【為替本日の注目点】米中問題と高市自民でドル上値を重くする

 先週末のNYでは一時151円15銭まで急落したドル円は小幅に反発。152円45銭まで買われたが、短期的には上値を重くした印象。ユーロドルは1.15台半ばから後半で小動き。株式市場は大きく反発。前日、米中関税問題で大きく下げた3指数はトランプ大統領が楽観的な見通しを示したことで買い戻しが入る。債券市場は休場。金は100ドルを超える大幅上昇。原油も小幅高。 ドル/円 151.99 ~ 152.45 ユーロ/ドル 1.1557 ~ 1.1580 ユーロ/円 175.89 ~ 176.33 NYダウ +587.98 → 46,067.58 GOLD +132.60 → 4,133.00ドル WTI +0.59 → 59.49 米10年国債 ------- → 4.138% 【本日の注目イベント】 豪 RBA、金融政策会合議事要旨公表 独 独9月消費者物価指数(改定値) 英 英9月失業率 英 英ILO失業率(6-8月) 独 独10月ZEW景気期待指数 英 ベイリー・BOE総裁講演 米 パウエル・FRB議長講演 米 コリンズ・ボストン連銀総裁講演 米 ウォラー・FRB理事、討論会に参加 米 ボウマン・FRB副議長、国際金融協会会長と対談 米 決算発表→ ブラックロック、J&J、ウェルズファーゴ、JPモルガン、ゴールドマン、シティグループ 加 カナダ8月住宅建設許可件数  先週金曜日のNYでは、ドルが大きく売られ、株価も大きく下落しました。日本では、公明党が正式に連立からの離脱を決めたことで、高市政権が今後厳しい局面に直面するといった見方に加え、米国ではトランプ大統領が「中国に100%の関税をかける」と発言したことで、米中貿易摩擦に再び激しさが増してきたことが材料視されました。  トランプ氏は10日、「11月1日から中国製品に100%の追加関税を課すとともに、特定の米国製ソフトウエアの輸出も制限する」と発表。さらに航空機部品の出荷停止も示唆しました。ところが12日には一転して、「中国のことは心配いらない。全てうまくいく!尊敬される習主席は一時的に判断を誤っただけだ。彼は自国が不況に陥ることを望んでいないし、私も望んでいない。米国は中国を助けたいのであって、傷つけたいわけではない!!!」と、トランプ氏は自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」に投稿しました。また、バンス副大統領も米中で激化する貿易対立を巡り、「理性のある道を選ぶべきだ」と中国側に呼びかけ、摩擦が長引けばトランプ大統領の方が有利だとの認識を示しました。米中両国は今年5月に100%超の高関税の応酬をお互いに停止することで合意していましたが、11月10日に終わる停止期間が、延期されるのかどうかという不透明感は残っていました。ブルームバーグは、「トランプ、バンス両氏のコメントは、中国に最近の貿易措置を見直すよう圧力をかけつつ、報復の応酬による緊張激化は避けられると市場に安心感をもたらそうとしていることを示唆している」と報じています。10月末に実施の方向で検討されていた米中首脳会議も見送られる模様です。トランプ関税は多くの国・地域で合意を見ましたが、最大の交渉相手である中国とは今後も摩擦が生じる可能性がありそうです。  トランプ関税の創設により「米国にはBig Moneyが入る」と、トランプ氏は述べていましたが、米ゴールドマンは最新のリポートで、「トランプ米大統領による関税措置のコストの半分以上を、米国民が負担する見通しだ」と、指摘しています。リポートでは、「価格転嫁には時間がかかるため、現時点では米企業のコスト負担分がより大きいとみられる」としながらも、「最近発効した、また今後発効する関税が、今年初めに導入された関税と同様の影響を価格に及ぼす場合、最終的には米国の消費者が関税コストの55%を負担することになる」と続けていました。その結果、「米関税措置は今年これまでに、個人消費支出コア価格指数を0.44ポイント押し上げており、12月までには同指数を3%に押し上げる見通しだ」と、分析しています。この分析が正しいとすれば、今年残り2会合での利下げ見通しが依然として優勢な市場予想にも、影響を与えて来るはずです。  そんな中、米フィラデルフィア連銀のポールソン総裁は、年内にあと2回の0.25ポイント利下げを実施するのが望ましいとの考えを示唆しました。関税による消費者物価上昇の影響は度外視するべきだとの立場を示しています。ポールソン氏は13日、フィラデルフィアで開かれた全米企業エコノミスト協会(NABE)の年次会議で、「関税に起因する価格上昇が、持続的なインフレにつながるような状況は見られないというのが私の見解だ。特に労働市場において、そういった兆候はない」と述べています。ポールソン氏の今回の講演は、7月にフィラデルフィア連銀総裁に就任して以来、経済に関する初の公式発言となりました。同氏はさらに「経済が私の想定どおりに推移すれば、今年と来年の金融政策調整によって、労働市場を完全雇用に近い状況に十分維持することができるだろう」と話していました。  好調だった日本の株式市場にもやや高値警戒感が出始めてきました。株価が大きく下げるようなら、株高に引っぱられてきたドル円も上値をやや重くする可能性があります。  本日のドル円は151円20銭~153円程度を予想します。 (編集担当:亜州リサーチ=サーチナ) (写真:123RF)
先週末のNYでは一時151円15銭まで急落したドル円は小幅に反発。(イメージ写真提供:123RF)
economic,gaitameonline,gaitamedotinterview,fxExchange
2025-10-14 11:15