生まれる」とFOXビジネスで話していました。また、バンス副大統領はCBSニュースに「政府再開を拒否しているのは上院民主党であり、必然的に痛みは伴う」とする一方、「不可欠な政府サービスはできる限り維持したい」と説明しています。「一方、共和党の穏健派と民主党議員の一部は上院議場で集まり、共和・民主の両党が面目を保てる形で事態の打開を図る方策を探った。協議の内容には、オバマケア医療保険制度の補助金延長を話し合う間、ごく短期のつなぎ予算案を成立させることなどが含まれる」とブルームバーグは報じています。今回の政府機関閉鎖を巡る両党の対立は、来年11月の中間選挙も見据えたものだとの意見もありますが、政府閉鎖やその経済的影響は長期に及ぶ恐れもあります。政府閉鎖が3週間続いた場合、一時帰休となった連邦職員が短期の失業とカウントされ、失業率は8月実績の「4.3%から、4.6-4.7%に悪化する可能性がある」との推計もあり、気になるところです。
米連邦最高裁判所は1日、クックFRB理事の即時解任を認めるよう求めていたトランプ大統領の要求を退けました。これにより、少なくとも最高裁が来年1月の口頭弁論後に判断を下すまで、クック氏は職にとどまることが可能になります。クック氏は住宅ローン契約に関する詐欺疑惑を理由にトランプ氏が解任を通告した8月下旬以降も職務を継続しています。今回の決定には、反対意見を示した判事はいなかったようですが、ホワイトハウスのデサイ報道官は「トランプ大統領は正当な理由に基づき、クック理事を合法に解任した」と述べ、「来年1月の最高裁での口頭弁論を経て最終的に勝訴することを楽しみにしている」と述べていました。FRBへの影響力拡大を狙っているトランプ氏にとって連邦最高裁判所の判断は誤算だったようです。12月の口頭弁論では、連邦準備法で定める、FRB理事を解任出来る唯一の手段である「正当な理由」を巡り論議が交わされることになります。
まだ、明確にはなっていませんが、明日発表予定の「9月の雇用統計」は、現時点では遅れる見込みのようです。
本日のドル円は146円30銭~148円30銭程度を予想します。
(編集担当:亜州リサーチ=サーチナ) (写真:123RF)
ドル円は一段と下落。民間の雇用統計である「ADP雇用者数」が減少し、米政府機関の一部が閉鎖に追い込まれたことで、金利が低下。(イメージ写真提供:123RF)
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2025-10-02 10:15