【為替本日の注目点】高市政権発足でドル円152円台に

 高市氏が正式に首相に就任したことで、ドル円は152円台に乗せ152円18銭まで買われた。財政拡張、金融緩和への期待から円が売られる。ドルが買われ、ユーロは1.15台後半まで下落。株式市場はまちまちの動き。ダウは218ドル買われ最高値を更新。一方ナスダックは下げ、S&P500は横ばい。債券は続伸。長期金利は3.96%台に低下。連日最高値を更新していた金は急落。買われ過ぎとドル高の影響から前日比250ドル(約5.7%)下落。過去最大となる下げ幅を記録する。原油は小幅高。 ドル/円 151.46 ~ 152.18 ユーロ/ドル 1.1598 ~ 1.1625 ユーロ/円 175.84 ~ 176.62 NYダウ +218.16 → 46,924.74 GOLD -250.30 → 4,109.10ドル WTI +0.30 → 57.82 米10年国債 -0.017 → 3.963% 【本日の注目イベント】 日 9月貿易統計 欧 ラガルド・ECB総裁講演 英 英9月消費者物価指数 米 決算発表→AT&T、テスラ、IBM  昨日の午後、衆議院本会議で首相指名が行われ、自民党の高市総裁が「237票」で過半数を獲得し、第104代首相に指名されました。憲政史上初の女性首相の誕生でした。高市氏の正式な首相就任を囃(はや)して、ドル円は151円台に乗せ、NYではさらにドルが買われ152円台前半まで円が売られました。財政拡張と、日銀による利上げが遅れるとの観測が円売りを加速させました。日経平均株価の方も、一時5万円の大台に50円程度まで接近しましたが、大台達成とはならず利益確定の売りに押されました。「初の女性首相、初の女性財務大臣、そして初の5万円台」といったところでしたが、最後はおあずけでした。  ただ、昨日の就任後の会見を聞く限り、期待値が先行しているように思えます。高市首相は21日夜、新内閣発足後の就任会見を行い、「マクロ経済政策の最終的な責任は政府が持つものだ」とし、「日本銀行は政府と意思疎通を図っていくことが重要だ」との認識を明らかにしました。高市氏は日銀の金融政策について、「経済政策の一環をなすものであることを踏まえ、日銀が政府と十分に連携を密にして意思疎通を図っていく、これが何より大事だ」と指摘し、「金融政策の手法については日銀に委ねられるべきものだ」とも述べました。昨年の総裁選では「今、利上げするのはアホだと思う」と、過激な発言を行っていましたが、これは自分をアピールするための「方便」だったようです。さすがに正式に首相になった以上、過激な発言はなりを潜めていました。  物価高対策については、「最優先事項は物価高への対応だ」と述べ、初閣議で経済対策の策定を指示する方針を明らかにしました。具体的には与野党で合意しているガソリン税の臨時国会での廃止法案成立を目指すほか、大敗した参院選で自民党が掲げた一律給付は「国民の理解が得られなかった」として実施しない方針を表明しました。このような中、ブルームバーグは「日本銀行は、今月の金融政策決定会合で急いで利上げをしなければならない情勢にはないものの、12月を含めた早期利上げの環境が整いつつあるとみている。複数の関係者への取材で分かった」と報じ、「関係者によると、最大のリスク要因である米関税政策の内外経済への影響は、顕在化が後ずれしており、もう少しデータや情報を見極めたいとの声が日銀内にある。米政府機関の閉鎖で米国の実体経済の動向が把握しづらくなる可能性や、関税を巡る米中対立の行方も懸念されるという。もっとも、こうした材料は現時点で日銀のシナリオに変更を迫るものではなく、日銀内には、政策委員が利上げという方向性で一致している中で、あとはタイミングの問題だとの声もある」と伝えていました。来週30日の会合では、ほぼ利上げは見送られると予想されます。  トランプ大統領は、中国の習近平主席との次回会談で貿易をめぐる「良い合意」が得られるとの見方を示しましたが、一方で、注目を集める同会談の実現は保証できないとの含みも持たせていました。ホワイトハウスで21日開催された共和党上院議員との昼食会で、トランプ氏は「私は習主席と非常に良好な関係にある。彼と良い合意を結べると期待している」と発言。「中国にとって良い合意となることを望むが、公平でなければならない」と語り、「会談は実現しないかもしれない」とした上で、「誰かが『雰囲気が険悪だから会いたくない』と言うことも起こり得る。しかし、実際には険悪ということはない。単なるビジネスの話だ」と話していました。米中首脳会談の日時はまだ発表されていませんが、トランプ氏は「およそ2週間以内に開かれる」としています。首脳会談に先立ち、ベッセント財務長官は週末に中国側当局者と会談し、貿易摩擦の緩和策を協議する見通しです。  そのトランプ氏、改めてパウエルFRB議長を批判していました。トランプ氏は、「連邦準備制度には本当に頑固な人がいる」と述べ、パウエル議長について「彼はもうすぐ去るだろう」とも述べていました。  最後に、金価格の急落について。金スポット相場が急落し、12年ぶりの大幅な下げを記録しました。金は21日の取引で一時6.3%安の4082.03ドルまで売られています。前日には4381.52ドルまで買われ、最高値を更新していました。特段これといって特筆すべき材料はなかったようですが、米中通商協議の進展やドル高、テクニカル指標の過熱感に加え、米政府機関の閉鎖に伴う投資家のポジションの不透明感、さらにはインドでの季節的な金需要のピーク終了といった複数の要因が重なったと報じられています。一部米銀は、「金価格は5000ドルまで上昇する」と予想していました。  本日のドル円は150円80銭~152円80銭程度を予想します。 (編集担当:亜州リサーチ=サーチナ) (写真:123RF)
高市氏が正式に首相に就任したことで、ドル円は152円台に乗せ152円18銭まで買われた。(イメージ写真提供:123RF)
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2025-10-22 10:15