設定1カ月で基準価額が20%超上昇、「SBI次世代テクノロジー戦略ファンド」が注目するテクノロジーとは?

「SBI次世代テクノロジー戦略ファンド」は2025年9月17日の設定から約1カ月間で基準価額が1万2432円に上昇した。短期間に爆発的な上昇を記録して注目を集めた同ファンドだが、どのような「次世代テクノロジー」に注目し、今後をどのように展望しているのだろうか? 同ファンドの運用を担当するファンドマネージャーであるSBIアセットマネジメント運用部の藤本紘生氏(写真)に聞いた。    ――テクノロジーにフォーカスした株式ファンドは、これまでにも多数ありますが、「SBI次世代テクノロジー戦略ファンド」の違い、特徴はどのようなところにあるのでしょう?  「次世代テクノロジー」とあるように、次世代を担うテクノロジーに関する事業を行っている企業に投資するファンドです。他のテーマ型のファンドとは異なり、投資テーマを限定しないことに特徴があります。対象のテーマはその時の相場環境を勘案し、定期的に関係部署で審査、決定します。これにより、市場のテーマが移り変わった際にも、その変化においてかれることなく、そのテーマをキャッチアップしてパフォーマンスの向上につなげることができると考えております。  ――現在のテーマとして「Web3・AI」、「量子技術」、「Newエネルギー」をあげていますが、それぞれの選定理由は? テーマを決定するにあたっての条件は?   「Web3」はブロックチェーン技術を基盤とした「分散型インターネット」の概念です。米国でトランプ大統領が今年就任し、ビットコインをはじめとした暗号資産が上昇していること、また暗号資産に関連する規制も徐々に緩和され、米国で暗号資産に投資するETFが設定されたほか、日本においても暗号資産に関するファンドの議論が進んでいることで、関連事業においても注目され、需要が増加すると予想されるため、テーマとして選定しました。代表的な銘柄に、世界最大級の暗号資産取引所を運営する「コインベース」、法定通貨や現物資産の価格と連動することで価格の安定性を保つように設計されている暗号資産の一種であるステーブルコインの米ドルに連動するUSDCを発行する「サークル」などがあります。  また、「AI(人工知能)」は、現在市場のテーマになっており、今後も生成AIへの投資や開発が続くと考えております。代表銘柄はAI向け半導体として需要が急増しているGPUを提供する「エヌビディア」などになります。  「量子技術」に関しては、最近、政府や大企業との連携・提携、および、研究開発の進展が見込まれ、将来性が高く評価されており、大規模な市場成長が見込まれています。関連銘柄への市場での注目も高まり、株価も急成長していることもあり、選定いたしました。代表的な銘柄の1つにフルスタックの量子コンピューティング企業である「リゲッティ・コンピューティング」がありますが、同社への投資は、設定来のパフォーマンスで寄与度ナンバーワンになっています。  そして、「Newエネルギー」は、 AIの急速な普及により、データセンターなどで使われる電力の需要が世界的に急増しています。この「電力不足」という社会課題の解決策として、次世代クリーンエネルギーの「核融合発電」が注目されていることから選定しました。国内の「日立製作所」や「三菱重工業」なども関連企業になります。  テーマに関しては原則毎月一度開催している運用会議で審査、決定しています。その際の条件や運用上のルールは特に定められていません。組み入れ銘柄にする場合のルールも特に定められていませんが、将来的にテーマに関わっていく見込みがあるかどうかで判断しています。現在、ポートフォリオは「Web3・AI」が約53%、「量子技術」が約25%、「Newエネルギー」が約22%の比率です。  ――調査・運用体制について教えてください。グローバル株式を対象とし、先端テクノロジーに関連する銘柄に投資するということですが、どのような体制で企業調査を行って確信度の高い銘柄を絞り込むのでしょうか?   ファンドマネージャーとアナリストは兼務で調査から投資判断まで一貫し運用を行っております。国内外のブローカーと積極的にコミュニケーションをとり、情報を素早く集め、投資ユニバースを作成したうえで、流動性や財務データでスクリーニングをかけ、実際に投資する銘柄を選んでいます。  ――世界的に株価が史上最高値を更新する中での設定になりました。この株高をけん引してきたのはテクノロジー株式といえ、テクノロジー株式には割高を指摘される銘柄が少なくありません。これからもテクノロジー主導の相場が継続するのでしょうか? 当面の運用の見通しについて教えてください。  割高であるという意見もありますが、市場を牽引している銘柄の財務状況は良好であり、また、ファンダメンタルな成長のもとに、株価も上昇していると考えております。高値圏ではありますが、今後も上昇余地があると考えられる銘柄を中心にポートフォリオを構築してきました。  現在、米国においては利下げ局面に入っており、今後も利下げが続くと考えられるため、市場を牽引しているAI関連銘柄や当ファンドで投資している銘柄にとっては好ましい状況が続きます。また、AIを中心とするテクノロジーに対する投資についても増加が続く見込みのため、当面はテクノロジー主導の相場が継続する可能性が高いと考えております。今後も当面は「Web3・AI」、「量子技術」、「Newエネルギー」に関連する銘柄への投資をつづけ、新たなテーマが出てきましたら適宜テーマの追加や、相場環境を勘案し投資比率の変更を行う予定です。
「SBI次世代テクノロジー戦略ファンド」の運用を担当するファンドマネージャーであるSBIアセットマネジメント運用部の藤本紘生氏(写真)に聞いた。
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2025-10-22 10:45