【為替本日の注目点】FOMC2会合連続で利下げ

 152円台前半で推移していたドル円は、パウエル議長のタカ派寄りの発言でドルが買われ153円台に乗せる。「12月利下げは既定路線ではない」との発言で153円06銭までドル高に。ユーロドルでもややドルが買われ、ユーロは1.1578まで下落。株式市場はまちまち。ダウとS&P500は上昇が一服も、ナスダックは最高値を更新。エヌビディア株が上げ幅を拡大。債券はパウエル発言を受け大幅下落。長期金利は4.07%台まで上昇。金と原油は反発。 9月中古住宅販売成約件数 → 1.5% ドル/円 151.86 ~ 153.06 ユーロ/ドル 1.1578 ~ 1.1665 ユーロ/円 176.77 ~ 177.59 NYダウ -174.37 → 47,632.00ドル GOLD +17.60 → 4,000.70ドル WTI +0.33 → 60.48ドル 米10年国債 +0.100 → 4.076% 【本日の注目イベント】 豪 7-9月四半期輸入物価指数 日 日銀金融政策決定会合 日 植田日銀総裁記者会見 独 10月雇用統計 独 7-9月期GDP(速報値) 独 10月消費者物価指数(速報値) 欧 ユーロ圏10月消費者信頼感指数(確定値) 欧 ユーロ圏7-9月期GDP(速報値) 欧 ユーロ圏9月失業率 欧 ECB政策金利発表 欧 ラガルド・ECB総裁記者会見 米 7-9月GDP(速報値) 米 新規失業保険申請件数 米 ローガン・ダラス連銀総裁講演 米 決算発表→ アップル、コムキャスト、イーライリリー  日本時間の今朝方、FOMC会合では市場予想通り主要政策金利を0.25ポイント引き下げることを決定しました。軟化する労働市場を支えるための利下げはこれで、2会合連続です。また、バランスシートのランオフ(償還に伴う保有証券減少)を12月1日で終了することも明らかにしました。ここまでは市場の想定通りでしたが、注目されたパウエル議長の会見では、12月の追加利下げを当然のこととして想定すべきではないと、市場に警告を発しました。議長は、「12月会合での追加利下げは既定路線ではない。そう呼ぶ状況からは程遠い」と発言しました。筆者は、12月会合での利下げは「五分五分」と予想していましたが、市場では90%を超える確率で0.25ポイントの利下げを予想していたことから、この発言は市場の利下げ期待を抑制する狙いがあったとみられます。  会合では、政策スタンスの両極に位置する当局者2人が、今回の決定に反対しています。ミラン理事はより大幅な0.5ポイント利下げを求めて、再び反対票を投じました。一方でカンザスシティー連銀のシュミッド総裁は、金利の据え置きを支持。同総裁は9月会合では、0.25ポイントの利下げに賛成票を投じています。12月会合に関する発言についてさらに質問を受けたパウエル議長は、FOMC内での見解の相違を指摘し、「FOMCの一部では、いったん立ち止まり労働市場に本当に下振れリスクがあるのか、また現在目にしている成長加速が本物なのかを見極める時期に来ているとの見方がある」と議長は述べていました。ブルームバーグは、「FOMCで投票権を持つメンバーのうち、近いうちの追加利下げを必ずしも強く主張していない人は複数いる」との見方があることを紹介しています。また議長は、政府機関閉鎖に伴う経済データの欠如が、当局者の慎重姿勢を強めている可能性があるとし、「霧の中を運転しているときはスピードを落とすものだ」と説明していました。追加利下げの有無は、今後のデータ次第ではあるものの、データ、とりわけ労働市場のデータが確認できない状況では、議長も判断に迷うところです。議長のやや想定外の発言に、ドル円は152円台前半から上昇し、153円台まで買われました。債券は大きく売られ、長期金利が一気に4%台を回復し、ドル高をサポートする結果になりました。因みに90%を超えていた12月の利下げ確率は、今朝の時点で「67.1%」まで低下しています。  高市首相との首脳会談を経て、防衛費のGDP比2%の増額前倒し、さらには日本の10社余りの企業から巨額の対米投資を行うといった「言質」を手土産に韓国へ飛んだトランプ大統領。今度は韓国からも持ちきれない程の手土産を受け取っています。トランプ氏は夕食会で、韓国との会談は「素晴らしかった」とし、「貿易合意の大半は決着した」と続け、韓国大統領府の金容範政策室長も会見で「韓国は米国の造船業に1500億ドル(約22兆8400億円)を投資し、残り2000億ドルを米国と日本が結んだものに類似した投資枠組みに充てる」と説明しました。ただ、この枠組みによる米国への投資は年200億ドルに制限されると述べています。この額は韓国銀行(中央銀行)が今月初め、ウォン相場に悪影響を及ぼさずにドルを供給できる限度として挙げていました。「金氏によると、プロジェクトによる利益は元本と金利が返済されるまで半々の割合で両国で分配されるが、韓国が20年以内に元本を回収できない場合、この比率は調整される。また、一つのプロジェクトでの損失を他の案件による利益で相殺できるようアンブレラ型の特別目的会社を採用する」とブルームバーグは伝え、「トランプ大統領の新たな通商攻勢は、日本と韓国に高いコストを強いている。両国には交渉の余地がほとんど与えられないまま、関税引き下げと引き換えに、日韓から9000億ドル(約137兆円)をしぼりとった」と続けていました。関税を武器に、日本、韓国から「MAGA」構想実現のため、「BIG Money」を米国へ持ち帰るトランプ氏。したたかです。  イスラエルは29日、パレスチナ自治区ガザで停戦の履行を再開したと発表しました。パレスチナ側によるイスラエル部隊への攻撃に対する報復として夜間に空爆を実施し、この攻撃によりガザでは少なくとも100人が死亡し、そのうち24人が子どもでした。これに対してトランプ氏は29日、日本訪問を終え韓国に向かう大統領専用機内で「イスラエルは反撃した。そして反撃すべきだ。そういうことが起きれば、反撃しなければならない」と語っていました。  本日は日銀金融政策決定会合の結果発表があります。政策金利はほぼ据え置きが予想され、サプライズはないと思われますが、午後3時半からの植田総裁の会見は注目されます。いつものように、常套句を並べるようだと、市場が「利上げに消極的」と受け止め、円売りを加速する恐れもあります。  本日のドル円は151円70銭~154円程度を予想します。 (編集担当:亜州リサーチ=サーチナ) (写真:123RF)
152円台前半で推移していたドル円は、パウエル議長のタカ派寄りの発言でドルが買われ153円台に乗せる。(イメージ写真提供:123RF)
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2025-10-30 10:45